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アメリア・エアハート [私の好きな20世紀の唄たち] vol.83 [20世紀の歌Ⅱ]

AMELIA EARHART'S LAST FLIGHT
written by Red River Dave McEnery
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アメリア・エアハートは、アメリカのカンザス州アッチソン出身の女性飛行家で、1932年に大西洋単独横断飛行に女性初で成功し、脚光を浴びる。数々の飛行記録を樹立した後、1937年7月、赤道上世界一周を目指して飛行中に南太平洋上で消息を絶った。標記の歌はそのことを歌った "Topical Song" である。アメリカのフォーク・シーンなどではこうした社会的事件を扱った歌が少なくない。前回取り上げたウディ・ガスリーの "Deportee" もそうした歌の一つである。
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アメリアの乗った飛行機はその後発見されなかったため、スパイ説や日本軍に撃墜された等々様々な説が現在に至るまで飛び交っているようだが、本稿の主旨からは離れてしまう部分があるのでやめておく。私自身『アメリアを探せ―甦る女流飛行作家伝説』(青木冨貴子)という本をかつて購入したことがあるくらいだが、実はちゃんと読んでいなかったのだ(笑)。

私がこの歌を知ったのは、ブルーグラス・バンドの "The Country Gentlemen" と"The Greenbriar Boys" のアルバムに入っていたからだった。どちらも大学に入ってすぐぐらいに聴いて、バンドで演奏していた。特にジョン・ダフィの間奏が飛行機が墜落していく様を上手く演奏しているように思われたので、よくバンドで真似をしたのを覚えている。
The Country Gentlemen
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The Greenbriar Boys
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他でこの歌を歌っている演奏は寡聞にして知らずにいたが、今回改めて検索してみたら、原作者の "Red River Dave McEnery"(50年代に活躍したテキサス出身のカントリーシンガー)のものとイギリスの70年代のカントリーロックロックバンド "Plainsong" のものがヒットした。こちらはかのイアン・マシューズが入っていたバンドで、"In Search of Amelia Earhart" という、アメリアのことをテーマにしたコンセプトアルバムのようだ。また探して聴いてみようと思ったことだ。ブルーグラス版の方ではカットされていた2番の歌詞も判ったのは良かった
Red River Dave McEnery
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Plainsong
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最近観たTV番組『RBG最強と呼ばれた女性判事~女性たち~百年のリレー』で、自由と平等を求めた女性たちの百年にわたる闘いを紹介する中に「世界一周を目指して空に散った女性パイロット」としてアメリアが紹介されていた。つまらない予断は排して、冒険飛行家として次々に新たな挑戦を続けていた女性の不運な事故と受け止めて、この歌をこれからも口ずさんでいこうと思ったことだ。

youtubeは本文中で紹介したものを。他にもあるかも。
Country Gentlemen 1969 - Amelia Earhart's Last Flight

The Greenbriar Boys 1962 - Amelia Earhart's Last Flight
https://www.youtube.com/watch?v=TQse8frEcMI
Dave McEnery - Amelia Earhart's Last Flight
https://www.youtube.com/watch?v=l0JtiOuXZck
Plainsong 1972 - Amelia Earhart's Last Flight
https://www.youtube.com/watch?v=hrCu3Pkqzgg
カナダ・オタワの現役ブルーグラスバンドの演奏も。
The Amelia Earhart song by Wil Ryder and the OCBB



アメリア・エアハート最後の飛行(大意。原詩は検索してみてください。)

洋上の船から見上げた空に小さな斑点が見え
アメリア・エアハートはその悲しい日の飛行を続けていた
7月2日のその日、相棒のヌーナンと共に
彼女の飛行機は遠い海の彼方に消えた

**
美しい美しい野原が広がっている
遠く離れた美しいかの地には
どうか安全な着陸をアメリア・エアハート
さよなら、世界初の女性飛行家よ

彼女は飛行位置を無線で伝え、全ては順調だと言った
燃料タンクの残りは少なかったが
彼女の単葉機に燃料を補給しようとハウランド島に立ち寄り
その後再び世界中を飛び回ろうとしていた

さて30分後にSOSが聞こえた
信号は弱かったが彼女の声はまだ勇敢だった
ああ、サメが泳ぐ海で彼女の飛行機はその夜墜落した
青い太平洋の海の中の墓の中に

人々は私の話したこの凄惨な悲劇を今知るのだ
私たちは彼女が再び無事生還することを祈っている
一方では彼女の飛んだ経路をたどってみる人々もいるだろうが
この先何年も私たちはアメリアと彼女の乗った飛行機のことを決して忘れないだろう

**
美しい美しい野原が広がっている
遠く離れた美しいかの地には
どうか安全な着陸をアメリア・エアハート
さよなら、世界初の女性飛行家よ



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映画『エルヴィス』@TOHOシネマズ西宮OS [映画]

映画『エルヴィス』
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エルヴィス・プレスリーの伝記映画をやっているというので、映画館を探したが、7月1日封切ということで、どの映画館も一日一回の上映であった。TOHOシネマズ西宮OSが12:40~なのでこちらで観ることに。まあ、全ての上映館を合わせると朝から夜までやっているので、選ぶことは出来るか(笑)。

「キング・オブ・ロックンロール」と称されるエルビス・プレスリーについては今さら説明の必要もないだろうが、カントリーにリズム&ブルースを加味したロックンロールという、新しい音楽を生み出した革命児という形容には、いまいちピンと来ないものがあった。エルビスの映画は「ブルー・ハワイ」などの彼が主演したハリウッド映画や、カムバックした後の『エルビス・オン・ステージ』などのドキュメンタリー映画はあったが、本格的な伝記映画はあまりなかったように思う。
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それはともかく、この映画では彼の幼少期の境遇に始まって、サン・レコードからのデビュー、悪徳マネージャーと言われたトム・パーカー大佐との出会い等々丹念に描かれていて、今までぼんやりとしか分かっていなかったことの幾つかが得心できたのはよかった。
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幼少期にメンフィスの黒人社会の中の白人用住宅に住んでいた彼が、ブルースやR&Bに親しんでいたのはごくごく自然なことだったように思う。だから、彼が歌うカントリーがR&Bと融合してロックンロールと呼ばれる音楽になったことに驚いたのは、だれよりも旧弊な周囲の白人社会の人々であったのだろう。私のような後の世代の人間が、彼の音楽にさほど違和感を抱かず、「音楽の革命」という言葉になじめないでいるのは、公民権法が成立する以前の保守的なアメリカ社会に身を置いていなかったからかも知れない。劇中でハンク・スノウと共演している場面があって、さすがにそこでは両者の立ち位置の違いがはっきり見てとれて面白かったが。
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全編を通して強く伝わってきたのは、彼の歌に対する情熱と愛、そしてやさしさと弱さと孤独だった。突出したソロアーティストであったがゆえに、強欲なマネージャーと知りつつ、敏腕でもある大佐に頼り、最後まで切ることはできなかった。ワーカーホリックになる程の過酷なライブ公演を強いられ、続けながら、処方ドラッグの乱用で自らの命を縮めてしまった。彼の周囲に、大佐に対抗できるような人材がいれば…、とも思ったが、これだけのスーパースターなら、どう転んでも不可避な結末だったのかも知れない。
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エルヴィス役のオースティン・バトラーは歌もステージアクションも素晴らしかった。この手の映画に出てくる役者さんはどなたも歌が上手いねえ。トム・パーカーを演じたトム・ハンクスの陰影のある演技も良かった。そして、これまでやや敬して遠ざけていた感のあったエルヴィスを、またじっくり聴いてみようと思いながら映画館を後にした。
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ELVIS - Original Motion Picture Soundtrack
https://www.youtube.com/watch?v=FymNn1HYKAc


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0726 今夏最高気温36.8℃(神戸市) [日々の散策]

0726 住吉道の水平道にはまだアジサイが咲いていた。
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今年の夏は相当暑いけど、それでも38℃を超える地域に比べると、この辺りはせいぜい32・3℃ぐらいだからまだまし、と思っていたが、この日は違った。体温を超える暑さはやはり尋常じゃないな。これが毎日続く地域は本当に大変だと思う。過去天気を調べると7月1日が36.7℃だったらしい。
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これほど暑いと住吉川も日中歩くのはかなりきつい。どこかいい所はと考えたが、六甲山上に行っても木陰を歩くような場所はそんなにない。少し考えて、五助ダムに行く手前の水平道は並木道だったなと思い出して行ってみた。30分程度のウォーキングだからということで、エクセル東の付近の住宅街の道に車を停めて、登山道に入ってみた。
思った通り涼し気な木陰のある道だった。
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道端に植えられているアジサイは、盛りは過ぎているが、まだまだ綺麗な花を咲かせていた。
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ポツンポツンと咲いているのがかえって愛らしく感じる。色も途中で変わったりするのかな、様々なカラーバリエーションを見せていた。
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五助ダムや石切道への分岐。登山するつもりはないので、ここで折り返すのだ。ここまで2000歩。
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右手に少し下りると川があるので、そこまで行ってみた。
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手作りの筧。コーンと涼し気な音を立てていた。
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シオカラトンボ。
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川に架かる木橋。
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橋から見た渓流からは冷気が漂ってきた。
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しばしの避暑を楽しんで、再びアジサイを見ながら引き返した。
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こんなに暑い中歩くことに意味があるのか、と言う人もいて、確かにその通りではある。でもこの数年は続けているので、なんとか暑気あたりにならないように工夫してウォーキングは続けていきたいと思っている。
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0723 土用の丑の日 [日々の雑感]

鰻控えめな我が家の土用の丑の日夕食。
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2022年の土用の丑の日は7月23日(土)と8月4日(木)の2回あるそうだ。そもそも土用は雑節のひとつで、四立(立夏・立秋・立冬・立春)の直前約18日間ずつである。季節の変わり目を表しているのかな。今年の夏の土用は7月20日(土用の入り)~8月6日(節分)だという。二十四節気の大暑(7/23~8/6)とほぼ同じだが微妙に違う。どう使い分けていたのかな。
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一方、日付を表すのにも干支が使われていたようで、甲子に始まって60日で一回り(これも還暦?)する。数字の方が分かりやすい気もするが、暦が庶民の間にも出回っていたのだろうか。それはそれとして、丑の日も12日に一度やってくることになる。だから土用に丑の日が二度来るのもままあるということだな。7月23日は丁丑(ひのとうし)、8月4日は己丑(つちのとうし)というように。
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土用の丑の日は鰻を食べるというのは、かの平賀源内が鰻屋のために考えたキャッチコピーだったという説を聞いてから、少々鼻白む気分にはなっていた。土用の丑が二回あるというのはなおさらその感を強くするなあ。鰻屋さんは喜ぶだろうけど(笑)。猛暑を乗り切るために滋養のあるものを食べる、と考えればいいんだろうなとは思う。
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ここ二カ月、我が家の「かいものがかり」を務めているのだが、ついつい安いものを探してしまうので、鰻にはなかなか手が出せないでいる。土用の丑の日コーナーを見ていて、安い鰻も売っているなあとよく見ると、「ほぼカニ」の鰻版だった。なあんだと思ったが、思い直して買ってみた。なるほど鰻のかば焼きによく似せて作ってあって、口に入れると小骨らしい歯ざわりまであって芸が細かい。まあ、そこまでして「鰻らしき物」を食べようとは思わないが、興味深くはあった。
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他にも「土用しじみ」とか「土用餅」とかも売っていて、面白がって買ったのだった。なんだ、結局スーパーの策略にはまってるじゃん。
夜の買い物の帰り、チラ見した花火。
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今年のゴーヤ初収穫。去年より少しだけ大きい。
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0720 Hobo's Night @神戸ホンキートンク [バンド]

0720 Hobo's Night w.Kobayashi @神戸ホンキートンク
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今回の Hobo's Night は、前回に引き続きMdの小林少年に参加して頂き、このトリオでは2回目のライブになりました。コロナは第7波に入らんとしているようだし、水曜日ということもあって、なかなかお客さんには来てもらえないかなと思っていましたが、小林君を観に行くよ、と言ってくれていたホンキーの歌姫Emiちゃんをはじめ、ベーシストの友人たちや、神崎川によく来てもらっていたN西先輩やA比奈君など少なからぬ人たちに来ていただき、緊張もしましたが、楽しくライブをすることが出来ました。やっぱりお客様は<神>ですね。有難うございました。
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元々はソロでやっていたこのライブなので、openingはギター1本で加藤登紀子詞のテネシーワルツを歌いました。初心忘るべからずということで。

小林少年、前回はブランク長井ということで、所どころ心もとないところもあったのですが、この期間どうも秘かに筋肉体操ならぬスキルアップを図っていたようで、随所に切れ味鋭い演奏を聴かせてくれました。ベースのHideちゃんも、以前のような音抜けもなく、むしろ新たな音を入れてきているようで、キーボードベースを楽しんでいるようにも見えました。
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バックがしっかりしてきたお蔭で、走り気味だった前回の演奏に比べて落ち着いたリズムで出来たように思いました。今回新たにやったのは、大学1年の初めの頃に練習した、Blue Sky Boys の "Happy Sunny Side of Life"。掛け合いの楽しさをお客さんにもお伝え出来たかな。いつも選曲ではあれもこれもとなってしまい、しぼっても1ステージ8曲になってしまい、この歳では体力的にきついなあ。
同郷の方たちと。
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コロナも今後どうなるか分からないですが、また来月もやれたらいいな、と思っておりますのでその時はよろしくお願いします。
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お店からの帰り、歩数不足を補うために住吉川を歩いていると、先日の夕方見たキカラスウリの花が、暗い川岸にいくつも咲いていました。本当に夜中咲くんだなあとびっくり。
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Set List
opening
Tennessee Waltz (A)

1st
Last Thing on My Mind (D)
It's a Sin to Tell a Lie (C)

Lone Star State of Mind (G)
Take Me Home Country Road (G)
Happy Sunny Side of Life (A)

ミスター・ボージャングルス (F)
Wait a Minute (B)
Lonesome Pine (G)

2nd
Gentle on My Mind (E)
Deportees (E)

Age (F)
I'm Using My Bible for the Road Map (A)
Raised by the Railroad Line (F)
Willin' (A)
Summertime (Gm)
Place in the Sun (A)

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0712 6時間降水量130mm(神戸市) [日々の散策]

キカラスウリの花。雨上がりの夕刻の住吉川に綺麗に咲いていた。
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この日は夜半から強い雨が降っていた。大雨警報も出されていたらしいが、05:43に解除されたと後で知った。雨脚は一旦弱まっていたが8時ごろから再び強く降り出した。警報は09:04に再発令されたらしい。公立の学校は大概午前7時に警報発令中の場合、午前中自宅待機になると思うが、この場合どういう対処になったのだろうか。現場は悩ましかったに違いない。

こういう時は住吉川に様子を見に行くのが常だったが、10時ごろには雨がほぼ上がったので、ブランチを食べ、昼寝をして、出かけたのは午後2時になってからだった。地域ブロガーとしてはちと遅きに失したかも(笑)。阪神芦屋駅の右岸のガード下が浸水のためか通行止めになっていた。

相生橋から眺めた住吉川。
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後でニュースを見ると、この日神戸市では6時間雨量が観測史上最大となる130ミリを記録したとのことだが、それほど増水しているようには見えなかった。2年前の大雨の時の方が大変だったような気がした(0708線状降水帯と住吉川)。歩道に下りて歩いてみた。
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確かに水量は多かったが、濁流というほどでもなかった。それでも歩道上には打ち上げられた枝や魚などが見られたので、午前中は水が歩道上まで上がっていたようだ。
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上流から流れてきた丸太。
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10時までは雨が降っていたので、4時間でかなり水が引いたということか。一時的な豪雨も大変だが、延々と降り続く方が怖いのかも知れないな。
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雨が上がった後の岸辺では、もう蝉が鳴き、花も復活。自然の復元力恐るべし。
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翌7月13日、いつもより遅く午後7時ごろの住吉川を歩くと、
川でたまに見かけていたキカラスウリが綺麗に咲いていた。
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こんな時間帯が一番美しいのだと知った。
こんな花も。
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この日は満月(バックムーン)でスーパームーンでもあったのだが、先月に続いて曇り空だったのは残念。
10時ごろかろうじて雲の合間から顔をのぞかせた月。
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8月の花と思っていた百日紅(サルスベリ)が早くも咲き始めている。
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DEPORTEE(流れ者) [私の好きな20世紀の唄たち] vol.82 [20世紀の歌Ⅱ]

DEPORTEE(流れ者)
written by Woody Guthrie & Martin Hoffman・訳詞:田川律
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この歌は、1948年のカリフォルニア州オークランドからメキシコに追放される28人のメキシコ人農場労働者を運んでいる飛行機の墜落事故を取り上げたもので、ウディ・ガスリーがこの事故にインスパイアされて、詩「追われ人(ロスガトスの飛行機事故)」を書き10年後にマーティン・ホフマンによって曲がつけられたということである。メキシコから出稼ぎ労働者として入国した彼らの死を、メディアは不法入国者であるからという理由で、名前も公表せずただ"DEPORTEE" とだけ伝えたのだった。
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私がこの歌に初めて接したのは、加藤登紀子の1978年のアルバムに入っていた日本語版によるものであった。当時姉からもらったカセットテープの中に入っていたので、アルバムの中の自作ではない曲として、流して聴いていたのだが、今に至るまで覚えていたのは、心に残る何かがあったのだろう。その後1980年に公開された映画『9時から5時まで(9 to 5)』を観て、映画にも出演していたドリー・パートンによるサウンドトラックの中にこの曲があり、ウディのつくった歌だったんだ、と初めて気付いたのであった。
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この歌に改めて注目したのは、数年前トランプ政権による米墨国境の「壁」建設のニュースがあったからだと思う。ウディの歌から70年以上経った今でも、不法入国者の問題が解決されないでいるという現実には驚くばかりだ。背景にあるのは南北問題などの経済格差があり、不法であると分かっていても、生活のために密入国してでも働かなくてはならない側面もあると思われる。翻ってわが国でも、技能実習生とうたって賃金の安い東南アジアからの労働者を受け入れている問題もあり、決して他人事ではない。

ウディについては以前一度取り上げた(RAMBLIN' ROUND)。あの歌は大砂嵐から逃れてカリフォルニアに移動した季節労働者(Okie,Hoboなどと呼ばれた)を歌ったものなので、国内的難民問題だともいえよう。日本語に訳されると「さすらい人」「流れ者」「ならず者」となり、やや美化された感じも受けるが、実際はもっと侮蔑的なニュアンスを持っているのだろうと思われる。"DEPORTEE"という語も直訳すると「被追放者」「強制送還された人」となるので「流れ者」という呼び方から受けるイメージとはかなり異なる。

当初この歌の訳詞を書いたのは加藤登紀子と思い込んでいたが、改めて調べると、音楽評論などをされている田川律(たがわただす)という方だと知った。彼は大阪生まれで、阪大文学部を卒業後「大阪労音」事務局に勤務され、その後上京して中村とうよう氏らと「ニューミュージック・マガジン(現ミュージック・マガジン)」創刊に参加したとある。日本におけるフォーク・ロックの受容を啓蒙する先駆者のお一人であったのだ。訳詞はウディの詞のやや激しい表現は避けているが、ほぼ原詩に忠実な名訳だと思われるので、私のつたない訳より彼の詞を引用させていただこうと思う。
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この歌はその後ピート・シーガー、ボブ・ディラン、ザ・バーズ、アーロ・ガスリー、ナンシー・グリフィスなど多くのミュージシャンによってカバーされている。悲しいことだが、この歌が今なお同時代的な意味を持ち続けていることの証であろう。
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youtube は以下のものを。他にも多数ある。
Deportee (Plane Crash At Los Gatos) Woody Guthrie
https://www.youtube.com/watch?v=qu-duTWccyI
Bob Dylan, Joan Baez - Deportees (Live)
https://www.youtube.com/watch?v=xAXV4JmuNrs
DOLLY PARTON DEPORTEE (9TO5 - SOUNDTRACK)
https://www.youtube.com/watch?v=Ec0A-bVqLlw
Arlo Guthrie, "Deportee"
https://www.youtube.com/watch?v=c2eO65BqxBE
Nanci Griffith Deportee (Plane Wreck at Los Gatos)
https://www.youtube.com/watch?v=BpR4u9-Gd9Y


DEPORTEES(流れ者)訳詞:田川律

桃の実は今赤く染まり
オレンジも刈り入れが終わった
あなたたちはメキシコへ帰る
わずかなお金を手にして

**
さよならホワン さよならロザリタ
Adios mis amigos, Este susi Maria
誰もあなたの名前を知らず
ただ流れ者と呼ぶ

監視の目をくぐって来た よけいもの
仕事が終れば帰って行く
600マイルかなたのメキシコへ
追われ にくまれ きらわれて

さよならホワン さよならロザリタ
Adios mis amigos, Este susi Maria
誰もあなたの名前を知らず
ただ流れ者と呼ぶ

飛行機はロス・ガトスの空で
火と燃えて丘に墜落
枯葉のように散ったあなたたち
ラジオじゃ名前も言わず

人間と認められず
死んでさえ 名前も知られず
その手で育てたオレンジさえ
口にするうれしさも知らず

さよならホワン さよならロザリタ
Adios mis amigos, Este susi Maria
誰もあなたの名前を知らず
ただ流れ者と呼ぶ

Goodbye to my Juan, goodbye, Rosalita,
Adios mis amigos, Jesus y Maria;
You won’t have your names when you ride the big airplane,
All they will call you will be “deportees”


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0707「小暑」の夏、本当に小暑? [日々の雑感]

七夕飾り@住吉川。
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私の故郷の島では七夕は月遅れでやっていたなあ。桟敷みたいなものを組み上げて、上で何か食べたり花火をしたようなかすかな記憶があるのみだが。島根でもコロナ感染が広がっているようで心配である。これまで抑えてきたのに。

7/7~7/22は二十四節気の「小暑」だが、もう「大暑」(7/23~8/6)並みの暑さだ。これから先どうなるんだろうね。
夏の雲たち。
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新たに生まれたカルガモの雛。
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芙蓉の花。
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道路に出てきたカニさん。
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閑話休題。
前日の7月6日は6カ月ぶりの膀胱内視鏡検査の日だった。
結果は今回も正常で、これをもって、3年3カ月にわたった膀胱がん再発の検査は終了とのことだった。

2019年4月8日に二度目の手術をしてから、初めの2年は3ヵ月毎、その後は6ヵ月毎の検査だったが、その度に再発していたら…という心配をしていたことから解放されるのかな。それほどの解放感がないのは、再発の可能性がゼロではないからだろう。

とりあえず完治したんだと思うことにして、紹介していただいた泌尿器科の医院で定期的に診てもらうことになりそうだ。結局早期発見しか方法がないのが今の医療の限界だということはよく分かった。身体によいと思われることはこれからも続けていきたいと思ったことだ。

寂しかった僕の庭にも桔梗と千日紅の鉢がやってきた♪
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植え直したゴーヤも今度は順調に育っている。
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コップに挿していたバジルの枝から根が出てきたので鉢に。すごい生命力。
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ツユクサ。
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上弦の月。
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風立ちぬ、いざ…


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7月2日は『半夏生(はんげしょう)』 [日々の雑感]

西浜公園の半夏生。葉の一部が白くなる。ので半化粧とも。
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こちらは植物の名前だが、季節の節目を表す雑節の「半夏生」と時期が符合しているのは面白い。雑節の「半夏生」は夏至から数えて11日目ということで、今年は7月2日。田植えのリミットを示す日だったようだが、現在ではもう意味を失っているかも。またこの時期には「半夏雨」といって、梅雨の終わりに大雨が降ることが多いということで、こちらは近年多いようでもあるので心配ではある。

この日の朝は家人の歩行訓練も兼ねて西浜公園を一周したが、西池にこんな鳥がいた。
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カルガモと同じぐらいの大きさで、初めて見た鳥のように思った
近くにアオサギが鎮座していたので、子アオサギなのかなと思ったがどうだろう。
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「半夏生」に蛸を食べるという風習は、スーパーでは定着しているように見える(笑)。
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我が家でもその戦略にまんまと乗せられて、この日のブランチには蛸をいただいた。
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そういえば去年のこの時期も、熱海市伊豆山地区で大雨による大規模な土石流が発生したのだった。酷暑と大雨が交互に襲来するこの時期は本当に大変だなあ。
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梅雨が例年になく早く開けたのも異常な気がするが、この朝これまた早い初セミの声を聞いた。
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神戸ホンキートンク7月のスケジュールなど [神戸ホンキートンクライブ日程]

すっかり夏の住吉川。暑つっ!!
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大谷君は暑い夏が大好きなようです。7月も頑張れ。
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すっかり夏ですね。各地で猛暑のニュースがあふれていますが、神戸は30℃ぐらいでおさまっているのかと思いきや、1日には最高気温37℃になって、散歩も汗だくになってしまいました。このまま酷暑に移行するわけでもなさそうですが、くれぐれも熱中症には注意したいものです。コロナもじわっと数が増えているようで心配ですな。

先月に続いてHobo's Night をやらせていただきます。今月のホンキーはびっしりバンドが詰まっているので、この日になりました。今回も小林少年が参加してくれます。

7月20日(水)Hobo's Night w.Kobayashi@神戸ホンキートンク
  19:30 ~ 2 Stage
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前回のライブよりRedwood Hill (B♭)


2回目なので前回よりリラックスして楽しく演奏できそうです。お時間があれば是非お越しください。ジャンル・レスで佳曲を。

神戸ホンキートンク7月のスケジュールがFBにアップされたので転載します。今月は出演バンドがぎっしり。お店に問い合わせの上ご来店くださいね。FBの「今週のホンキー」もご確認ください。

神戸ホンキートンク
神戸市中央区加納町2-2-2
Tel:078-241-2161
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神戸ホンキートンク7月のスケジュール 
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(クリックすると少し大きくなります)

7月1日の三日月。月齢2.36なので細いですね。
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それでは、今月もよろしくお願いいたします。
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