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コンドルは飛んでいく[私の好きな20世紀の唄]vol.84 [20世紀の歌Ⅱ]

El Condor Pasa(コンドルは飛んでいく)
written by Daniel Alomía Robles & Paul Simon
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Daniel Alomía Robles
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この歌は、[20世紀の唄]vol.8で書いた"THE BOXER"も入っている、サイモン&ガーファンクル1970年のアルバム "Bridge over Troubled Water" のA面2曲目の歌である。このアルバムはS&Gとしての最後のアルバムになり、名曲揃いなので取り上げるべき曲は他にもいくつかあるのだが。
Simon & Garfunkel
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"El Cóndor Pasa" の題名から分かるように、原曲はアンデスのフォルクローレの楽曲であり、ポールがそのメロディの一部を借りて、詞を付けたようだ。演奏もロス・インカスの演奏に他の楽器の演奏や歌を重ねて作られたようである。原曲のこの部分は、もともと歌のない器楽曲だったようで、ポールの書いた詞に「コンドル」という語は使われていない。
Los Incas
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ポールがなぜこのような試みをしたのかは定かではない。南米のフォルクローレの物悲しい旋律に、これまで自分たちが創ってきた音楽とは違う可能性を感じたのだろうか。ソロになってからのポールは、その後のアルバムの中に、レゲエやアフリカの民族音楽などを次々と取り入れているから、ひょっとしたらこの曲はそういった試みの嚆矢と言えるかもしれないと勝手に思っている。

歌詞はシンプルなものだが、選ばれた一つ一つの詩句にはそれぞれ込められた意味や背景があるのかも知れない。例えば、"sparrow" には "Tiny(Little) Sparrow" という歌が、"hammer" には "If I Had a Hammer" という歌があるというように。全体としては抑圧や束縛から解放されて、自由な生き方を求めるというような趣旨になるだろうか。コンドルという語は使われていないが、地上からはるか離れた大空を悠々と飛翔するコンドルに対する憧憬のような気持ちが、この歌詞の背景にあったのかも知れない。

カタツムリでは何故いけないのか、とか、ハンマーはいいのか、など突っ込みどころがないわけではないが、〇よりはむしろ〇〇でありたい、という語り方が内包する矛盾だと言えなくもない。こういう自問自答を繰り返しながら、人はより良い自分を求めて生きていくものだ、と考えるべきなのだろう。

この歌で二人はコーラスをせず、ポールとアートがそれぞれの部分をソロで歌っている。ポールの部分は抑圧に打ち勝とうとする部分を力強く、アートの部分は俗世から離れて高い空を自由に軽やかに飛翔しようと願う部分を繊細に歌い上げ、一つのトータルな楽曲になっているのが素晴らしいと思ったことだよ。この歌は特に日本で大ヒットしたので、歌うのをためらう時もあったが、改めて60年代末という時代を映す歌として口ずさんでいこうと思う。

youtubeは以下のものを。

El Condor Pasa/Simon & Garfunkel
https://www.youtube.com/watch?v=enHUwJIE00c
コンドルは飛んで行く ロス・インカス
https://www.youtube.com/watch?v=yYkBOGyh3xY
アンデスの音楽 Ticona Cesar コンドルは飛んで行く
https://www.youtube.com/watch?v=ujYqWzQEs-k


コンドルは飛んでいく(大意。原詩は検索してみてください)

蝸牛よりも 雀でありたい
そうさ そうなれるなら
きっとそうするさ

釘よりも ハンマーでありたい
そうさ そうなれるなら
きっとそうするさ

**
遠く 空高く翔び立って行きたいなあ
こちらへあちらへと自由に飛び交う白鳥のように
人間は大地に縛りつけられて
その悲しい叫びを世界へ向けて発している
最も悲しい叫び声を

街の通りより 森でありたい
そうさ そうなれるなら
きっとそうするさ

足の下に この地球を感じていたい
そうさ できるのなら
きっとそうするさ


Bridge Over Troubled Water


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