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0719 映画『新聞記者』@ 神戸国際松竹 [映画]

0719 映画『新聞記者』@ 神戸国際松竹
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この映画、6月末からやっていたらしく、観ようと思いながらバンド活動や病院の検診があったりして、忘れていた。ライブも終わり、検診結果も10月まで様子見と言われたので、ぽっかり独り考える時間が持てたので、行くことにした。雨も続いているしね。

観終わっての第一の感想は「よくぞ、このような映画を作ったものだ」というものだった。去年の春『ペンタゴン・ペーパーズ最高機密文書』という映画を観た時、すごい映画を作ったものだと驚き、同じような映画を忖度だらけの日本では作ることはできないだろうと思った記憶がある。その映画にしてもトランプ政権を明らかに意識しているものであるのにも関わらず、舞台はニクソン大統領施政下71年のペンタゴンに設定されていたのだから。

この映画はフィクションの形をとっているが、森友・加計問題や伊藤詩織さんの「準強姦」訴訟、元文部科学事務次官・前川喜平氏の「出会い系バー」報道など、現政権を巡る数々の疑惑や事件を扱っているのだ。そういう意味ではペンタゴン~を凌ぐ強い意思と勇気を持って作られたものだと思う。
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東京新聞記者・望月衣塑子の同名ベストセラーを原案に、政権が隠す権力中枢の闇に迫ろうとする女性記者と、理想に燃え公務員の道を選んだある若手エリート官僚との対峙・葛藤を描いたものである。
映画の中に望月記者たちのTVインタビューの画面が出てくるのがリアル過ぎ!
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webからいただいたあらすじを引用すると、「日本人の父と韓国人の母の間に生まれ、アメリカで育った吉岡(シム・ウンギョン)は、ある思いを秘めて東都新聞の社会部記者として働いている。
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そんなある日、彼女のもとに大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届く。その真相を究明するため、早速、吉岡は調査を開始。一方、内閣情報調査室官僚・杉原(松坂桃李)は、「国民に尽くす」という信念とは裏腹に、現政権に不都合なニュースをコントロールする現在の任務に葛藤していた。
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愛する妻(本田翼)の出産が迫るなか、杉原は尊敬する昔の上司・神崎(高橋和也)と久々に再会するが、その数日後、神崎はビルの屋上から身を投げてしまう……。」吉岡と杉原は運命に結び付けられたように近づき、権力の闇に立ち向かっていくのだが…。
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「内調」はかつてはもっと違うものだったそうだが、今では官邸直属の諜報機関と化しているらしい。国家機密があるのは、ある部分では当然のことだが、私的な機関になってしまっているとすれば、民主主義にとってあってはならないことであると素人ながら思う。そして官僚たちは上からの命令に、出世・左遷をちらつかせられながら従わせられていく…。どのような組織でもありがちなことではあるが、出世など望まなければいいじゃないか、といつでも辞めてやるさというスタンスでやってきた自分などは思うが、特に高級官僚はそれに加えて「国家のため」という金科玉条を突き付けられるから動けなくなるのかもしれない。
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近年とみに、メディア関係の政権への忖度がひどくなり、情報番組など観る気が失せつつある。私の中では、TVの情報番組<新聞<ドキュメンタリー・一部のドラマ<映画、というような位置づけである(笑)。後になるほどスポンサーからの圧力が少ないということだろうか。

今の日本ではTVや新聞でも心ある方たちは、言論の自由・真の民主主義を守ろうと闘っていらっしゃる。映画の中で杉原の上司が「この国の民主主義は形だけでいいんだ」という言葉を吐いていたが、逆説的に今のこの国の現状を表しているように思う。この映画も、参院選直前だということでそこそこの興行成績をあげたようだが、爆発的なものにはなっていないことも、そのことの傍証と言えるかもしれない。自分のような、何の力も持たない老いぼれには出来ることは少ないだろうが、それでも死ぬまで持つべき<矜持>を持ち続け、この映画を作ったような方々を応援することぐらいはできるかな、と思ったことだよ。

OAUの歌うエンディングの曲も秀逸である。
OAU「Where have you gone」映画『新聞記者』主題歌
https://www.youtube.com/watch?v=J0lp5POeDsI


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