One Tin Soldier[私の好きな20世紀の唄たち]vol.47 [20世紀の歌Ⅱ]
One Tin Soldier(天使の兵隊)
written by Dennis Lambert and Brian Potter
The Original Caste
The Coven
The Bluegrass Alliance
私がこの曲を知ったのは70年に出されたThe Bluegrass Allianceのアルバムによってであった(72年大学入学後に聴いたのだと思う)。ブルーグラスにカントリーやフォークの曲を取り入れたモダンなサウンドで、もともとモダン・フォークぐらいしか知らなかった私にはある意味とっつきやすく、また新鮮であった。この曲もサウンドや独特のアレンジに惹かれて聴いたり口ずさんだりしていたのだと思う。
今回とり上げるにあたって改めて調べてみると、オリジナルはカナダのポップ・ロックグループ「ザ・オリジナル・キャスト」というバンドが69年に出したものだと知った。このバンドはアメリカではそれほど売れなかったようだが、本国カナダと日本でヒットしたという特異な流布の仕方をしたようだ。彼らのもう一つのヒット曲 " Mr. Monday " を改めて聴くと聞き覚えがあり、当時ラジオでも流れていたんだろうなと思った。
曲の内容は「反戦歌」ということであるが、直接当時の例えばベトナム戦争を指すというのではなく、寓話として欲望から愚かな争いをしてしまう人間たちへの警鐘といった内容である。邦題「天使の~」は本稿でもよく指摘している、当時の売れ線狙いの命名であって、「鉛の兵隊」もしくは「ブリキの兵隊」の方が原題に近いが、やはりこれでは売れそうにないと考えるのもうなづけるw
戦争の動機がかの地の「財宝」を奪うことに根ざしているというのは、かつての列強による植民地化まで遡らなくても、「石油利権」や「海洋利権」などを思い浮かべると、現在世界の各地で起こっている紛争のほとんどが当てはまる気がする。それらに対抗するのが " Peace on Earth " という言葉だけというのはなんとも無力な感もするが、だからこそ多くの人々によって歌われなければならないのだろうとも思う。40年経ってあの当時の反戦の歌がにわかに手ざわりをもってよみがえってくるような気がするのは私だけだろうか。
蛇足になるが、この曲について調べる中で、英語版wikiで、この曲がバロックの「パッヘルベルのカノン」と同じ構成であるとの記述を見つけた。似た構成の歌は数多くあるようで、曲作りの一つのパターンとして興味深かったことだよ。
--The verse of "One Tin Soldier" has the same harmonic base as Pachelbel's Canon (I-V-VI-III-IV-I-IV-V). The chorus is a simple I-V-IV-I.--
youtubeは上記の3バンドのもの。
One Tin Soldier - The Original Caste [Original]
https://www.youtube.com/watch?v=cTBx-hHf4BE
One Tin Soldier - Lyrics - Coven
https://www.youtube.com/watch?v=HKx0tdlxMfY
One Tin Soldier - Bluegrass Alliance (1971) COMPLETE!
https://www.youtube.com/watch?v=f_Q_fkvCLnY
パッヘルベルのカノンの一つ。比較してみよう。
Pachelbel's Canon in D--Soothing music(the best version)
https://www.youtube.com/watch?v=hOA-2hl1Vbc
One Tin Soldier[天使の兵隊](大意。原詩は検索してみてください)
子どもたち、聞きなさい
遥か昔に書かれた物語を
山の上の王国と下の谷に暮らす民たちのお話
山の上には財宝が
大きな石の下深いところに埋められていた
谷の民たちはその財宝を
自分たちのものにしようと誓った
**
上にいる隣人を憎み
だますんだ
神の名のもとにそれを行え
そうすれば最後にはそれは正当化される
最後の審判の日がやってきても
トランペットの鳴ることはなく
血まみれの朝の後に
一人のブリキの兵士が去っていく
谷の民たちは丘の上にメッセージを送った
埋められている財宝を要求した
何トンもの黄金を渡さねば殺すと脅して
王国から返事が来た
我々の山に埋まっている全ての秘密と
全ての財宝を分け合おうと
今や谷の民たちは怒りで叫んだ
「馬に乗り、剣を持て」
そして山の民たちを殺し
当然の褒美を勝ち取った
彼らは財宝のそばに立った
山の上は暗く血に染まっていた
石をのけてその下を覗くと
そこには「この地上に平和を」
と書いてあるだけだった
written by Dennis Lambert and Brian Potter
The Original Caste
The Coven
The Bluegrass Alliance
私がこの曲を知ったのは70年に出されたThe Bluegrass Allianceのアルバムによってであった(72年大学入学後に聴いたのだと思う)。ブルーグラスにカントリーやフォークの曲を取り入れたモダンなサウンドで、もともとモダン・フォークぐらいしか知らなかった私にはある意味とっつきやすく、また新鮮であった。この曲もサウンドや独特のアレンジに惹かれて聴いたり口ずさんだりしていたのだと思う。
今回とり上げるにあたって改めて調べてみると、オリジナルはカナダのポップ・ロックグループ「ザ・オリジナル・キャスト」というバンドが69年に出したものだと知った。このバンドはアメリカではそれほど売れなかったようだが、本国カナダと日本でヒットしたという特異な流布の仕方をしたようだ。彼らのもう一つのヒット曲 " Mr. Monday " を改めて聴くと聞き覚えがあり、当時ラジオでも流れていたんだろうなと思った。
曲の内容は「反戦歌」ということであるが、直接当時の例えばベトナム戦争を指すというのではなく、寓話として欲望から愚かな争いをしてしまう人間たちへの警鐘といった内容である。邦題「天使の~」は本稿でもよく指摘している、当時の売れ線狙いの命名であって、「鉛の兵隊」もしくは「ブリキの兵隊」の方が原題に近いが、やはりこれでは売れそうにないと考えるのもうなづけるw
戦争の動機がかの地の「財宝」を奪うことに根ざしているというのは、かつての列強による植民地化まで遡らなくても、「石油利権」や「海洋利権」などを思い浮かべると、現在世界の各地で起こっている紛争のほとんどが当てはまる気がする。それらに対抗するのが " Peace on Earth " という言葉だけというのはなんとも無力な感もするが、だからこそ多くの人々によって歌われなければならないのだろうとも思う。40年経ってあの当時の反戦の歌がにわかに手ざわりをもってよみがえってくるような気がするのは私だけだろうか。
蛇足になるが、この曲について調べる中で、英語版wikiで、この曲がバロックの「パッヘルベルのカノン」と同じ構成であるとの記述を見つけた。似た構成の歌は数多くあるようで、曲作りの一つのパターンとして興味深かったことだよ。
--The verse of "One Tin Soldier" has the same harmonic base as Pachelbel's Canon (I-V-VI-III-IV-I-IV-V). The chorus is a simple I-V-IV-I.--
youtubeは上記の3バンドのもの。
One Tin Soldier - The Original Caste [Original]
https://www.youtube.com/watch?v=cTBx-hHf4BE
One Tin Soldier - Lyrics - Coven
https://www.youtube.com/watch?v=HKx0tdlxMfY
One Tin Soldier - Bluegrass Alliance (1971) COMPLETE!
https://www.youtube.com/watch?v=f_Q_fkvCLnY
パッヘルベルのカノンの一つ。比較してみよう。
Pachelbel's Canon in D--Soothing music(the best version)
https://www.youtube.com/watch?v=hOA-2hl1Vbc
One Tin Soldier[天使の兵隊](大意。原詩は検索してみてください)
子どもたち、聞きなさい
遥か昔に書かれた物語を
山の上の王国と下の谷に暮らす民たちのお話
山の上には財宝が
大きな石の下深いところに埋められていた
谷の民たちはその財宝を
自分たちのものにしようと誓った
**
上にいる隣人を憎み
だますんだ
神の名のもとにそれを行え
そうすれば最後にはそれは正当化される
最後の審判の日がやってきても
トランペットの鳴ることはなく
血まみれの朝の後に
一人のブリキの兵士が去っていく
谷の民たちは丘の上にメッセージを送った
埋められている財宝を要求した
何トンもの黄金を渡さねば殺すと脅して
王国から返事が来た
我々の山に埋まっている全ての秘密と
全ての財宝を分け合おうと
今や谷の民たちは怒りで叫んだ
「馬に乗り、剣を持て」
そして山の民たちを殺し
当然の褒美を勝ち取った
彼らは財宝のそばに立った
山の上は暗く血に染まっていた
石をのけてその下を覗くと
そこには「この地上に平和を」
と書いてあるだけだった
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