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映画『PERFECT DAYS』@シネリーブル神戸 [映画]

映画『PERFECT DAYS』@シネリーブル神戸
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久しぶりに映画を観た。この年末年始は足の怪我で無理だったが、それだけの理由ではなかったかも知れない。何しろ半年ぶりだったのだから。映画も含めてもう少しアクティブに行動すべきかなとも思ったが、この映画を観て、そうでもないのかな、しゃかりきに生きなくても、豊饒な日々を送ることが出来るのかも、このままでもいいのかも、と自身を振り返ることもできた佳き映画であった。
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あの役所広司がトイレの清掃員役で主演する映画だということで、地味な映画かな、と思う反面興味をそそられる設定であった。東京・渋谷を舞台にトイレ清掃員として働く中年男平山の日常を描くということであったが、実際映画が始まると、本当に彼が早朝アパートを出て、清掃員として真面目に働き、仕事が終わると銭湯に行き、行きつけの居酒屋で酎ハイを飲み、家に帰って読みかけの文庫本の続きを飲みながら寝落ちする日々を繰り返し描いていた。
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平山が清掃する様々な公衆トイレはユニークなものが多く、それは「THE TOKYO TOILET プロジェクト」によって造られたもので、外国の方からだとさらに驚嘆するものであっただろう。ドイツ人の監督ビム・ベンダースが"COOL JAPAN"の一つとしてモチーフにしたのもうなずける。それ以外の平山の生活ぶりにも、日本人なら当たり前のことを新鮮に受け止めている視点が随所にうかがえる。
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彼の生き様は平凡でささやかで、それまでの人生のどこかで挫折を味わった結果なのかも、と思わせるところがある。それでいて彼は、毎日のルーティンを生き生きとこなし、楽しんでいるようにも見える。「人生は一つではない」という彼の言葉は、「成功」を求めることが人生の全てではない、ということを実感し具現化しているようにも見える。なぜか映画を観た後で、河島英五の「時代おくれ」という歌が脳裏に浮かんだ。
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木漏れ日。
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こんな方々も出演!
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というわけで、我々からすれば「足るを知る」という市井のささやかな生き方が、ドイツの人から見るとどのように映るか、という映画のように見えた。カンヌ映画祭で評価を受けたのは、そういう理由であったのかもしれない。でも、彼が日々の暮らしの中で、何を大切に思い生きているのかということは、とりもなおさず自分の今を振り返り、内省するに十分な材料を与えてくれた。自分がもう処分してしまったカセットテープで鳴らされる70年代の名曲の数々も、またたどっていきたいと考えている。

映画館を出たのは4時半ごろ。旧居留地では今年から日時を変え、装いも新たにしたルミナリエが始まろうとしていた。この日が最終日だったのかな。まだ暗くなる前できらびやかさはあまりなかったが、偶然見ることができて心の中に灯が点ったような気がした。
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