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我が心のジェシー[私の好きな20世紀の唄たち]vol.30 [20世紀の歌Ⅱ]

Jesse(我が心のジェシー)
written by Janis Ian
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この曲の作者はジャニス・イアンであるが,本人の歌より先に72年のロバータ・フラックの大ヒットアルバム " Killing Me Softly " からシングルカットされて知られるようになった。私も初めに聞いたのはそのアルバムである。ジャニス・イアンはまだ10代であった67年に" Society's Child " で衝撃的なデビューを果たし天才少女と呼ばれたが,その後結婚・離婚を経て半ば引退状態だったという。Jesse のヒットにより再び脚光を浴びるようになり,アルバム" Stars "(Jesseも収録)以降出すアルバムが次々とヒットして大スターに。日本でも人気があったが,特にテレビドラマの主題歌になった" Love Is Blind "(恋は盲目)は日本でメガヒットになったので覚えている方も多いと思う。

この曲は突然去って行った恋人を歌ったもので,vol.12 でとり上げた " BY THE TIME I GET TO PHOENIX(恋はフェニックス)"の逆の立場からの歌であるともいえる。この曲のすごさは,恋人に振られたとか捨てられたとかいう表現でなく,「いつもいるはずだった恋人の<不在>」という形で歌われている点であろう。<別れ> には色々な理由やいきさつがあるのだろうが,そういうことを歌わずにただ<恋人の不在>の寂しさを歌ったことが,逆にこの歌を普遍的な愛の歌にしているように思える。20代のジャニス・30代のロバータにそれぞれの味わいがあるように,それぞれの年代によって<不在>の持つ肌触りのようなものは微妙に変わってくる。そしてそれはいつかやってくる「親しい人の死という<不在>」にもつながる普遍性を持っている。

ジャニスはその後再び結婚・離婚を経て,近年になって同性愛者であることをカミングアウトし,3度目の結婚をしたと聞いている。まさに波乱万丈の人生を過ごし,60歳を過ぎたジャニスは今どのような" Jesse " を歌っているのだろうか。

youtubeは Janis Ian のもの
http://www.youtube.com/watch?v=H3Sg6kwpEfQ
ROBERTA FLACK の Jesse
https://www.youtube.com/watch?v=xPoZRJP1ZH8


我が心のジェシー(大意。原詩は検索してみてください。)

ジェシー、帰ってきて
二人が寝ていたベッドには
大きな穴が開いたままで
もう冷たくなって
ねえ、ジェシー、暖炉のそばで横になっていた
あなたの面影が
私の心のどこかにずっと引っかかっているの

階段の踊り場の灯りはつけたままにしておくわ
怖いからじゃない、あなたを待っているから
ねえ、ジェシー、寂しいの、帰ってきて

ジェシー、床板も食卓のテーブルも
あなたの足音を思い起こしている
私だって覚えているわ
全ての映像は光を失い
色あせて灰色になっていく
でも私は二人のために
今でも食卓をセットしているの

階段の踊り場の灯りはつけたままにしておくわ
怖いからじゃない、あなたを待っているから
ねえ、ジェシー、寂しいの、帰ってきて

ジェシー、ベッドの布団は
あなたが出て行ったときのまま
あなたがいつ帰ってもいいように
全ての憂鬱で不健康なものは
洗い清められて
まるで新しいものになったみたい
ねえ、ジェシー、あなたと私もよ…

夜になったら私たち階段の踊り場の灯りを細くして
私は髪をきちんと整え
知らないうちに眠ってしまうの…
だから、ジェシー、本当に寂しいの、帰ってきて




Best of Janis Ian/2CD + Exclusive DVD Edition


Killing Me Softly


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