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映画『日日是好日』@MOVIXあまがさき [映画]

映画『日日是好日』(にちにちこれこうじつ)
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家人が「明日の午前中映画観て来るよ」と言うので、何の映画と聞くと標記の映画だという。それじゃ明日と言わず今日これから行こう、と言って付いて行くことにした。シネリーブルということだったが、調べると駐車場のある「MOVIXあまがさき」でもやっているので、10時からのに行くことに。先日亡くなった樹木希林さんの遺作になると言われている映画であった。
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少し前に観たと思っていた樹木さん出演の映画『万引き家族』を観たのは6月のことだった。あっという間に月日は過ぎ去っていく。この映画も次々と過ぎ去っていく月日の中で、日々をどう生きていくかを考えさせられた映画であった。茶道の世界というのは自分とは縁遠いものではあるが、幼い頃亡母がお茶を習っていたので、その練習台に?何度かお茶を点ててもらって、飲むときの作法をすこし教えてもらった遠い記憶もたどりながら観ることができた。
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この映画は、エッセイスト森下典子が約25年にわたり通った茶道教室での日々をつづり人気を集めたエッセイ「日日是好日 『お茶』が教えてくれた15のしあわせ」を映画化したものである。主人公の典子(黒木華)は、「本当にやりたいこと」を見つけることができず日々を漠然と過ごしていた大学生だったが、ふとしたきっかけで従姉妹の美智子(多部未華子)と一緒に近所の「武田のおばさん(樹木希林)」にお茶を習うことになる。はじめは気が進まなかった典子だが、ささやかだが様々な人生の体験をしながら、気がつけば20年にわたってお茶と接していくことになる。典子はお茶を通してどんな人生のありようを受け止めていったのだろうか…。
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まあ、地味な映画ではあるが、役者陣の演技が素晴らしいので、退屈することはなかった。ある日の茶室の床の間に懸けてあった掛け軸に「日日是好日」の書があり、若い二人は「毎日が楽しい。それだけの意味じゃないよね」と言い合っていたが、その意味は月日を重ねる中で深まっていく。「一期一会」と同じく「毎日々々の出合いを大切に生きよう」という意味にもとれる。ある秋の日、雨の音を聴いて、梅雨の頃の雨の音と違うように感じる、という場面があった。それと同じように夏の暑さをそれとして受け止め、冬の寒さに耐えながらその冬の日を生きる…。一日一日が新たな時であり、それを味わいながら生きるのが、生きるということなのだという意味のようにも受け止められた。
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職を辞して以来、季節のうつろいや身近な自然に触れようと思って過ごしてきたつもりであったが、まだまだ大きな季節の変化や目立った事象にばかり目を留めていただけのような気もする。昔の日本家屋と違って、密閉された家に暮らしていると、雨の音や風の音、暑さ寒さにも無頓着に生きているんだなあということに気付かされた。全ての事象を受容するというのは、ややもすると受け身な生き方につながるような気もするが、自然の営みに時には抗いながらも、常にそれを感じて生きるというような過ごし方もあるような気もした。原作のエッセイも読んでみながら、自分の中で咀嚼反芻していきたいと思ったことだよ。
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日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)


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