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「栴檀(センダン)」と「白檀(ビャクダン)」 [日々の雑感]

0520 住吉川に咲いた栴檀の花。
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この冬、住吉川を歩いていると、鳴尾御影線のあたりの川床に生えている木が葉を落とし、実が鈴なりに生っているのを見た。その木がどうも「栴檀」という木らしいと分かったので、実を拾ってみた。
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木の実を食べるヒヨドリなどが時々枝に止まっているが、あまり食べている様子もない。実が固いからかな、とその時は思っていた。

春になって新しい芽が出てきたので、「栴檀は双葉より芳し」という古諺を引用したりしてその気になっていた。(0501東灘だんじり巡行
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その時までは「栴檀」=「白檀」だと思い込んでいたのだが、枝にも新芽(双葉)にもそれほどの芳香を感じなかったので、どうなんだろうと思っていたぐらいであった。

5月半ばになると、その栴檀が可憐な花を咲かせていた。紫と白が混じったような花が木いっぱいに咲いていた。少し採ってみるとかぐわしい香りがする。
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改めて調べると、日本で見られる「栴檀(センダン)」とは本来は「あふち(おうち)」と呼ばれる木で、古諺の「栴檀」はインド産の「白檀(ビャクダン)」の中国語表記であるとのこと。これまで「香木」だと思い込んでいたのでちょっとがっかりした。

なぜこのような間違いが起こったのかというと、「あふち」の実が鈴なりになっている様を「千団子」と呼んだりしていて、江戸時代に三井寺であふちの実にちなんだ「千団子祭」という行事があり、その時わざと「栴檀(子)」と表記したのが混同の始まりなんだとか。

また、古諺の方もそもそも誤謬があったようで、「保元物語」や「平家物語」が初出らしいが、「平家物語巻一殿下乗合」の段で、小松殿(重盛)が息子の資盛の無礼をとがめる言葉の中で「栴檀は二葉より香ばしとこそ見えたれ…」と言っている。平家のような貴種の家柄の者は栴檀のように幼いころから優れていなければならないのに…、という文脈で使われているのだが、実際の白檀の双葉の頃は香気がないそうで、平家の作者がお経の言葉を間違えて解釈したらしいとかなんとか…。

「間違いだらけの古い諺」ということのようだが、明治期の西欧文化や文学の翻訳による導入も、いくつかは誤訳によって成り立っているようにも聞いているので、取り立てて目くじらを立てるほどのこともないのかもしれない。

住吉川にあるような日本の栴檀も、樹皮は生薬の苦楝皮(くれんぴ)として、駆虫剤(虫下し)として煎液を内服とあるし、また果実は生薬の苦楝子(くれんし)として使われているようなので、白檀にもそうそうは劣っていないのではないか?これからも日々の散歩の中で見守っていきたいと思ったことだよ。

おまけで、五月下旬の花鳥の画像を。
シモツケ(下野)。
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キンロバイ(金露梅)。
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チョウセンアサガオだったかな?
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新しいカルガモ親子が。
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少し大きくなった雛が一羽取り残されていた。親離れしたのかな。でもまだ飛べない。
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