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オールド・ディキシー・ダウン[私の好きな20世紀の唄たち]vol.34 [20世紀の歌Ⅱ]

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The Night They Drove Old Dixie Down
     written by J.R.Robertson

この曲は68年に出された、カナダのロックバンド " THE BAND " の2枚目のアルバムに収録されている。このアルバムを最初に聴いたのは高2のときだったと思う。安来に住んでいる級友が「このアルバムええで(なぜに関西弁?)」といって聴かせてくれたが、離島出身の私は兄たちに教えられたPP&MやS&G、ジョーン・バエズぐらいしか知らぬフォーク少年だったので、あまりピンと来ないまま日が過ぎた。大学に入ってからバエズがこの曲をやっていたので、そこから " THE BAND " を「再発見」したのだろうと思う。

ザ・バンドについてはあまりにも有名なのでへたな紹介はできないが、自分なりの興味でいうと、アメリカ南部出身のレヴォン・ヘルム以外は皆カナダ人なのに、なぜアメリカ南部の音楽に傾倒するのか、ということだった。カナダのケベックあたりにはフレンチ・カナディアンがいてかつて差別的な扱いを受けていたようである(イアン&シルビアの " SONG FOR CANADA " )。そのアカディア人たちの一部が、ルイジアナにいる同胞を頼って流れ着いた、という話もあったので、彼らもそういう人たちと関係があるのかな、と漠然と考えていた。

この曲について書くにあたって少し調べると、そうでもないことが分かった。作者のロビーはユダヤ系カナダ人らしく、だとすると彼らがアメリカのルーツ・ミュージックに傾倒するのは自国の音楽にはない魅力を感じたからなのだろうか。私たち日本人が縁もゆかりもない異国の音楽 " BLUEGRASS " に惹き込まれたように。カナダのミュージシャンたちの多く(ライトフットやアン・マレーetc.)がアメリカナイズされるのと同じなのかな。

「オールド・ディキシー・ダウン」は南北戦争が終わりを告げる年(1865年)の冬のことを歌っている。ロビーが曲を書くにあたってアーカンソー出身のレヴォンがアドバイスをしたそうであるが南軍の立場から描かれている。南部の音楽であるブルー・グラスやカントリーには同種の歌が多いが、いずれもディキシーの国に対する愛着にあふれている。黒人奴隷制度は確かに否定されるべきであるが、いきなり " CIVIL WAR " の形で侵攻されたことには強い憤りを感じたのだろう。曲中に出てくるリー将軍も自身は「奴隷制には賛成ではなかったが、郷里のバージニアへの郷土愛などの理由により、1861年、サムター要塞の戦いの後、連邦軍を辞職しバージニアに帰郷した。」とある(by Wiki)。

時代遅れとして一方的に否定された者たちが、かなわぬまでも戦って散っていく、というのは日本の「新撰組」や「義経」「白虎隊」などに通じるものがあるような気がする。南部の人たちの温かさは " SOUTHERN HOSPITALITY " として今でも受け継がれている。

youtubeは78年のラスト・ワルツから
https://www.youtube.com/watch?v=jREUrbGGrgM
ジョーン・バエズのも
https://www.youtube.com/watch?v=C_ksYL26lZEyoutube

オールド・ディキシー・ダウン(大意。原詩は検索してみてくださいね。)

俺の名はヴァージル・ケイン、ダンヴィル鉄道で働いていた
たくさんの北軍の騎兵隊がやって来て線路を再び壊すまでは
1865年の冬、俺達はひもじさに耐えながらやっとのことで生きていて
陥落したリッチモンド行きの列車に乗っていた
あのときのことはよく覚えているさ

 北軍が愛するディキシーに侵攻してきた夜
 周り中で鐘が鳴り響いていた
 北軍が愛するディキシーに侵攻してきた夜
  人々は皆歌っていた
  休むことなく ナナナナナ…

妻とテネシーに戻ったある日彼女が言った。
「ヴァージル, 早く来て見て!ロバート・E・リーが行進しているよ」
今俺は何も気にはしていないさ
木こりをしていて稼ぎが悪くてもどうってことはない
必要なことだけに使い、あとはほうっておけばなんとかなる
だが、北軍は俺たちの一番大切なものを奪っていったんだ

 北軍が愛するディキシーに侵攻してきた夜
 周り中で鐘が鳴り響いていた
 北軍が愛するディキシーに侵攻してきた夜
  人々は皆歌っていた
  休むことなく ナナナナナ…

親父がそうだったように俺はただの労働者だ
兄貴がそうしたように俺も反乱軍に与した
あの時兄貴は18歳で、誇りと勇敢さに満ちていた
だが、ヤンキーのやつらが兄貴を墓場に送ったんだ
俺は足元に流れた血に向かって叫ぶ
お前が怒り騒いでも打ちのめされた兄貴を取り戻すことはできないんだ

 北軍が愛するディキシーに侵攻してきた夜
 周り中で鐘が鳴り響いていた
 北軍が愛するディキシーに侵攻してきた夜
  人々は皆歌っていた
  休むことなく ナナナナナ…




The Band


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