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映画『ヴィクトリア女王 最期の秘密』@神戸シネリーブル [映画]

映画『ヴィクトリア女王 最期の秘密』(原題:VICTORIA & ABDUL)
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一年ほど前、今の韓流ドラマ『オクニョ』の前に日曜日の夜に放映していた『女王ヴィクトリア 愛に生きる』をやっていたが、複雑な人間関係に疲れて途中で観るのを止めた。年末からヴィクトリア女王を取り上げた映画がいくつか上映されたので、その一つであるこの映画を観ることにした。

「ヴィクトリア(英語: Victoria、1819年5月24日 - 1901年1月22日)は、イギリス・ハノーヴァー朝第6代女王(在位:1837年6月20日 - 1901年1月22日)、初代インド皇帝(女帝)(在位:1877年1月1日 - 1901年1月22日)。」現在のエリザベスⅡ世に次ぐ63年7か月という長い在位期間は、英国の植民地政策が最高潮に達した時期と重なり、英国史に疎い自分にはわからないことが多かった。ただ、この映画は女王の晩年にフォーカスを当て、女王とインド人の従僕アブドゥルとのやり取りを中心に描かれていたので、難しさを感じずに観ることができた。「ほぼ、史実に基づいたドラマ」ということなのであるが。女王の死後アブドゥルに関する資料は全て処分されて、2010年に彼の日記が発見されたということだが、その辺の事情もよく分からない。
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18歳の若さで女王となり、夫アルバートと共に政務を執り、その間英国は世界各地を植民地化して、一大植民地帝国を築き上げた。また、女王の子女が欧州各国の王室・皇室と婚姻を結んだ結果、ヴィクトリアはヨーロッパの祖母と呼ばれるに至った。そういう激動の半生を経て、愛する夫アルバートを失い(1861年)、その後親交を深めたスコットランド人ジョン・ブラウンの死(1883年)の後ではすっかり生きる意欲を無くし、諦念と自暴自棄の中にあった女王だが、1887年、女王の在位50周年記念式典での記念硬貨の贈呈役に選ばれたアブドゥルが、英領インドからイギリスへとやってくる。
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王族や周辺の人々のどろどろした権力争いに倦んでいた女王の目には、王室のしきたりなどにも臆することなく、まっすぐな笑顔を向けるアブドゥルの言動が新鮮に思われ、2人の間には身分や年齢なども超越した深い絆が芽生えていく…。アブドゥルに出世欲や野心がなかったわけではなかっただろうが、映画の中ではそういう心も垣間見せながら、女王への敬愛の念と忠誠心が女王の死まで貫かれる。
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女王がインドや他の植民地の人々に対する蔑視や偏見から自由であったとは、当時の時代性からしてとても思えないが、そう思えるように描いているのが現代の作品だからだろうと思ったことだよ。また、浅学ながら感じたことは、ヨーロッパの王朝がそれぞれ姻戚関係で結ばれていて、一族でヨーロッパの大部分を支配しているかのような印象を強く受けた。例えは悪いが、江戸時代の日本が(養子縁組も含めて)徳川一族に依って支配されているのと似ている気がした。当時の民衆にとって王家(領主)が支配するのは当然という感覚が強くあったのかも知れない。市民革命が起こるまでは。
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いずれにしても、ヴィクトリアの在世中から、英国でも王権は次第に制限され、立憲君主国に移行していくのだが、アブドゥルとのエピソードもそれに少しは加担しているのかもしれない。女王の死後、出来の悪いと映画でも語られていた息子エドワード7世が継ぎ、その後ジョージ5世・エドワード8世・ジョージ6世と続いて、現在のエリザベス2世につながるのだが、それさえも知らなかった私には、まだまだ勉強が要るなあと思ったことだよ。主演のジュディ・デンチが1997年の『Queen Victoria 至上の恋』で同じヴィクトリア女王役を演じているらしいので、探して観てみようと思ったことだ。
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