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映画『シン・ゴジラ』@109シネマズHAT神戸 [映画]

『シン・ゴジラ』(英題: GODZILLA Resurgence)
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『ゴジラ』という映画はこれまでハリウッド版を含めて50作も作られているらしいが、これまで一度も見たことがなかった。どこかで作り物の娯楽映画だろう、と思っていたからだと思う。昔は映画をたまにしか観ていなかったというのもあるだろう。リタイアしてから割引で観れるようになって、これまでとは違うジャンルのものも観るようになった。そういう中で、どんな映画にもその表面上の体裁の裏に、製作者の様々な思いが込められているのを知った。それはともかく、評判になっている『シン・ゴジラ』を観てみることにした。初ゴジラであるww
以下ネタばれありかも


今回のゴジラは、これまでと違って「太古の時代より生き残っていた深海棲の海洋生物が60年前に投棄された大量の放射性廃棄物を摂取したことにより、突然変異と異常成長を繰り返した結果、誕生した生物」とされている。これまでも、「水爆実験で眠りを覚まされて…」という設定もあったようだが、今回は「愚かな人類の所為」の結果生まれたということで、原発や原子力兵器によって生み出され、増え続ける廃棄物の処理が出来ないままでいるこの世界の将来に対して警鐘を鳴らしている、と言えなくもない。「核廃棄物」という得体の知れない「怪物」を具現化して見せたともいえる。

最初羽田沖(だったかな)に現れたときは、尻尾があるだけの大きなおたまじゃくしのような形だった。初めて上陸したときは、まだ手足は生えておらず、ヘビのように蛇行しながら川を遡っていく。身体のあちこちから血のような体液を放出しながら進むさまは、ちょっとリアリティに欠ける感じがあったが、川沿いの建物をなぎ倒しながら進むさまは、まるで先の大地震の津波の様を思わせた。
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未知なる巨大生物の出現に対応できずにいる、政府のプロジェクトチームのさまは、未曾有(ミゾユウではない)の大災害を前に後手後手に回るしかなかった現実の政府機関の機能不全を思い起こさせた。「戦後は続くよ、どこまでも」という言葉は、戦後70年経っても縦割り行政から抜け出せない日本の官僚制度を皮肉ったものでもあり、米国追従の国家でしかない日本の現状を衝いたものだろう。だからといって戦前の憲法に戻せばいいとはさらさら思わないけど。
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次に上陸したときは、更に巨大化し、手足を持ち直立歩行もできるように変化していた。自衛隊や米軍の攻撃を受けると、体内の組成が変化してレーザービームを放射できるようにまで進化していた。「人間の約8倍という膨大な量の遺伝子情報が内包され、それには爬虫類のみならず魚類や鳥類といった他の種類に属する生物の性質も含まれており」という設定で、従来の生物の常識を超えた生き物とされている。荒唐無稽には違いないが、ここ数年地球上を襲う様々な災害や、新種のウィルスの出現などを考えると、人智を超えた新たな現象の襲来と重ねて考えずにはいられなくなる。終わりの方でゴジラの尻尾の先に「顔のようなもの」や「歯や骨のようなもの」が形成されている場面があるが、そこにも同様の思いが込められているのではないか。「シン」にはいくつかの意味が込められているそうだ。「新」であると同時に「神」であるというように。英語の "GODZILLA" には "GOD" という語がはめ込まれているし、思い上がった人類の所業に対して「神」が審判を下そうとしているのだ、ととれなくもない。
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科学者たちの奮闘の結果、大量の血液凝固剤を直接注入することでゴジラを封じ込める「ヤシオリ作戦」によってゴジラを凍結することに成功する(こうならないと話も終わらないしね)のは、兵器に拠らない「科学」の力を信じたいという願いのようなものが込められているのだろうが、凍結しただけで終わってはいない、というのも「フクシマ」での対処のありようを思い起こさせる。
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ともあれ、初めて観た「ゴジラ」であったが、単なる娯楽作品を超えた、突っ込みどころ満載の映画であった。クレジットの最後に「野村萬斎」の名があり、「どこに出てたかなあ、ひょっとして」と思って調べると、モーションアクターとなっており、ゴジラのどこかユーモラスな動きは、彼の「狂言的」な動きをCG化したものと知って腑に落ちた、と思ったことだよ。
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<追記>本日ブログアクセスが140000に届きました。いつもお読みいただき有難うございます。
    微妙な数でピンと来にくいですが、車で20万キロまで頑張って乗るぞ、という感じかな?

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