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ピアノ・マン (Piano Man) [私の好きな20世紀の唄たち] vol.79  [20世紀の歌Ⅱ]

Piano Man(ピアノ・マン)
written by Billy Joel
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ニューヨーク州サウス・ブロンクス出身のシンガーソングライターであるビリー・ジョエルを初めて聴いたのは、77年のアルバム"The Stranger"だったと思う。その頃AOR(Adult-Oriented Rock)という曖昧なジャンルの呼称が使われた時期で、そういうジャンルの一つと思って受け入れていたのかな。その後 "52nd Street"('78)"Glass Houses"('80)"Songs in the Attic"('81)あたりまではアルバムが出ると買っていたような気がする。そんな中で"The Stranger""Just the Way You Are""Honesty" などやはりAOR風な曲を好んでいたように思う。
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表題の"Piano Man"は曲は知ってたけど、それほど印象に残ってはいなかった。この曲は私がビリーを知る前の73年に出された同名のアルバムに入っていたので、リアルタイムに聴いた訳ではなかったということもあったのかも知れない。ソロとしての2枚目にあたるこのアルバムは、彼にとって初のゴールド・ディスク認定作品らしく、出世作といっていいのかも知れない。メジャーデビューする前、バーでピアニストとして働いていた頃のことを歌ったものだろうと思われる。後になってライブでは必ず歌われる彼の代名詞のような作品になったのだった。

半年前の2月、TVドラマで『六畳間のピアノマン』というのをやっていて、ビリーの歌かなと思いながら観ていた。冒頭から主人公の上司のひどいパワハラの場面が出てきて、一旦観るのをやめようと思ったが、全4回だからと終わりまで観たら素晴らしい作品であった。主人公はパワハラを受けた結果か、交通事故死してしまうのだが、生前動画投稿サイトで「六畳間のピアノマン」と名乗ってこの歌を歌い、生きることに傷ついた人々を励ましていたのだった…。彼が叫ぶように歌っている "Sing us a song, you're the piano man" というフレーズが胸にしみた。「歌ってくれよ、お前はピアノマンだろう」
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改めて歌詞をたどってみると、ビリーらしき人物がそれほど大きくはないミュージックバーでピアノを弾きながら歌っている。土曜日の夜になると彼の歌を聴きに様々な人間が店に集まってくる。昔の思い出に浸りたい人、いつか陽の当たる場所に出ようともがいている人…。皆行き詰まった日常を束の間忘れ、安らぎを求めている。ビリー自身もその一人だったかもしれないし、そんな人々を少しでも励ましたいというのが彼の歌の原点だったのだろうという気もする。だからスーパースターになった後でもこの歌を歌い続けているのかな。
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『六畳間~』の原作『逃げ出せなかった君へ』を書いた安藤祐介さんもこの歌から多くのインスパイアを受けたのだろう。私はというと、それまでさほど気にかけず聞き流していた曲が、映画のテーマソングになって見直すという体験を過去にもいくつかしてきた。多分歌をサウンドとしてだけ聴いていたからということなのだろうが、そして「20世紀の歌」を書くことの動機の一つでもあるのだが、改めてこの歌を聴き、歌ってみようという気持ちになったことだ。

youtubeは以下の三つ。

Official Video から。歌の内容が映像化されていてよく分かる。
Billy Joel - Piano Man (Official Music Video)
https://www.youtube.com/watch?v=gxEPV4kolz0

Elton John and Billy Joel - Piano Man live
https://www.youtube.com/watch?v=fcYSSYnf_l8

「六畳間のピアノマン」版は見つからないのでこんなのを
Piano Man(NHKドラマ「六畳間のピアノマン」ver.)をアコギでサラッと弾き語り!
https://www.youtube.com/watch?v=vcdkfmcNZ4o


ピアノ・マン(大意。原詩は検索してみてください。)

土曜日の夜9時になると
いつもの客たちが店になだれ込んでくる
俺の隣の席には爺さんが一人座っていて
お気に入りのジン・トニックをすすっている
俺に向かって「おい若いの、懐かしいのを一曲演ってくれよ
どんな曲だったかちゃんとは覚えてないけど
あの甘く切ない曲だったよ
俺が若かったころは完璧に覚えていたんだ

**
La, la-la, di-dee-da
La-la, di-dee-da, da-dum

***
歌ってくれよ、ピアノマンだろ
今夜俺達の為に歌ってよ
みんなあのメロディに浸りたいんだ
お前の演奏は俺達を元気にしてくれるんだ

バーテンダーのジョンは俺の友達
酒はタダで飲ませてくれる
ジョークは上手いし煙草の火もさっと点ける奴さ
でもこんなところでくすぶっているような奴じゃないんだ
奴は言ってた「こんなところにずっといたら参っちゃうよ」
いつもの笑顔も消えて
「俺は映画スターにだってなれるはずなんだ
ここから抜け出せたらの話だけどな」

ポールは不動産業の傍ら小説を書いている奴だ
嫁探しをする暇もないんだって
奴と話してるデビーは今も海軍にいるのさ
たぶんずっとこんな感じだろうな
ウェイトレスの彼女は世の中の駆け引きを勉強中
客に上手に酒を飲ませながらね
そうさ、みんな孤独という酒を分け合って飲んでいる
でも独りで飲んでいるよりはずっとましさ

大勢の客たちで大繁盛の土曜日の夜さ
マスターはにっこりして俺を見る
みんなが俺の演奏を目当てで来ていると分かっているからさ
つかの間つらい現実を忘れるためにね
ピアノの響きは店内をカーニバルに変え
マイクからはビールの香りもする
客たちは席に座って俺にチップを投げ
そして言うんだ「まだこんなところで歌っているつもりかい」って

**
La, la-la, di-dee-da
La-la, di-dee-da, da-dum

***
歌ってくれよ、ピアノマンだろ
今夜俺達の為に歌ってよ
みんなあのメロディに浸りたいんだ
お前の演奏は俺達を元気にしてくれるんだ



六畳間のピアノマン (角川文庫)


ピアノ・マン


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