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Lone Star State of Mind[私の好きな20世紀の唄たち] vol.78 [20世紀の歌Ⅱ]

Lone Star State of Mind(孤高のカウボーイの気分)
  written by Fred Koller, Patrick Alger & Gene Levine
  sung by Nanci Griffith
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テキサス州オースティン出身のナンシー・グリフィスについては、これまで「20世紀の歌」の中で何度か触れてきた。というのは彼女が敬愛するソングライター達の曲をカヴァーした2枚のアルバム、"Other Voices, Other Rooms"('93)と "Other Voices, Too"(’98)を愛聴していて、そのおかげで多くのミュージシャンを「再発見」することが出来たからであった。実はそれまでにも88年に日本盤で出た "BEST ROUNDER"/Nanci Griffith というアルバム(元のCDは84・6年)を買って聴いていたのだが、フォーキーなサウンドがやや地味に感じられたのか、それほど熱心に聴いたわけでもなかった。名曲 "Once in a Very Blue Moon" も入っていたのにねえ。今考えるとこちらの方が彼女のやりたかったものだったのかも知れない。
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そんな彼女がメジャーレーベルのMCAレコードに移籍して87年に出したのが"Lone Star State of Mind" で、表題の曲はそのトップを飾る曲である。アルバムはビルボードの23位まで上り、彼女はカントリー・スターの座を確立していく。作ったのはナンシーでなく上記の3名の共作ということであるが、Patrick Algerはギターで参加しているので、音楽をやっている仲間 と一緒に作ったということなのかもしれない。

歌の内容は、かつて一緒に暮らしていたが、今では遠く離れたところにいる昔の恋人が、電話をかけてきた。突然の電話に困惑しながらも懐かしさから話をする。どうやら彼はまた自分の所に来て一緒に暮らさないかと言っているようだ。そんな彼の申し出に心ひかれる気もするが、自分はデンヴァーで新しい生活を始めている。彼の住む町コーパス・クリスティはテキサス州最南端の海岸の町で1000マイルも離れているが、その距離以上に二人の関係ももう離れてしまっているのではないか。揺れ動く気持ちも感じながらカリフォルニア・ワインを独り飲んでいる…。
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"Lone Star State" はテキサス州の愛称でもあるらしいが、そこに一人で輝いている星としての自分を重ねているのだろうか。さらに言うとジョン・ウェイン演じるさすらいのカウボーイの姿も。「男は昔の恋人のことをいつまでも思っているが、女はきっぱり忘れることが出来る。新しい恋で上書きするから…」と誰かが言っていたが、必ずしもそうでないのかも知れないと思う。ナンシーが歌っているので女性を主人公に擬してみたが、ドン・ウィリアムスも歌っているからなあ。まあ、それぞれが自分の思い出の一幕を重ねて聴き歌えばいいのだろう。
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さて、このアルバムでスターダムに上った彼女だが、カントリースターである自分に違和感を覚えたのか、数枚のアルバムを出した後エレクトラに移籍する。その活動の中で生まれたのが、上記のトリビュート・アルバムであった。日本の一過性のフォーク・ブームとは違って、フォークソングの連綿と続く潮流の中で、時代を超えていい歌と思えるものを取り上げ、私たちに提示してくれたことの功績は大きいと思う。「こんないい歌もあるよ」と歌ってくれた彼女の歌で、ケイト・ウルフやジョン・プラインなどの素晴らしいミュージシャン達を知ることが出来たのを嬉しく思う。自分のささやかなライブの中で「こんないい歌があるよ」と歌っているのも、その流れの中にあるのかな。

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youtubeは次の2つを。ブルーグラスでやっているものもあった。
Nanci Griffith Lone Star State of Mind
https://www.youtube.com/watch?v=0HETJr-G5F0
Don Williams - Lone Star State of Mind
https://www.youtube.com/watch?v=N0tV4XWOYGQ


孤高のカウボーイの気分(大意。原詩は検索してみてください。)

君からの電話にちょっとびっくり
ずいぶん久しぶりだったから
あの蒸し暑いテキサスの夜
二人で海に泳ぎに行って以来だった

コーパス・クリスティはずいぶん遠い感じがする
距離のことではなく
今でも君を笑顔にさせるために
君にあげられるものは
少なからずあると思っているけど

**
(でも)今私はデンヴァーに独りいて
カリフォルニアワインをちびちび飲っている
一晩中君のことを思いながら
まるで孤高のカウボーイのような気分で

ちょうどジョン・ウェインの深夜映画を観ていた
女の子を助けて馬に乗り、去っていった
エンドロールが流れているとき
いつか彼が女の子のもとに戻ってきたらいいのにと思った

**

***
ここから君の家の戸口まで1000マイル以上もある
もし今こちらを発てば明日にはそこに居ることもできる
ギターだけをケースに入れて
本当はそんなに遠くはないよね
さっき君は電話でこっちには君の居場所があるよと言ってくれた

**


Lone Star State of Mind


Other Voices Other Rooms


Other Voices, Too (A Trip Back To Bountiful)


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