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Friend of Mine(あいつは俺の友だった)[私の好きな20世紀の唄たち]vol.49 [20世紀の歌Ⅱ]

He Was a Friend of Mine
          traditional
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-Yに捧ぐ-
この歌はディランの作と言っているものもあるが、元はトラディショナルで初出は'39年、 " Shorty George " という曲名で出ているそうだ。おそらくフォークリヴァイバルの中で様々なシンガーたちがアレンジして歌ったのだろうと思われる。以前から聴いていたはずだが、それほど印象に残っていなかったようだ。
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'06年に日本でも公開され、同性愛を描いて話題になった(アカデミー賞の監督賞)映画『ブロークバック・マウンテン(Brokeback Mountain)』の主題歌に取り上げられ、そこでウィリー・ネルソンが歌っているのを聴いて心に染みた。そのあとで、以前に買っていたナンシー・グリフィスの '98年の " Other Voices, Too " にも入っていたのを「再発見」したような次第である。
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歌の内容は、たぶん不慮の死を遂げた友を悼むものである。「友」というより「同志」といった方がいいのかもしれない。なにも悪いことなどしてなかったのに、路上で無残に死んでいった。誰も彼を助けてはくれなかったのだろう。そういう虐げられた者たちの歌だから、その時代時代で多くのシンガーたちが歌ってきたし、これからも歌い続けられていくのだろうと思った。前に触れた映画でも、当時(60年代)の同性愛者たちは今よりずっと偏見にさらされていたのだろうし、本人たちもその偏見から自由ではなかったかもしれないなあ、と改めて思う。
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余談だが、下の youtube で紹介した中でバーズのバージョンは、かのジョン・F・ケネディを「友」として詞を改作している。ダラスで撃たれたジョンのことを、当時多くの人々が悼んだであろうことが推察され、興味深い。直接の深い付き合いはなくとも、心の中で「友」と思っていた人を次々と喪っている今日この頃であるが、なんだかせつないなあ。

Youtubeはいろいろあげてみた。
Willie Nelson - He Was A Friend Of Mine
https://www.youtube.com/watch?v=ahc4GbDPEVI
Bob Dylan - He Was A Friend Of Mine (Finjan Club 1962)
https://www.youtube.com/watch?v=t2Xvt0_H5vA
Dave Van Ronk - He Was A Friend Of Mine
https://www.youtube.com/watch?v=754sRFIHIrA
Dave Van Ronk と Nanci Griffith がデュエットしてる。Dave が勝手に歌うので困っているNanci が可愛い。
https://www.youtube.com/watch?v=svCtvyIV9wY&list=RDsvCtvyIV9wY
The Byrds - He was a friend of mine
https://www.youtube.com/watch?v=nRanxGWKF8M


あいつは俺の友だった

**
あいつは俺の友だった
あいつは俺の友だった
あいつのことを思うと今も
泣かずにはいられない
だってあいつは俺の友だったから

あいつは路上で死んださ
あいつは路上で死んだんだよ
あいつはいつも金に困っていて
住む家とてもなかた
あいつは俺の友だった

俺はこっそり逃げ出しては泣いたよ
俺はこっそり逃げ出しては泣いたよ
だって金はちっとも手に入らないし
満足することなんて全くなかったから
そしてあいつはあいつは俺の友だった

あいつは悪いことなんて一つもしてなかったさ
あいつは悪いことなんて一つもしてなかったさ
故郷から千マイルも離れて暮らして
誰も傷つけたりしてはいなかったのに…
あいつは俺の友だったのさ

**
あいつは俺の友だった
あいつは俺の友だった
あいつの名を耳にするたびに
泣かずにはいられない
だってあいつは俺の友だったから

He Was a Friend of Mine

***
  He was a friend of mine
  He was a friend of mine
  Every time I think about him now
  Lord I just can't keep from cryin'
  'Cause he was a friend of mine

He died on the road
He died on the road
He never had enough money
To pay his room or board
And he was a friend of mine

I stole away and cried
I stole away and cried
'Cause I never had too much money
And I never been quite satisfied
And he was a friend of mine

He never done no wrong
He never done no wrong
A thousand miles from home
And he never harmed no one
And he was a friend of mine

***
  He was a friend of mine
  He was a friend of mine
  Every time I hear his name
  Lord I just can't keep from cryin'
  'Cause he was a friend of mine. 

 
Brokeback Mountain


Other Voices, Too (A Trip Back To Bountiful)


ターン・ターン・ターン(紙ジャケット仕様)


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悲しき雨音(Rhythm of the Rain)[私の好きな20世紀の唄たち]vol.48 [20世紀の歌Ⅱ]

" The Cascades "
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Rhythm of the Rain(悲しき雨音)
     written by John Gummoe

この曲は62年に出されて63年に大ヒットした " The Cascades " の楽曲である。よく知っているのだが、当時は小学生だったので当然同時代的に知っていたのではない。いわゆるオールディーズとして、特に雨の多い梅雨時にラジオなどでよく流されるので知っているのだろう。日本では回転数を上げて72年ごろ出されたものがヒットしたとも言われているので、こちらで知ったのかな。様々なミュージシャンによってカヴァーされているが、個人的にはダン・フォーゲルバーグが90年のアルバム " The Wild Places " でカヴァーしたものが、しっとりとした感じで好きだ(ちなみに彼は " High Country Snow " というごきげんなブルーグラス・アルバムも出している)。
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このバンドは60年ごろにカリフォルニア州サンディエゴあたりで、海軍の仲間で結成されたのが元になったようである。他にもヒット曲はあったらしいが、当時のアルバムをyoutubeで聴いてみるとあまり聞き覚えがなく、いかにもオールディズ然とした曲が多い中で上記の曲だけが異彩を放って今聴いても新鮮な感じを保っているように思える。やはり一発屋で終わったバンドだったといっていいのかもしれない。

邦題の「悲しき~」は例によって当時の命名の原則に従っているが、この曲に限って言えば原題の「雨のリズム」というそっけないものよりは内容を表しているといえなくもないなw 愛していた彼女に去られて落ち込んで、雨の音を聴きながら、ほっといてくれ、と八つ当たりしたり、逆に雨に彼女の気持ちを取り戻してくれと懇願したりと、ちょっと女々しい失恋ソングであるが、こんな気分になることもあるだろうから多くの人の共感も呼んでいるのだろう。ラジオでは流れないことが多いが、曲の冒頭で雷鳴が鳴り響き、次いで降りしきる雨の音が聞こえ、イントロが始まるくだりはとても斬新である。繰り返すが彼らの曲の中では奇跡的と言っていいほどサウンド的にも古さを感じさせない点からいっても、もはやオールディーズというよりはスタンダードと呼んだほうがいいと思えるほどの名曲である。

youtubeはまずご本家のもの。full album もアップされている。
Rhythm Of The Rain - THE CASCADES - With lyrics
https://www.youtube.com/watch?v=pt57gA1_W7c
よりしっとりとしたダンのもの。
Dan Fogelberg ~ Rhythm of the Rain
https://www.youtube.com/watch?v=loRE25Sc4ec



悲しき雨音 (大意。原詩は検索してみてください。)

外では雨が同じリズムを刻んでいる
お前はなんて馬鹿な奴だったんだろうと言うように
雨よどこかへ去って 僕を空虚な気持ちで泣かせておくれ
そして独りぼっちの昔に戻しておくれ

僕が初めて愛したひとは去ってしまった
新たな人生を求めてね
でもあの日去っていくとき
僕の心も一緒に持っていったことに気付かないでいる

 雨よそれはフェアじゃないんだと僕に言ってくれ
 彼女が僕の心を盗んでしまったのに気付かずにいるなんて
 自分の心を遠く持ち去られたままで他の人を愛するなんてできないよ

外では雨が同じリズムを刻んでいる
お前はなんて馬鹿な奴だったんだろうと言うように
雨よどこかへ去って 僕を空虚な気持ちで泣かせておくれ
そして独りぼっちの昔に戻しておくれ

僕が初めて愛したひとは去ってしまった
新たな人生を求めてね
でもあの日去っていくとき
僕の心も一緒に持っていったことに気付かないでいる


 雨よ僕がどれだけ深く彼女を愛しているか彼女に伝えておくれ
 そして太陽に彼女の心をもう一度燃え上がらせるよう頼んでおくれ
 そして二人の間に確かにあった愛がもう一度育つように

外では雨が同じリズムを刻んでいる
お前はなんて馬鹿な奴だったんだろうと言うように
雨よどこかへ去って 僕を空虚な気持ちで泣かせておくれ
そして独りぼっちの昔に戻しておくれ


悲しき雨音


Windows And Walls/Wild Places (2in1)


High Country Snows


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One Tin Soldier[私の好きな20世紀の唄たち]vol.47 [20世紀の歌Ⅱ]

One Tin Soldier(天使の兵隊)
written by Dennis Lambert and Brian Potter
The Original Caste
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The Coven
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The Bluegrass Alliance
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私がこの曲を知ったのは70年に出されたThe Bluegrass Allianceのアルバムによってであった(72年大学入学後に聴いたのだと思う)。ブルーグラスにカントリーやフォークの曲を取り入れたモダンなサウンドで、もともとモダン・フォークぐらいしか知らなかった私にはある意味とっつきやすく、また新鮮であった。この曲もサウンドや独特のアレンジに惹かれて聴いたり口ずさんだりしていたのだと思う。

今回とり上げるにあたって改めて調べてみると、オリジナルはカナダのポップ・ロックグループ「ザ・オリジナル・キャスト」というバンドが69年に出したものだと知った。このバンドはアメリカではそれほど売れなかったようだが、本国カナダと日本でヒットしたという特異な流布の仕方をしたようだ。彼らのもう一つのヒット曲 " Mr. Monday " を改めて聴くと聞き覚えがあり、当時ラジオでも流れていたんだろうなと思った。
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曲の内容は「反戦歌」ということであるが、直接当時の例えばベトナム戦争を指すというのではなく、寓話として欲望から愚かな争いをしてしまう人間たちへの警鐘といった内容である。邦題「天使の~」は本稿でもよく指摘している、当時の売れ線狙いの命名であって、「鉛の兵隊」もしくは「ブリキの兵隊」の方が原題に近いが、やはりこれでは売れそうにないと考えるのもうなづけるw
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戦争の動機がかの地の「財宝」を奪うことに根ざしているというのは、かつての列強による植民地化まで遡らなくても、「石油利権」や「海洋利権」などを思い浮かべると、現在世界の各地で起こっている紛争のほとんどが当てはまる気がする。それらに対抗するのが " Peace on Earth " という言葉だけというのはなんとも無力な感もするが、だからこそ多くの人々によって歌われなければならないのだろうとも思う。40年経ってあの当時の反戦の歌がにわかに手ざわりをもってよみがえってくるような気がするのは私だけだろうか。

蛇足になるが、この曲について調べる中で、英語版wikiで、この曲がバロックの「パッヘルベルのカノン」と同じ構成であるとの記述を見つけた。似た構成の歌は数多くあるようで、曲作りの一つのパターンとして興味深かったことだよ。
--The verse of "One Tin Soldier" has the same harmonic base as Pachelbel's Canon (I-V-VI-III-IV-I-IV-V). The chorus is a simple I-V-IV-I.--

youtubeは上記の3バンドのもの。
One Tin Soldier - The Original Caste [Original]
https://www.youtube.com/watch?v=cTBx-hHf4BE
One Tin Soldier - Lyrics - Coven
https://www.youtube.com/watch?v=HKx0tdlxMfY
One Tin Soldier - Bluegrass Alliance (1971) COMPLETE!
https://www.youtube.com/watch?v=f_Q_fkvCLnY

パッヘルベルのカノンの一つ。比較してみよう。
Pachelbel's Canon in D--Soothing music(the best version)
https://www.youtube.com/watch?v=hOA-2hl1Vbc


One Tin Soldier[天使の兵隊](大意。原詩は検索してみてください)

子どもたち、聞きなさい
遥か昔に書かれた物語を
山の上の王国と下の谷に暮らす民たちのお話

山の上には財宝が
大きな石の下深いところに埋められていた
谷の民たちはその財宝を
自分たちのものにしようと誓った

**
上にいる隣人を憎み
だますんだ
神の名のもとにそれを行え
そうすれば最後にはそれは正当化される
最後の審判の日がやってきても
トランペットの鳴ることはなく
血まみれの朝の後に
一人のブリキの兵士が去っていく

谷の民たちは丘の上にメッセージを送った
埋められている財宝を要求した
何トンもの黄金を渡さねば殺すと脅して

王国から返事が来た
我々の山に埋まっている全ての秘密と
全ての財宝を分け合おうと

今や谷の民たちは怒りで叫んだ
「馬に乗り、剣を持て」
そして山の民たちを殺し
当然の褒美を勝ち取った

彼らは財宝のそばに立った
山の上は暗く血に染まっていた
石をのけてその下を覗くと
そこには「この地上に平和を」
と書いてあるだけだった



ミスター・マンデイ~ベスト・オブ・オリジナル・キャスト


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From A Distance[私の好きな20世紀の唄たち]vol.46 [20世紀の歌Ⅱ]

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Nanci Griffith

From A Distance (ディスタンス)
       written by Julie Gold
       sung by Bette Midler, Nanci Griffith and many others

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Julie Gold
この歌はジュリー・ゴールドという方が85年に発表したものらしい。90年にベット・ミドラーの名唱で大ヒットしグラミーもとったことで全世界に知られ、多くの国の言語に訳されて広まっている。最初にこの曲を取り上げたのは、かのナンシー・グリフィスで、87年にリリースされた名盤 " Lone Star State of Mind " に収録されている。
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Bette Midler
歌の内容は、現実には争いや貧富の差などに満ちているこの地球も、遠く高い視点から見れば美しく愛に満ちているように見える、と語りかけている。もちろん見るべき現実から目をそむけよ、と言っているのではなく、近視眼的な目ではなく巨視的な目で見れば、本来のあるべき姿が見えてくると言いたいのだろう。あるいは、多くの人々は争いのない平和な世界を希求しており、争いや格差を生み出しているのはごく一部の権力者たちだけだ、と言いたいのかもしれない。

現実の向こうにある「あるべき世界」を「想像」してみようと歌ったジョン・レノンの " Imagine " と、「視点」を変えることで「あるべき世界」が見えてくるよ、と歌ったこの歌は、同じ願いを歌った一対の句のようにも見える。ただ、曲中の " GOD " はたぶんキリスト教の「神」を指しているのだろうが、だとするとそこにはイスラムの「神」も、オリンポスの神々や八百万の神々 etc. も含まれていないことになる。だから訳詩ではあえて「神々」と言ってみた。

あるいはそれらの神々を包括する「唯一神」的な存在がひょっとしたらあり、作者はそれを想定しているのかもしれない。宗教間の紛争が戦争の多くの部分を占めている昨今の状況を見ていると、それぞれの宗教を超えたより高い「視点」が今こそ必要とされているのかな、とも思う。

いずれにしてもこういう歌が存在し、そして歌い継がれ、歌い続けられることに何より大きな意味があるはずだ、と改めて思ったことだ。

youtube は上記の三人のものを。それぞれに味わいがあるなあ。
Bette Midler - "From A Distance" (Official Music Video)
https://www.youtube.com/watch?v=lN4AcFzxtdE
Nanci Griffith : From A Distance (1990)
https://www.youtube.com/watch?v=jF4BralTQW8
From a Distance, Julie Gold
https://www.youtube.com/watch?v=F4q9JUMF0oc


ディスタンス (大意。原詩は検索してみてください。)

遠く離れた処から眺めると
この地球は青と緑に見えて
山々が白い雪の帽子をかぶっている
河の流れが広い海と出会い
鷲がゆったりと飛翔している

**
遠く離れた処から眺めると
そこには素晴らしいハーモニーがあり
すべての大地に広がり響いている
それは希望の声
それは平和を希求する声
それはすべての人々の声

遠く離れた処から眺めると
私たちは皆十分満ち足りていて
誰も助けを必要としていない
銃も爆弾も病気もなく
飢えに苦しむ人もいない
遠く離れた処から眺めると
私たちは一つひとつの楽器で
共同の楽団でマーチを奏でている
希望の歌々
平和の歌々を
それらはこの地上の全ての人々の歌だ

神々は私たちをじっと見ている
神々は私たちをじっと見ている
神々は私たちをじっと見ている
はるか遠くから

遠く離れた処から眺めると
あなたも私の友に見える
たとえ私たちが互いに戦っていても
遠く離れた処から眺めると
私には判らない
今行なわれている全ての戦争が何のためにあるのかを
遠く離れた処から眺めると
そこには素晴らしいハーモニーがあり
すべての大地に広がり響いている
それは全ての希望の集まり
それは全ての愛の集まり
それは全ての人々の心の願い

神々は私たちをじっと見ている
神々は私たちをじっと見ている
神々は私たちをじっと見ている
はるか遠くから…

The Best Bette


Complete Mca Studio Recordings

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孤独の旅路(Heart of Gold)[私の好きな20世紀の唄たち]vol.45 [20世紀の歌Ⅱ]

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Heart of Gold
  Written by Neil Young

ニール・ヤング(Neil Young)はカナダの出身で45年生まれ、1966年4月に結成された " Buffalo Springfield " に始まり、その後 " CS&N " に追加参加して" CSN&Y " として活動する一方で、アコースティックなソロ作品や、バックバンド " CRAZY HORSE " を従えてのハード・ロックなど多彩な活動をして現在に至っている。

72年に発表された " HARVEST " というアルバムにこの曲は入っていた。私がニール・ヤングを初めて知ったのはこのアルバムによってだった。確か兄がプレゼントしてくれたのではなかったか。そういう時もあったんだなあ、と感慨ひとしおであるが。アコースティックギターとハーモニカ中心のサウンドとどこか物憂げな歌声に、当時相当惹かれて、盤が擦り切れるまで聴いた気がする。

「孤独の旅路」という邦題は例によって感覚的な洋楽の 題の付け方とも見えるが、そうでもないのかもしれない。"Heart of Gold"というのは直訳すると「金の心」ということであるが、何かしっくりこない。「至高の精神」とでも言った方が近いのかもしれない。「唄歌い」が人々に何を与え、訴えることができるのだろう、と考えた時の心の持ちようと考えたらいいのだろうか。

" Redwood " は前に紹介した71年のライトフットの曲でも歌われていて、「母なる自然=神」のことかな、と書いた。" Hollywood " にも単に映画の聖地という以外に「聖なる場所」というような意味が含まれているのかもしれない。いずれにしても、ミュージシャンは死ぬまで孤高に自分の求めるものを追い続けて行かねばならないという「使命」や「覚悟」を歌ったものだとすれば、邦題もあながち的外れとは言えないのかもしれないw
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もう70歳を超えようとしながらエネルギッシュな活動を続け、 " FARM AID "などの社会的活動もしているのは、まだ20代の頃変に老成したようなこの歌を作った彼が、ずっとその気持ちを心の底に持ちながら生き続けているということなのだろう。つい最近はどこかの珈琲メーカーの不買運動をぶち上げてネットを賑わしたりしているが。いずれにしても「永遠の青年」である彼がこれからも進み続けるその背中を、私たちも追いかけて行きたいものだと思う。

余談になるが、同じカナダ出身のイアン&シルビアの歌 " Four Strong Winds " をニールが歌っているのをネットで見つけたが、今ではニール・ヤングの歌と思われるほどよく歌っているらしい。それどころかカナダのフォークコンサートなどでは必ずエンディングで歌われるというのでびっくり。私は「ブラザース・フォーも歌っているな」ぐらいの認識しかなかったが、この40年の間に「カナダの『わが祖国』」的な位置づけになっていることに、一つの歌が歴史の中で定着していく様を見たような気持ちになったことだよ。

youtubeはまずニールのもの
Neil Young - Heart of Gold
https://www.youtube.com/watch?v=pO8kTRv4l3o
彼のものしかないだろうと思っていたら、ジョニー・キャッシュ御大のものがあった。
Johnny Cash - Heart Of Gold.flv
https://www.youtube.com/watch?v=SifH-4E98R8

孤独の旅路(大意。原詩は検索してみてください)

私は生きたい
私は与えたい
私は「黄金の心」を捜し求める鉱夫だった
こんな表現ではうまく言い表せないが
それが私に「黄金の心」を捜し続けさせる

そして私は次第に年老いてゆく
「黄金の心」を捜し続けながら
私は次第に年老いてゆく
ハリウッドにも行った
レッドウッドにも行った
広い海原も渡ったよ、「黄金の心」を求めて
自分の心の中にももぐりこんだよ
微妙な綱の上を歩いていた
そのことが「黄金の心」を捜し続けさせる

そして私は次第に年老いてゆく
「黄金の心」を捜し続けながら
私は次第に年老いてゆく


Harvest


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Puff (The Magic Dragon)[私の好きな20世紀の唄たち]vol.44 [20世紀の歌Ⅱ]

Puff (The Magic Dragon)
written by Leonard Lipton & Peter Yarrow
Peter Paul & Mary
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" Peter Paul & Mary " は '61年に結成されたモダン・フォークグループである。他の多くのフォークグループと違って、敏腕マネージャー、アルバート・グロスマンによって意図的に結成されたバンド、というと前に挙げた " The Monkees " と似ているといえなくもない。「売れるフォークグループ」を目指し、実際その通りに時代の寵児になっていった。古いフォークソングのモダン・アレンジに始まり、ピート・シーガー、ディラン、パクストン、ライトフット、ジョン・デンバーらソングライターの曲を世に出した功績も多大なものがある。「20世紀の歌」の冒頭に紹介したディランの " Blowin' In The Wind " も彼らの歌によって最初にヒットしたのであった。
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私が最初に PP&M を知ったのは小学6年生の頃だったから '68年前後だった(その直後に解散したんだなあ)。当時関東の大学に通っていた兄たちがレコードを持っていて、一緒に歌っていたのではなかったか。高校に入って安物のガットギターを手にして、初めはフォークルの歌などをギターをかき鳴らして歌っていたが、ちょっと難しい奏法をやりたくなって、PP&M のスコアを買って練習したのを覚えている。当時は原音のまま楽譜が載っていたので、だいぶ経ってから " Blowin' In The Wind " は3カポのDなんだと気付いたりしたw  学園祭でも演ったが、覚えているのは "Sometime Lovin " (しぶい選曲!)。

数ある彼らのヒット曲の中であえてこの曲を取り上げたのは、メンバーのピーターが共作したものだということがある。彼らのクレジットになっている曲も多くはトラディショナルのアレンジだと思われるからだ(解散前のアルバム " Peter, Paul and Mommy " やリユニオン後はオリジナルも多いが)。あくまでも私の印象なのであしからず。もう一つは反戦の歌や大人の男女の出会いと別れの歌が多い中で異彩を放っている歌だということだ。

歌の内容は、パフという年をとらない魔法の竜と純真な少年ジャッキー・ペイパーが友達になって、一緒に遊ぶというファンタジーだが、そのジャッキーもいつかは大人になり、パフと遊ぶことに飽きて去っていってしまう、という物語で、変わることのできない(純真さを失うことのない)パフはジャッキーとの別れを悲しんで再び洞穴の中に隠れてしまう。
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この歌を口ずさむ人はだれでもその年齢に応じて「自分の中からパフは消えてしまっているのだろうか」と自問するのではないか。茨木のり子の『汲む―Y・Yに―』という詩に「年老いても咲きたての薔薇 柔らかく 外にむかってひらかれるのこそ難しい」という一節があるが、いくつになっても柔らかい感受性を失わずにいたい、という願いのようなものが逆説的に語られているのだと思う。この歌はベトナム反戦運動の中で、反戦歌であるとか麻薬が歌われているとか言われたようだが、本人たちも言っているように決してそうではないと私も思う。

プロデューサーによって作られた彼らも、その活動の中で自在な感受性を駆使して、リユニオン後もマリーを失ってからも、PP&M であることを貫いている。その底にはいつでも " Puff " の一節が鳴り響いているように思う。私にとっては今でもFavorite Group であり続けている。
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youtube は画像が物語風なこれ。
Peter Paul & Mary - Puff The Magic Dragon
https://www.youtube.com/watch?v=Y7lmAc3LKWM
25th Aniversary Concert のもの。Present tense! という掛け声が泣かせる。
puff the magic dragon (live)
https://www.youtube.com/watch?v=3OiOlnoyljk
こんなアニメが見つかった
Puff The Magic Dragon (1978) FULL FEATURE
https://www.youtube.com/watch?v=0FyhTBvLu4w

パフ (大意。原詩は検索してみてください。)

パフは魔法の竜。海のそばに住んでいた
ハナリー島というところで秋の霞の中戯れ遊んでいた
ジャッキー・ペイパーという少年はいたずらもののパフが大好きで
彼のところにヒモや蝋のシールやいろんな遊び道具を持ってきて遊んでいた

**
パフは魔法の竜、海のそばに住んでいた
ハナリー島というところで秋の霞の中戯れ遊んでいた
パフは魔法の竜、海のそばに住んでいた
ハナリー島というところで秋の霞の中戯れ遊んでいたよ

彼らは一緒に帆をふくらませた舟に乗り旅をした
ジャッキーはパフの巨大な尻尾に乗って見張りをした
高貴な王様やお姫様は会うといつもお辞儀をしてくれるし
海賊どもの舟もパフが一声大声で自分の名を叫ぶと
掲げた旗を下げて敬意を表した

**
竜は永遠に生き続けるが人間の少年はそうはいかない
色を塗った翼や大きなリングはいつか別のおもちゃにとって代わった
ある暗い夜ジャッキー・ペイパーはもう来なくなった
強くて大きいパフももう不敵に吼えるのをやめてしまった

彼は悲しみのあまり頭を垂れ、緑の鱗も雨が降るように落ちていった
パフはもうさくらんぼの小道に遊びに行くこともなくなった
生涯の友を失って、パフはもはや勇猛でいることはできなくなった
強くて大きいパフは悲しげに自分の洞窟にすごすごと入ってしまったよ


ムーヴィング


ベスト・オブP.P&M


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I Can't Help It[私の好きな20世紀の唄たち]vol.43 [20世紀の歌Ⅱ]

I Can't Help It (If I'm Still In Love With You)
written by Hank Williams

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ハンク・ウィリアムス(1923 ~ 1953)はカントリーの歴史の中であまりにも偉大な足跡を残しているので、こうやって説明するのもおこがましい気がするが、先日もカントリーとは無縁の知人が「カントリーだったらハンク・ウィリアムスとか演るんですか?」と聞いてきたほど一般にも知られた存在であることは間違いない。ブルーグラスをやっていても " Jambalaya (On the Bayou) " や " I Saw The Light " などは普通にやっているし、" Your Cheatin' Heart " や " Honky Tonkin' " などはスタンダードとして様々なジャンルでとり上げられている。近くではノラ・ジョーンズがファーストアルバムで " Cold, Cold Heart " をJazzy なアレンジで歌っていたのが印象に残ってる。

彼はアラバマ生まれで、若い頃黒人ブルースシンガー Rufus Payne にギターと歌の手ほどきを受けたという。だから彼の作る歌にはブルースが色濃く反映されている。前にとり上げたジミー・ロジャースが亡くなったのが33年だから、若きハンクはジミーからも強く影響を受けて、彼のカントリーブルースを完成させたという見方もできるのかなと思う。

ハンクの歌には " Jambalaya " や " Hey Good Lookin' " のような明るい歌もあるが、 " Your Cheatin' Heart " や " Cold, Cold Heart "" Wedding bells "(この曲は以前ブルーグラスアレンジで演ったことがある) など恋人の裏切りや別れた恋人を思う、といった趣の歌が多い。1949年に " Lovesick Blues " (彼の作ではない)で一躍スターダムにのし上がった彼への周囲の嫉妬や軋轢、持病の二分脊椎症を紛らわせるため酒に溺れたこと、妻ジーンとの関係など彼の実生活が必ずしも幸せなものではなかったからなのかもしれない。
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今回とり上げた "I Can't Help It " はそういうハンクのウェットな面の曲の一つであるが、昔の恋人もしくは昔好きだった人を街で見かけて、ドキッとするというような体験は誰にでもあることだろうと思う。たとえ追憶の中に埋もれかけていた存在であっても、瞬く間に当時の情景や感覚がよみがえってくるのが不思議だが、そういう誰でも持つている生活のひとコマを切り取って歌にしてみせるのが才能なんだろうな。歌謡曲的と言えるのかもしれないが。
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訳詞をしながらふと思い浮かんだのが、40年以上前に姉たちがコーラスしていた歌の一節であった。

別れたあなたと 三年たって
街の小さな カフェで
ばったり 逢った
……
どうしてこんなに 胸がときめくの
忘れたはずの 恋人なのに…

よく似た趣の歌だな、と思ったことだよw

youtubeは先ずハンクのもの。
Hank Williams - I Can't Help It (If I'm Still In Love With You)
https://www.youtube.com/watch?v=StyKrwHhWdM
次にリンダのもの。エミルーがゴーストのように。
Linda Ronstadt and Emmy Lou Harris
https://www.youtube.com/watch?v=MZbUYS7Qos4
パッツィのはよりJazzyなアレンジだ。
Patsy Cline - I Can't Help It (If I'm Still In Love With You)
https://www.youtube.com/watch?v=OBarGG9cpCs

I Can't Help It (大意。原詩は検索してみてください。)

今日街で君の姿を見かけたよ
ドキッとして心臓が飛び出そうになった
まだ君のことを愛してるんだと思い知らされた
誰か別の人が傍に寄り添っていて
幸せそうに見えた
まだ君への気持ちを断ち切れずにいるみたいだ

昔君といた時の情景がよみがえってきた
肩をぶつけるように寄り添って歩いていた時の…
そして突然あの頃の感覚が膚によみがえってくる
まだ君への気持ちを断ち切れずにいるみたいだ

他の人が君の唇を奪っていると思うと辛くてたまらない
かつて僕たち二人が抱き合ってそうしたように
君と別れたことをこんなに後悔しているって誰が知っている?
今でも君への気持ちを抑えきれないでいるんだ






The Very Best Of [Import]


Heart Like a Wheel


Patsy Cline: The Definitive Collection


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Love Has No Pride [私の好きな20世紀の唄たち]vol.42 [20世紀の歌Ⅱ]

Love Has No Pride
written by Eric Kaz & Libby Titus
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この曲はリンダ・ロンシュタットの73年のアルバム「Don’t cry now」に入っていたもので知ったが、ボニー・レイトの72年のアルバム「Give It Up」に収録されたものが初めのようである。多くの人にカヴァーされた名曲であるが、作った本人たちは77年になってからそれぞれ自分のアルバムに収録している。
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表題にもなっている " Love Has No Pride " という言葉はなかなか難しい言葉である。含蓄があると言ったほうがいいのかも知れない。「愛」というものの純粋さを言っているのかもしれないし、そうではないのかもしれない。「人としてプライドを持たなくてはいけない」と言う時の「プライド」と「つまらないプライドは捨てよ」と言う時の「プライド」は違うはずだが、この歌の中ではどうだろう。

訳しながら見てみると、彼(彼女)に捨てられた女(男)が、なりふり構わず相手の帰りを願う、という歌にも見える。そう考えるといささか陳腐な感じにもなるのだが、ストーリー的に受け止めるのも正しくないような気もする。生まれては消えていく「時」の中にこそ「真実」はあるということなのかもしれない。

全くの余談ではあるが、この曲の共作者の一人であるリビー・タイタスは、77年に出したアルバム一枚だけで音楽シーンから姿を消しているようだが、実生活ではバリー・タイタス、レヴォン・ヘルム(ザ・バンド)、ドナルド・フェイゲン(スティーリー・ダン)と結婚し、現在に至っているようだ。彼女にとって「愛は惜しみなく与ふ」ものだったのか「愛は惜しみなく奪ふ」ものだったのか、興味深いことではあることだよ。

youtubeは5人分。見れるとよいけど。
Libby Titus - "Love Has No Pride"
https://www.youtube.com/watch?v=ByKDE3mOZd8
LINDA RONSTADT -- LOVE HAS NO PRIDE
https://www.youtube.com/watch?v=0hoX4rXJGWg
Bonnie Raitt - "Love Has No Pride"
https://www.youtube.com/watch?v=S2QTdxXmd0k
Rod Stewart -Love Has No Pride
http://www.dailymotion.com/video/x114x6m_rod-stewart-love-has-no-pride_music/
Love Has No Pride Eric Kaz
https://www.youtube.com/watch?v=Qcsvuwe4PhI


Love Has No Pride(愛は惜しみなく) (大意。原詩は検索してみてください。)

私は長い間悪い夢をみていたの
どうでもいいことだわと思えないほどに
楽しかった日々は過ぎ去り、一人ぼっちの家に取り残され
気に掛けてくれていた友達もやがて去っていった

**
愛にプライドはないわ、今はあなたの名を呼ぶだけ
愛にプライドなんかはないの、誰のせいでもない
あなたにもう一度逢えるのなら、全てを引き換えにするわ

ずっと独りぼっちの夜を過ごしてきた
あなたがいつか帰ってくれると信じて
「僕をずっと待ってるなんて、あいつおかしいよ」
とあなたは言っているみたい
この愛は自分を傷つけるだけだけど
そんなこと私は気にしたりしない

**(繰り返し)

あなたの愛をお金で買えるなら
すぐにでもそうするわ
祈ってそれがかなうなら
永遠に祈り続けるわ
私のほうから許しを乞えというなら
あなたの前にひざまづき
帰ってきて、と懇願する
あなたが帰ってきてくれるなら
哀願だって、すがりついて泣くことだってするわ

**(繰り返し)


Don't Cry Now


Give It Up


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Across The Great Divide [私の好きな20世紀の唄たち]vol.41 [20世紀の歌Ⅱ]

Across The Great Divide (大分水嶺を越えて)
written by Kate Wolf
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作者のケイト・ウルフは86年に白血病のため若くして亡くなった、フォーク系のSSWである。私が彼女のことを知ったのは98年に出されたトリビュート・アルバム " Treasures Left Behind: Remembering Kate Wolf " によってであった。一曲目の " GIVE YOURSELF TO LOVE " を当時大好きだった Kathy Mattea が歌っていたのが印象に残っている。
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標題の曲はこのアルバムには入ってなかったが、アルバムでも " Friend of Mine " を歌っていた Nancy Griffith が93年に出したカヴァー曲集 " Other Voices, Other Rooms " (これはカポーティの小説の題でもあるようだ)の一曲目にあるので知った。両者が結びついたのは実は最近のことであるww 本人の曲は " Close to You (1980) " に入っているのが初めである(現在発売されてない)。
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The Great Divide は別名 Continental Divide とも言って、北米大陸の分水嶺を指すことが多いようだ。ロッキー山脈を越えてカリフォルニアに出る、という感じで使われるのかな。07年にコロラドからロッキーを車で走ったことがあるが、偶然 " Continental Divide " の看板が出ている所に出くわした。その時は何か感慨深いものを感じたが、山脈は南北に連なっているので、きっと何箇所もあるんだろうな、と後で思った。
2007 USA trip のときの写真。
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西部開拓時代のロッキー越えの旅の辛さなども重ね合わせながら、今まで方向も定まらないままもがくように生きていた自分が、今「分水嶺」に立ち、新たな方向に確実に踏み出そうとする強い決意を表した歌なのかな、と思われる。この曲に限らず彼女の歌には生き方を真摯に模索しようとしているものが多い気がする。多くのミュージシャンたちに今でもリスペクトされている所以であろう。

youtubeはケイト自身のもの。
Kate Wolf - Across the Great Divide
https://www.youtube.com/watch?v=T2Kn3j7o2yY
ナンシーとエミルーのもの。
Nancy Griffith with Emmylou Harris - Across The Great Divide
https://www.youtube.com/watch?v=TyqgWYIVgQI

※ The Band にも同名の曲があるが別の曲である。

大分水嶺を越えて(大意。原詩は検索してみてください。)

私は夢の中をさまよいながら歩いてきた
羊の数を数える代わりにトラブルの数をを数えながら
時がどのように流れていくのか分からない
振り返った見たときそれらはただ過ぎ去っていった

埃にまみれた本や色あせた書類の
幾層もの思想を吟味してきたけど
そこに書いてあるのはは前から知っていたことや
遠い昔に起こった出来事だけだった

*
それは過去のものとして去り
今自分は大きな山の上に立っている
川が大きく流れを変えるところ
大きな分水嶺の上に

フクロウが啼いている声が聞こえた
夜のとばりが降りてくるような優しい声で
私に呼びかけてきたと思い、その声に応えてみた
けれども彼は境界の向こうへと去って行った

**
彼は時の向こうに去っていき
今自分は大きな山の上に立っている
川が大きく流れを変えるところ
大きな分水嶺の上に

私の見た至上の時は
夜が途切れて夜明けが姿を現した時だった
それは闇がすっかり消え去る時



Treasures Left Behind: Remembering Kate Wolf by Various Artists (1998-08-18) 【並行輸入品】


Other Voices Other Rooms


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THE LAST WALTZ[私の好きな20世紀の唄たち]vol.37 [20世紀の歌Ⅱ]

THE LAST WALTZ
written by Barry Mason & Les Reed
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THE LAST WALTZ と言うとザ・バンドの解散コンサートを指すようで、ネットで検索してもそれしか出てこない。だがここで取り上げるのは67年に英国のバラードシンガー、エンゲルベルト・フンパーディンクによって大ヒットした曲である。彼はカントリーの名曲「リリース・ミー」をカバーしてスターダムに上ったので、てっきりカントリー系AORの人だと思い込んでいたので、改めてびっくりしている。そういえば「思い出のグリーン・グラス」で有名なトム・ジョーンズも英国だったな。ビートルズだってカントリーやブルースの影響を強く受けていたのだから。

私がこの曲を初めて知ったのは、シャンソン歌手岸洋子の歌う日本語詞によるものだった。当時中学生だったと思うのだが、姉たちが岸のファンでよく彼女のLPを聴き、歌っていたので大概の曲は覚えてしまった。この歌もリフレインの「せめてもう一度、踊りたい貴方と、初めて会った、あの時のように」というくだりは40年たった今でも頭の中に残っている。彼女のレパートリーだからシャンソンかカンツォーネだろうと思っていたのだが違っていた。前にも書いたがこの時代の日本のシンガーたちは様々な洋楽の曲を取り込み、自分たちのものにしていたんだなあ、と驚嘆してしまう。日本では今でもカントリー系のシンガーによって歌い継がれているようだ。

曲の内容は、孤独な二人が出会いかつては愛し合っていたと思っていたが、いつしか愛はさめていって、もう別れるしかないと思っている。でもこれが最後だと思うと、別れ難い思いが募ってくる。せめて最後に一度二人で踊ろう、というなんとも切ない歌ではある。

youtubeはエンゲルのもの
Engelbert Humperdinck The Last Waltz
https://www.youtube.com/watch?v=sEApFUc0ih0
岸洋子の日本語版も秀逸
https://www.youtube.com/watch?v=I4r0jJz8UhA

ラスト・ワルツ(大意。原詩は検索してみてください。)

もう店を出たほうがいいのか迷っている
楽団は最後の曲目を残しスタンバイしている
それからホールの隅にいる君が視界に入った
一人ぼっちで恥ずかしそうにしている少女だ

**
最後のワルツを君と
孤独な二人が出会って
君に恋してしまった
最後のワルツよ永遠に

二人の愛の絆は強かった
いい時も悪いときも一緒だった
でも時がたって君の目から愛の炎が消えてゆき
君が別れを告げたとき僕の心は砕けた

***
もう全ては終わってしまった
何も言うことなどないさ
僕の目からは涙があふれ 
オーケストラの演奏は続いているけど

La la la la la la la la la la,
La la la la la la la la la la.


ラスト・ワルツ~エンゲルベルト・フンパーティング・ベスト・セレクション


岸洋子 ベストセレクション


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ローズ・ガーデン[私の好きな20世紀の唄たち]vol.35 [20世紀の歌Ⅱ]

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(I Never Promised You a) Rose Garden
written by Joe South
recorded by Lynn Anderson

この曲は女性カントリー・シンガーのリン・アンダーソンが70年に出した9枚目のアルバムからシングルカットされたものである。発売されるやカントリーチャートの#1はもちろん、ポップ・チャートでも最高3位にランクされるなど大ヒットになった。日本でもかなりヒットしたようなのでカントリー・ファン以外でも聴いたことがあるのではないか。作者のジョー・サウスについては良く知らないがアトランタでスタジオ・ミュージシャンをしていたシンガー・ソングライターだという。 " Games People Play " という曲でグラミー賞もとったことがあるというので、またさがして聴いてみようと思う。

その彼にとってもリンにとっても最大のヒットになったのがこの曲だが、詞の内容が男が女に別れを告げるものなので、出すにあたって周囲から反対されたそうである。それが大ヒットするのだから世の中わからないものだ。普通女性の歌を男性が歌う場合(逆も同じ) He を She に変えたりするのだが、この曲はあくまで男の歌として歌われている。詞の内容はわかりにくい所もあるが、恋や結婚に過度の期待を抱いているらしい女性に対して「そんな風に思い込まれちゃうと、困っちゃうんだけど」と別れを切り出している歌なのかな。カントリーにはこのような具体的な恋の歌が多く時に笑っちゃうのだが、そのストレートな明るさがいいところなのかも知れない。

「ローズ・ガーデン」には「ホワイトハウス(の庭)」という意味もあるらしく、この歌がでたころある雑誌でそういう裏の意味がある、というような記事を見たようなかすかな記憶があるが、今になってネットで調べてもよく判らない。裏の意味が仮にあるとすると最初のフレーズは「あなたを大統領にする約束をした覚えはないよ」ということになり、それは誰に対してということになるのだが、やはり後付けの意味ぐらいしかないと考えるのが妥当かな。

蛇足になるが、あの南沙織が71年に出した「17才」という曲は、作曲した筒美京平が上記の曲にインスパイア?されて作ったと自ら認めているようである。そう言われると始まりのフレーズとか似ている気がするが盗作というほどでもないだろうww

youtubeはLYNNのもの
https://www.youtube.com/watch?v=2-eclUz-RYI

男性代表でGlen Campbellのものも
https://www.youtube.com/watch?v=hbXHyFhF_A4

ローズ・ガーデン(大意。原詩は検索してみてください。)

ごめんね、君にバラの庭園を約束したことはなかったんだよ
太陽の輝く間にも時々は雨がやって来るときもあるのさ

人生はギブ・アンド・テイクなんだから君は生き、生かされ、
僕が去るままにするんだね

君にバラの庭園を約束したことはなかったんだから

僕は君に色々なもの、例えば大きなダイヤモンドをあげると
口約束できたかもしれない
けど、クローバーの茎にバラが育つなんてありえないから
君はそれをよく考えた方がいい

君の夢見た幻想が本当にかなうのなら
僕は今すぐにでも銀の皿にそれをありったけ載せてあげるだろう
でもそれって本当に大事なこと?

だから今、少しの間だけ微笑んで、陽気にやろう
愛ってそんなにくよくよ悩んだりするものじゃない
側に来て二人で出来る限りはいい時間を分かち合おうよ

ごめんね、君にバラの庭園を約束したことはなかったんだよ
太陽の輝く間にも時々は雨がやって来るときもあるのさ

君に求愛の歌を捧げ、結婚の約束をすることもできた
でも、もしそうしないと君を引きとめられないのなら
君が去っていっても仕方がないさ
でも、君に知ってほしいことが一つあるんだ

君は跳び込む前によく見た方がいい、静かな水面ほど深みがあり
そこから引っ張り上げてくれる誰かがいつもいるとは限らない
僕の言いたいことわかるよね

だから今、少しの間だけ微笑んで、陽気にやろう
愛ってそんなにくよくよ悩んだりするものじゃない
側に来て二人で出来る限りはいい時間を分かち合おうよ



16 Biggest Hits (Slip)


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我が心のジェシー[私の好きな20世紀の唄たち]vol.30 [20世紀の歌Ⅱ]

Jesse(我が心のジェシー)
written by Janis Ian
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この曲の作者はジャニス・イアンであるが,本人の歌より先に72年のロバータ・フラックの大ヒットアルバム " Killing Me Softly " からシングルカットされて知られるようになった。私も初めに聞いたのはそのアルバムである。ジャニス・イアンはまだ10代であった67年に" Society's Child " で衝撃的なデビューを果たし天才少女と呼ばれたが,その後結婚・離婚を経て半ば引退状態だったという。Jesse のヒットにより再び脚光を浴びるようになり,アルバム" Stars "(Jesseも収録)以降出すアルバムが次々とヒットして大スターに。日本でも人気があったが,特にテレビドラマの主題歌になった" Love Is Blind "(恋は盲目)は日本でメガヒットになったので覚えている方も多いと思う。

この曲は突然去って行った恋人を歌ったもので,vol.12 でとり上げた " BY THE TIME I GET TO PHOENIX(恋はフェニックス)"の逆の立場からの歌であるともいえる。この曲のすごさは,恋人に振られたとか捨てられたとかいう表現でなく,「いつもいるはずだった恋人の<不在>」という形で歌われている点であろう。<別れ> には色々な理由やいきさつがあるのだろうが,そういうことを歌わずにただ<恋人の不在>の寂しさを歌ったことが,逆にこの歌を普遍的な愛の歌にしているように思える。20代のジャニス・30代のロバータにそれぞれの味わいがあるように,それぞれの年代によって<不在>の持つ肌触りのようなものは微妙に変わってくる。そしてそれはいつかやってくる「親しい人の死という<不在>」にもつながる普遍性を持っている。

ジャニスはその後再び結婚・離婚を経て,近年になって同性愛者であることをカミングアウトし,3度目の結婚をしたと聞いている。まさに波乱万丈の人生を過ごし,60歳を過ぎたジャニスは今どのような" Jesse " を歌っているのだろうか。

youtubeは Janis Ian のもの
http://www.youtube.com/watch?v=H3Sg6kwpEfQ
ROBERTA FLACK の Jesse
https://www.youtube.com/watch?v=xPoZRJP1ZH8


我が心のジェシー(大意。原詩は検索してみてください。)

ジェシー、帰ってきて
二人が寝ていたベッドには
大きな穴が開いたままで
もう冷たくなって
ねえ、ジェシー、暖炉のそばで横になっていた
あなたの面影が
私の心のどこかにずっと引っかかっているの

階段の踊り場の灯りはつけたままにしておくわ
怖いからじゃない、あなたを待っているから
ねえ、ジェシー、寂しいの、帰ってきて

ジェシー、床板も食卓のテーブルも
あなたの足音を思い起こしている
私だって覚えているわ
全ての映像は光を失い
色あせて灰色になっていく
でも私は二人のために
今でも食卓をセットしているの

階段の踊り場の灯りはつけたままにしておくわ
怖いからじゃない、あなたを待っているから
ねえ、ジェシー、寂しいの、帰ってきて

ジェシー、ベッドの布団は
あなたが出て行ったときのまま
あなたがいつ帰ってもいいように
全ての憂鬱で不健康なものは
洗い清められて
まるで新しいものになったみたい
ねえ、ジェシー、あなたと私もよ…

夜になったら私たち階段の踊り場の灯りを細くして
私は髪をきちんと整え
知らないうちに眠ってしまうの…
だから、ジェシー、本当に寂しいの、帰ってきて




Best of Janis Ian/2CD + Exclusive DVD Edition


Killing Me Softly


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IF (Bread)[私の好きな20世紀の唄たち]vol.33 [20世紀の歌Ⅱ]

IF (Bread) written by David Gates
bread.jpg
" BREAD " というバンドは68年にロサンゼルスで結成されたソフト・ロックバンドである。スタジオミュージシャンをしていた3人が集まったので、共通するバックグラウンドがないのかもしれない。だからどのジャンルにも属さない「ソフト・ロック」などという本人たちが望んでもいないカテゴリーに入れられたのかな。

確かに70年に#1ヒットになった " Make It With You " をはじめとした" The Guitar Man " や " Sweet Surrender " などの代表曲はソフトでメロウな曲が多いので、そう名づけるのも無理からぬところがある。これもバンドからでなくスタジオから生まれた音楽だからといえるのかも知れない。

" IF " という曲は71年に出された3枚目のアルバムに入っている曲であるが、ブルーグラスの " ⅡGENERATION ” という女性ボーカルのバンドがカヴァーしていて、ひょっとしたらそこから " BREAD " を知ったのかもしれない。当時ベスト盤(アンソロジーかも)を購入して(最初はレンタルだった?)、よく夜中に聴いていたのを思い出す。美しく甘いメロディだけでなく歌詞の内容も、イフという仮定法を使って「君がこの世で唯一無二の愛すべき人だ」と、この年になるとかなり気恥ずかしい気もする求愛の歌である。やはりこの歌は恋を始めたばかりの若者が、夜中に愛する人のことをひたすら想って聴く(歌う)歌のようである。

youtubeは背景の美しいこれ!
https://www.youtube.com/watch?v=fwyT1qoaB98

イフ(大意。原詞は検索してみてください。)


一枚の絵が千万の言葉を表わせるなら
僕が君の絵を描けないのはなぜだろう
どんなに多くの言葉を操っても
僕が知ってしまった君のことを
表現することはできないだろう

もし一人の女性に千万の船が押し寄せてくるなら
僕はどこへ向かえばいいのだろう
僕の帰る港は君の元しかないし
君だけが僕に残されたたった一人の女性なのに
そして僕から生きる気力が失われた時こそ
君の注いでくれる愛が必要なのに

もし人が同時に二つの場所にいることができても
僕はいつも君と一緒にいるよ
明日も今日も
君のそばから離れずに

もし地球が自転を止めなくてはならなくなり
少しずつ速さを弱めて滅亡へと進むなら
僕はその最期の時を君とともに過ごそう
もしこの宇宙の寿命が尽きたら
星たちはひとつずつ消え去っていって
君と僕は星たちとともに宇宙のかなたへ飛んでいくんだ




The Best of Bread


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オールド・ディキシー・ダウン[私の好きな20世紀の唄たち]vol.34 [20世紀の歌Ⅱ]

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The Night They Drove Old Dixie Down
     written by J.R.Robertson

この曲は68年に出された、カナダのロックバンド " THE BAND " の2枚目のアルバムに収録されている。このアルバムを最初に聴いたのは高2のときだったと思う。安来に住んでいる級友が「このアルバムええで(なぜに関西弁?)」といって聴かせてくれたが、離島出身の私は兄たちに教えられたPP&MやS&G、ジョーン・バエズぐらいしか知らぬフォーク少年だったので、あまりピンと来ないまま日が過ぎた。大学に入ってからバエズがこの曲をやっていたので、そこから " THE BAND " を「再発見」したのだろうと思う。

ザ・バンドについてはあまりにも有名なのでへたな紹介はできないが、自分なりの興味でいうと、アメリカ南部出身のレヴォン・ヘルム以外は皆カナダ人なのに、なぜアメリカ南部の音楽に傾倒するのか、ということだった。カナダのケベックあたりにはフレンチ・カナディアンがいてかつて差別的な扱いを受けていたようである(イアン&シルビアの " SONG FOR CANADA " )。そのアカディア人たちの一部が、ルイジアナにいる同胞を頼って流れ着いた、という話もあったので、彼らもそういう人たちと関係があるのかな、と漠然と考えていた。

この曲について書くにあたって少し調べると、そうでもないことが分かった。作者のロビーはユダヤ系カナダ人らしく、だとすると彼らがアメリカのルーツ・ミュージックに傾倒するのは自国の音楽にはない魅力を感じたからなのだろうか。私たち日本人が縁もゆかりもない異国の音楽 " BLUEGRASS " に惹き込まれたように。カナダのミュージシャンたちの多く(ライトフットやアン・マレーetc.)がアメリカナイズされるのと同じなのかな。

「オールド・ディキシー・ダウン」は南北戦争が終わりを告げる年(1865年)の冬のことを歌っている。ロビーが曲を書くにあたってアーカンソー出身のレヴォンがアドバイスをしたそうであるが南軍の立場から描かれている。南部の音楽であるブルー・グラスやカントリーには同種の歌が多いが、いずれもディキシーの国に対する愛着にあふれている。黒人奴隷制度は確かに否定されるべきであるが、いきなり " CIVIL WAR " の形で侵攻されたことには強い憤りを感じたのだろう。曲中に出てくるリー将軍も自身は「奴隷制には賛成ではなかったが、郷里のバージニアへの郷土愛などの理由により、1861年、サムター要塞の戦いの後、連邦軍を辞職しバージニアに帰郷した。」とある(by Wiki)。

時代遅れとして一方的に否定された者たちが、かなわぬまでも戦って散っていく、というのは日本の「新撰組」や「義経」「白虎隊」などに通じるものがあるような気がする。南部の人たちの温かさは " SOUTHERN HOSPITALITY " として今でも受け継がれている。

youtubeは78年のラスト・ワルツから
https://www.youtube.com/watch?v=jREUrbGGrgM
ジョーン・バエズのも
https://www.youtube.com/watch?v=C_ksYL26lZEyoutube

オールド・ディキシー・ダウン(大意。原詩は検索してみてくださいね。)

俺の名はヴァージル・ケイン、ダンヴィル鉄道で働いていた
たくさんの北軍の騎兵隊がやって来て線路を再び壊すまでは
1865年の冬、俺達はひもじさに耐えながらやっとのことで生きていて
陥落したリッチモンド行きの列車に乗っていた
あのときのことはよく覚えているさ

 北軍が愛するディキシーに侵攻してきた夜
 周り中で鐘が鳴り響いていた
 北軍が愛するディキシーに侵攻してきた夜
  人々は皆歌っていた
  休むことなく ナナナナナ…

妻とテネシーに戻ったある日彼女が言った。
「ヴァージル, 早く来て見て!ロバート・E・リーが行進しているよ」
今俺は何も気にはしていないさ
木こりをしていて稼ぎが悪くてもどうってことはない
必要なことだけに使い、あとはほうっておけばなんとかなる
だが、北軍は俺たちの一番大切なものを奪っていったんだ

 北軍が愛するディキシーに侵攻してきた夜
 周り中で鐘が鳴り響いていた
 北軍が愛するディキシーに侵攻してきた夜
  人々は皆歌っていた
  休むことなく ナナナナナ…

親父がそうだったように俺はただの労働者だ
兄貴がそうしたように俺も反乱軍に与した
あの時兄貴は18歳で、誇りと勇敢さに満ちていた
だが、ヤンキーのやつらが兄貴を墓場に送ったんだ
俺は足元に流れた血に向かって叫ぶ
お前が怒り騒いでも打ちのめされた兄貴を取り戻すことはできないんだ

 北軍が愛するディキシーに侵攻してきた夜
 周り中で鐘が鳴り響いていた
 北軍が愛するディキシーに侵攻してきた夜
  人々は皆歌っていた
  休むことなく ナナナナナ…




The Band


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OLD FASHONED LOVE SONG[私の好きな20世紀の唄たち]vol.31 [20世紀の歌Ⅱ]

オールド・ファッションド・ラブ・ソング
( AN OLD FASHONED LOVE SONG )
     written by Paul Williams
three-dog-night-4.jpg
この歌は68年に結成された、スリー・ドッグ・ナイト(Three Dog Night)の71年のアルバム「ハーモニー」からシングルカットされヒットした曲である。このバンドは3人のリードボーカルと4人のバックバンドという構成ではじめから作られた、珍しいバンドである(メジャーになってバックバンドを入れるというパターンは多いが)。高二のとき音楽好きの友人に教えてもらった記憶がある。彼らは自分たちでは曲を作らず、無名のソングライターを発掘してヒットさせるというスタイルであった。彼らによって日の目を見るようになったミュージシャンはハリー・ニルソン(One)やランディ・ニューマン(Mama Told Me Not to Come)など数多い。ちなみにバンド名は「アボリジニが寒さの厳しい夜に3匹の犬と寝る」という風習にちなんでいる(公式サイトの記述より)。3人のボーカリストの結束を表したものだろうか。

この歌の作者であるポール・ウィリアムズ(Paul Williams)もまた彼らによって世に出たシンガー・ソングライター(俳優もやっているそうな)である。この人はまた、ロジャー・ニコルスと一緒にカーペンターズのいくつかのヒット曲も手がけている(We've only just begunなど)。自身で歌っているこれらの曲もなかなか味わい深い。

曲の冒頭の " Just an old-fashioned love song " というフレーズはなかなか訳しにくい。ネットで訳詩を見てみたが「ただの古臭いラブ・ソング」といってしまうと身もふたもない気がする。考えるに古いフォークソングやカントリーソングを指しているのではないかと思われる。それらの歌には失恋の歌が圧倒的に多いので自信がない部分もあるが、しいて一例を挙げると " Hello, Mary Lou " とか " You Are My Sunshine " かな?" Banks Of The Ohio " ではあかんやろ(笑)。それぞれさがしてみるとよいと思う。それはともかく、作者はそういった古いラブソングの中にある<誠実さ> (sincerity)のようなものに惹かれているのだろうか。そしてそれらは現代社会では失われつつあるとも考えているのだろうか。いずれにしても甘くせつない響きを持った歌である。

youtubeは75年のライブ映像
https://www.youtube.com/watch?v=AM7zb5FMmLM
Paul Williamsのものも
https://www.youtube.com/watch?v=RpPIbAec0E8

オールド・ファッションド・ラブ・ソング(大意。原詩は検索してみてください。)
( AN OLD FASHONED LOVE SONG )

昔懐かしいラブソングがラジオから流れてくる
その唄では二人が決して別れないと契りあっている

曲がゆっくり流れている間
君は「この唄前に聴いたことあるわ」って言う
(唄の中の)二人を連れ戻す必要はないさ
二人は決して別れることはないから

**
 昔風のラブソング
 それはきっと君と僕のために書かれた唄
 昔風のラブソングが
 三声のコーラスで流れてくる

夜になったら灯りを落として
この唄を聴きながら
愛の夢を紡ぐんだ
二人の間にに生まれた優しい感情を
音楽に乗せて

曲がゆっくり流れている間
君は「この唄前に聴いたことあるわ」って言う
(唄の中の)二人を連れ戻す必要はないさ
二人は決して別れることはないから

**
 昔風のラブソング
 それはきっと君と僕のために書かれた唄
 昔風のラブソングが
 三声のコーラスで流れてくるよ…



              

ジョイ・トゥ・ザ・ワールド~ベスト・オブ・スリー・ドッグ・ナイト



オールド・ファッションド・ラヴ・ソング


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汽車を待つならず者のように[私の好きな20世紀の唄たち]vol.38 [20世紀の歌Ⅱ]

guy.jpg
Desperados Waiting for a Train
by Guy Clark

私がこの歌を初めて聴いたのはリタ・クーリッジの74年のアルバム " Fall Into Spring " からであった(やっぱり女性ボーカルが好きなんやなあと言われそう、それが何か?ww )。冒頭に " RED RIVER VALLEY " のメロディが流れ、それにかぶさるようにリタの歌が入ってくる、というドラマチックな構成が印象的であった。その後CDの時代になってしばらくして同じアルバムを探したが、アルバムもこの曲の入っているベスト盤も出ていなかった。今回この稿を書くにあたって youtube でリタの歌と再会したのは何よりうれしいことだった。 youtube は偉大だww

あのころは誰が書いた曲かということはあまり眼中になかったが、かなり後になってからこの曲が テキサス出身のカントリー系シンガー・ソングライター、Guy Clark が75年に発表したものだと知った。前に( vol.4で ) 紹介したJERRY JEFF WALKER とかなり近い関係にあるらしい。そういえば上記のリタのアルバムに入っている " A Nickel For The Fiddler " という曲も彼の作のようで、リタがとり上げてデビューに至ったということなのかもしれない。

Desperado(ならず者)という語はイーグルスの歌( vol.3 参照)でも使われているが、スペイン語っぽい語感なのでメキシコとの国境付近に跋扈していたならず者(流れ者)を指すのかもしれない。テキサスからカリフォルニアにかけてはメキシコ領だった時代もあったようだから。曲の内容は作者自身らしい若者と、若い頃は石油掘りでぶいぶい言わせていたらしい老人との出会いからその死までが年代記風に語られている。世間からは爪弾きされているかもしれないその老人を、若者はリスペクトしている。存在そのものが世界と対峙しているかのように受け止めているのだろうか。なんかそういう曲が多いなあ、自分がとり上げる曲は。でも JERRY にとっての Bojangles , Dirt Band にとっての Uncle Charlie , Bill にとっての Uncle Pen など身近な年長者への敬愛が感じられるものは多い気がする。今の日本では失われつつあるのかもしれないなあ。

歌詞の最後の " Come on Jack, that son of a bitch is coming " という部分はよくは判らないが、世間からはそう見られているよ、ということなのかもしれない。ジョニー・キャッシュ、クリストファーソン、ウィリー・ネルソン、ウェイロンら大御所たちが組んだバンド " The Highwaymen (country supergroup) " のライブ映像を見ると、この部分で喝采が起こるのが印象的であった。またリタの歌詞では " sweetest child " と言っているように聞こえる。最も卑俗なものが最も聖なるものである、という宗教的な意味合いもあるのかな、と思われる。

この曲を作ったときは30代だった作者も、もう70代半ばになる。そういうことを思いながら今聞くと味わい深さがさらに増してくるような気がする。

youtube はまず本家のもの
Guy Clark Desperados Waiting For The Train(Old Number 1°)
https://www.youtube.com/watch?v=VbB5TRLF9mo
リタのものも
Rita Coolidge - Desperados Waiting for the Train
https://www.youtube.com/watch?v=5DjlaEcawoc
最後にハイウエィ・メンのライブ映像を
The Highwaymen / Desperados Waiting For A Train
https://www.youtube.com/watch?v=N_jFpa8WzYw

汽車を待つならず者のように (大意。原詩は検索してみてください)

俺は「赤い河の谷間」を歌っていた
爺さんははキッチンで泣いていた
70年の人生を振り返り
「神よ、どうして私の掘る油田は全て涸れてしまうのか」と
俺と爺さんはながい友達だった
汽車を待つ無法者のように
汽車を待つ無法者のように

奴は流れ者の油田掘りだった
世の中のことを教えてくれる先生だったよ
飲みすぎて運転できないとき俺に車の運転を教えてくれた
ウィンクして女の子と遊ぶ金をくれたよ
俺たちの暮らしぶりは懐かしい西部劇のようだった
汽車を待つ無法者のように
汽車を待つ無法者のように

俺がなんとか一人歩きできるようになった頃
奴は俺を「緑の蛙のカフェ」というバーに連れて行ってくれた
そこではビール腹の老人たちがいて
大法螺を吹きながら四六時中ドミノに興じていた
まだガキだった俺のことを爺さんの相棒と呼んでいたよ
汽車を待つ無法者のように
汽車を待つ無法者のように

ある日ふと気がつくと爺さんはもう80を過ぎていて
茶色いタバコのヤニが顎のあたりに染み付いていた
俺にとって奴はこの国のヒーローだったんだ
なぜか皆と同じような格好をして
ビールを飲み「月と42」というゲームをしていた
汽車を待つ無法者のように
汽車を待つ無法者のように

爺さんが死ぬ前の日爺さんに会いに行った
俺はすっかり大人になり奴は今にも逝きそうだった
俺たちは目を閉じあの日のキッチンを想った
あの古い歌に別の詞をつけて歌った
「来な、ジャック、ろくでなしがやってくるぞ」
汽車を待つ無法者のように
汽車を待つ無法者のように…



Old No. 1 / Texas Cookin


The Highwayman Collection


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RAMBLIN' ROUND[私の好きな20世紀の唄たち]vol.36 [20世紀の歌Ⅱ]

woody1.jpg
RAMBLIN' ROUND
  written by Woody Guthrie

私がウディ・ガスリーを知ったのは、ご多聞にもれず「我が祖国(This Land Is Your Land)」の作者としてであった。「フォークの父」と呼ばれ、生涯に1000曲以上の曲を作り、フォークシーンだけでなくブルーグラスやカントリーの多くのミュージシャンによってカバーされているのだが、いまだに彼の偉大さはよく判っていないような気がする。単に勉強不足なだけかもしれないが。かのボブ・ディランが最も敬愛したフォーキーだということもよく知られている(彼は " SONG FOR WOODY " という曲までつくっている)。

彼は'12年にオクラホマ州のオマケーで生まれ、'31~'39年にオクラホマ一帯で起こった「大砂嵐(Dust Bowl)」を受け、カリフォルニアに移動した多くの季節労働者( Okie と呼ばれた。そういえばマールハガードの歌に Okie~という歌があったな…。) と共に妻子をおいて行ったらしい。このときの体験が、彼のその後の思想や政治観に大きく影響を与えたであろうことは想像に難くない。上記の曲もその時の体験を元に創られた「ダストボールバラード」の一つなのであろう。
これは自伝映画の画像
woody2.jpg
" RAMBLIN' ROUND " は都会派フォーク系ブルーグラス・バンド? " Green Brier Boys " のアルバムで初めて聴いたが、リンダ・ロンシュタットやディランなど多くのミュージシャンによってカバーされている。メロディは " Goodnight, Irene " から採ったもののようだ(自分のライブでは一緒くたに歌っているww)。カリフォルニアに行けば素晴らしい生活が待っていると思って行ったら、低賃金で酷使される生活が待っているだけだった、というオーキー(hobo でもある)たちの悲しい暮らしぶりが語られている。歌の中に " refugee " という語が出てくるが、今でいうなら「難民」ということだろう。また、いつの時代どこの国でもそうなんだなあと思うのだが、親の期待に応えたいという気持ちと、反発する気持ち、応えられなかったなあ、という屈折した感情が窺えて、二人の父(実父と義父)を喪った今、はげしく共感してしまう。
※この記事は2014.12.18にアップしたものの再掲である。

youtubeは息子アーロのものなど4つあげておく。
Arlo Guthrie Ramblin' Round
https://www.youtube.com/watch?v=ZxQIgOSF9sw
Woody Guthrie- Ramblin' Round
https://www.youtube.com/watch?v=s15GSPGc7CM
Fan Made:Ramblin' 'Round - Linda Ronstadt
https://www.youtube.com/watch?v=A0-lehLc9M0
Ramblin' Round, Joe Henry & Kris Kristofferson -Woody Guthrie Tribute Concert-L.A.-4/14/12
https://www.youtube.com/watch?v=RV9iUKT1na8

Ramblin' Round (大意。原詩は検索してみてくださいね)


**
あちこちの町を巡り
あちこちの村を廻る
どこを巡っても
友に遭うこともなく
流れ流れている

桃の実は収穫のときを迎え
枝々はたわわに実をつけている
俺はたった1ドルのために
一日中それを摘み
また流れ流れていく

時に桃の実は腐って
地面に落ちていく
どんな桃の実でも
俺たちはそれで飢えを満たし
また流れ流れていく

親父は俺がひとかどの人間に
なることを望んでいた
なのに今俺はただの難民として
流れ歩いているだけなのさ





The Ultimate Collection


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I GOT A NAME[私の好きな20世紀の唄たち]vol.32 [20世紀の歌Ⅱ]

Jim_Croce.jpg
I GOT A NAME (アイ・ガッタ・ネイム)
  written by Norman Gimbel and Charles Fox

この曲はシンガー・ソングライターのジム・クロウチが書いた曲だとずっと思っていたが、今回あらためて調べてみると上記の人たち(「やさしく歌って」を書いた人たち)の作品であるとわかった。ジムの5枚目のアルバム " I GOT A NAME " に入っていて、他の曲はほとんど彼自身の作なので、逆に何か因縁じみた感じがする。

ジムの音楽はカテゴリーとしてはフォーク系に属するのだろうか、若い頃は妻のイングリッドと、イアンとシルビアのようなデユオを組んでいた時期もあったようだ。73年の7月に "Bad, Bad Leroy Brown" が#1ヒットになって、これからスターダムをのし上がると思われた9月に、飛行機事故のため最後のアルバムのリリースとヒットを知ることもなく、30歳の若さで亡くなってしまった。

先ほど因縁という言葉を使ったが、そう言わずにはいられないほどこの曲はジム自身を歌っているかのように思われる。ジム・クロウチという「名」を持ってこの世に存在し、「歌」を武器にして父親の世代が見ることのかなわなかった「夢」を追いかけて実現しようとしていたのだ。この曲をテーマソングにした映画「ラスト・アメリカン・ヒーロー」もジムの死後に発表されたのだが、それもカーレースに夢をかける青年の物語である。

ディランやライトフットと並んでブルーグラスで取り上げられることが多いのがジムの作品である。 " AGE " や " THURSDAY " などと同じように、この曲も「ジムの歌」としてこれからも多くの人に歌い継がれることだろうと思う。

youtubeはスタジオ録音のもの
https://www.youtube.com/watch?v=cadvn16N188
The Last American Hero (1973)の挿入歌。こちらもよい。
https://www.youtube.com/watch?v=9NXe-QuyBMg

※2012年の映画「ジャンゴ繋がれざる者」でも使われているらしい

アイ・ガッタ・ネイム (大意。原詩は検索してみてくださいね。)

曲がりくねった道に輪郭をつける松の木のように
僕は名前を持った
僕は名前を持った
歌を口ずさむ鳥や沿道で鳴くカエルのように
僕は名前を持った
僕は名を持ってこの世に存在しているんだ

親父もそうしたように僕も自分の名を背負って生きてゆく
でも僕は親父があきらめた夢を追い続けていくんだ
前に見える道をひたすら進んでいくんだ
転がりながら前へ進んでいくんだ
前に進み続けていれば死に追い越されることもないさ

空からひゅうひゅうと吹き降ろす北風のように
僕は歌を手に入れた
僕には歌がある
夜に鳴く夜鷹や赤ん坊が泣き続けるように
僕には歌がある
僕は歌い続けるんだ

いつも歌とともに在って誇りをもって歌うんだ
たとえ行き着く先がわからなくても
ぼくはそこへ誇りを持って向かっていく
前に見える道をひたすら進んでいくんだ
転がりながら前へ進んでいくんだ
前に進み続けていれば人生に裏切られたりはしない

僕はどこまでも自由に向かう

どんなに愚かに見えようとも
常にそうでありたい
僕には夢がある
夢を追いかけていたい
周囲の考えが変わっていっても
誰も僕の心は変えられないさ
僕には夢があり
生きている限りその夢を捨てることはないさ

君が望むなら夢を分かち合うことができるさ
君が僕と同じ道を望むなら、ともに歩いていこう
前に見える道をひたすら進んでいくんだ
転がりながら前へ進んでいくんだ
前に進み続けていれば人生に裏切られたりはしない

前に見える道をひたすら進んでいくんだ
転がりながら前へ進んでいくんだ
前に進み続けていれば人生に裏切られたりはしない



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You Needed Me(辛い別れ)[私の好きな20世紀の唄たち]vol.39 [20世紀の歌Ⅱ]

anne.jpg
You Needed Me(辛い別れ)
    written by Randy Goodrum
    sung by Anne Murray

アン・マレーはカナダ出身のカントリー・ポップシンガーである。こうしてみるとアメリカで活躍しているカナダのミュージシャンがけっこう多いのに改めて気がつく。彼女はデビューする前は高校で体育教師をしていたそうで、そう思っているせいか若いころは特に健康美を感じていたww

デビュー・ヒットといっていい70年の " SNOWBIRD(雷鳥) " ははつらつとしたボーカルが好きで、よくバンドでも演奏していた。初めてこの曲を聴いたのは同じブルーグラスの学生バンドがフェスで「雪の渡り鳥」と紹介して演奏したものだったような気がする。どんな演奏だったかは覚えていないのだが。

そんな彼女も30代になって、しっとりとした大人のバラードを歌うようになった。78年に出されたアルバム" Let's Keep It That Way " に入っている「辛い別れ」はその年のグラミーを受賞しているが、酸いも甘いも噛み分けた大人の女性の愛をみごとに歌っている。作ったのはRandy Goodrumで、セルフカバーのアルバムの中で同曲を歌っているので聴き比べるのもよいと思う。

邦題の「辛い別れ」は例によってイメージ優先のそれかと思っていたが、さにあらず、歌の内容を汲み取った上で最良の命名をしたかの感がある(ちょと言い過ぎ?)。歌詞の中に「別れ」を表わす語句はほとんどないのだが、長年愛し合い信頼し合ってきた二人が、別れねばならない状況になった時、これまでの支えあった日々をしみじみと振り返っている。

相手が自分をどれだけ支えてくれたか、ということが次々と並べられて、自分はというと " somehow " ということで覚束ない。こんな私なのにどうして今まで愛してくれていたの?と言っているようにも聞こえる。でも本当は、相手も自分と同じように感じてくれていたのだろうと思う。人は自分が相手に影響を受けたことははっきり分かっても、相手が自分をどのように必要としてくれているか、はよく分からないものなのだ。世の中には自分がああしてあげた、こうしてあげたと言い募るカップルも少なくないのかもしれないが。「タニンノココロハワカラナイ」これは男女の仲だけに限らない、人間の抱える究極のテーマと言えるのかもしれない。この曲はそれをみごとに詩で表したものなんだとしみじみ思う。

youtubeはジョニー・キャッシュショーのもの
Anne Murray - You Needed Me
https://www.youtube.com/watch?v=e6nfpxZ2Nz4
You Needed Me by Randy Goodrum
https://www.youtube.com/watch?v=Mdudg-CoQwk

辛い別れ(大意。原詩は検索してみてください)

私が泣いていると、あなたは涙をぬぐってくれた
私が困惑のなかにいると、あなたは迷いを取り去ってくれた

私が魂を売ってしまった時、あなたはそれを買い戻してくれた
そして私を高め、生きる尊厳を与えてくれた
そうしてあなたも私を必要としてくれてたみたい

あなたは私にもう一度立ち上がり
再び世界と向き合う力を与えてくれた

あなたは永遠の世界を見渡せるまでの
高みに私を引き上げてくれた
あなたも私を必要としてくれてたみたい

私は今も信じることができない
それが本当だなんて
私はずっとあなたを必要としてきたし
そこにはあなたがいつもいた

わたしはどこにも行きたくない
どうして行かなくちゃいけないの、
わたしが馬鹿だったの
本当に支えてくれる人をやっと見つけたのに

私の手が冷たい時、手を握ってくれた
私が道に迷うと、家に連れて帰ってくれた

私が窮地に立った時
あなたは希望をくれた
私のついた嘘を
正しいものに変えてくれた
あなたは私を「友」とさえ呼んでくれたのに

あなたは私にもう一度立ち上がり
再び世界と向き合う力を与えてくれた

あなたは永遠の世界を見渡せるまでの
高みに私を引き上げてくれた
あなたは私を必要としてくれてた
あなたは私を必要としてくれてた



Ultimate Collection


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「20世紀の歌」についてⅡ [20世紀の歌Ⅱ]

「20世紀の歌」についてⅡ
apollo.jpg
私の「20世紀の歌」もミレニアムの年から2003年までに29編、去年の9月ぐらいから11編書き継いで40編になりました。愛読していただいている方からの声も少なからず頂いており、感謝いたしております。ところで過日著作権を扱っているところからブログ管理者のほうにクレームがあったようで、かなりのものが削除されておりました。当方としては営利目的の利用などとんでもなく、むしろこれらの記事でとり上げた曲の数々が再評価され、CDなど購入して聴かれる方が増えればいいな、という考えでしたので非常に残念ではあります。

ということで、先の記事たちを曲の原詩を削除した形で再掲していくつもりでおります。書いた記事のそれぞれには愛着もございますので。

まあ、原詩はネットで容易に検索できますので(usaのサイトですが)ww

今後とも私の愛した唄達への感動を共有していきたいと思っておりますのでよろしくお願い申し上げます。

尚、下記に各記事の3月5日時点のアクセス数を書いておきます。ブログ始めて11ヶ月、30000アクセスのうちの5000ですから6分の1。「それはスポットライトではない」や「恋はフェニックス」で検索するとトップ画面に出てくるのでブログを紹介するのに重宝していたのですが…(泣)。まあ、アクセス増えたからクレームも来たんだと思うことにしましょうかねww

20150304
112 101 # 1 BLOWIN' IN THE WIND (風に吹かれて)
66 43 # 2 IMAGINE (イマジン)
106 88 # 3 DESPERADO(ならず者)
109 90 # 4 MR. BOJANGLES(ミスター・ボージャングル)
146 106 # 5 THE LONG AND WINDING ROAD (長く曲がりくねった道)
104 90 # 6 VINCENT (Starry Starry Night(ヴィンセント[星降る夜])
209 182 # 7 YOU'VE GOT A FRIEND (君の友達)
123 100 # 8 THE BOXER(ザ・ボクサー)
112 79 # 9 TIE A YELLOW RIBBON 'ROUND THE OLD OAK TREE(幸せの黄色いリボン)
139 81 #10 MOON RIVER(ムーン・リバー)
876 277 #11 IT'S NOT THE SPOTLIGHT(それはスポットライトではない)
357 116 #12 BY THE TIME I GET TO PHOENIX(恋はフェニックス)
100 82 #13 FOR ONCE IN MY LIFE(フォー・ワンス・イン・マイ・ライフ)
128 107 #14 TEACH YOUR CHILDREN (ティーチ・ユア・チルドレン)
122 85 #15 HAPPY XMAS(WAR IS OVER)ハッピークリスマス(戦争は終わる)
196 103 #16 GREEN GREEN GRASS OF HOME(想い出のグリーン・グラス)
73 42 #17 BOTH SIDES NOW(青春の光と影) 
98 78 #18 CROSS ROAD BLUES(四辻ブルーズ)
59 45 #19 WAITING FOR A TRAIN(列車を待ちながら)
81 56 #20 REDWOOD HILL(レッドウッド・ヒル)
112 71 #21 STRONG ENOUGH(ストロング・イナッフ) 
103 59 #22 SOMEDAY SOON(サムデイ・スーン) 
137 83 #23 BIRD ON A WIRE(電線の上の鳥)
153 60 #24 Many Rivers To Cross(遙かなる河)
107 46 #25 THE DUTCHMAN(ザ・ダッチマン)
141 43 #26 HEY JUDE(ヘイ・ジュード)
115 40 #27 SONG OF BERNADETTE(ソング・オブ・バーナデット)    
80 36 #28 (They Long To Be)CLOSE TO YOU(遙かなる影) 
74 34 #29 ME AND BOBBY McGEE(俺とボビー・マギー)
88 #30Jesse(我が心のジェシー)
93 #31OLD FASHONED LOVE SONG
81 #32I GOT A NAME
104 #33IF (Bread)
85 #34オールド・ディキシー・ダウン
53 #35ローズ・ガーデン
72 #36RAMBLIN' ROUND
76 #37THE LAST WALTZ
67 #38汽車を待つならず者のように
50 #39You Needed Me(辛い別れ)
58 #40デイドリーム・ビリーバー
5165

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