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演劇『黄昏』@兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール(西宮) [演劇]

演劇『黄昏』(原題: On Golden Pond)
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※写真はwebからいただきました。
我が青春時代のアイドル高橋惠子様が出演する舞台『黄昏』を観に行ってきた。彼女は私より二歳年下だが、『高校生ブルース』でデビューしたのが70年というから自分が高2の時から現在に至るまでスクリーンやテレビドラマに出演し続けているのだった。といっても『おさな妻』や『神田川』『ラブレター』など当時話題になった映画を観た記憶はないのだが。2012年に上映された、隠岐の知夫里島がロケ地だった『カミハテ商店』を観た時は、このような地味な映画に出演する姿勢に感銘を受けた。当ブログでは同じく知夫里島で撮られた映画『KOKORO』の中で少し触れている。

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物語の舞台は、アメリカ・メイン州にある美しい湖(池)「ゴールデン・ポンド」の湖畔にある別荘。この夏もここで過ごすためにやってきた老夫婦の日々が描かれている。夫のノーマン(石田圭祐)は80歳を目前にした元大学の教授。年老いてますます気難しくなっているが、そこには自らの老いと遠からず訪れるであろう「死」への不安も重なっている。一方妻のエセル(高橋惠子)は70歳ぐらいでまだまだ美しく矍鑠(かくしゃく)としており、夫の毒舌を軽くいなしながらやさしく世話をしている。
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夫婦には一人娘チェルシー(瀬奈じゅん)がいるが、一度結婚に失敗し、その後両親とは疎遠になっていた。そのチェルシーが婚約者と13歳の連れ子ビリーを伴って別荘を訪ねてくる。ノーマンとヘルシーは相変わらずぎくしゃくしたやりとりしか出来ずにいるが、二人がヨーロッパに旅行する間預かったビリーと過ごすうちに…。ともすればやや重苦しくなりがちなテーマであるが、ノーマンのアメリカンジョークにまみれた毒舌と、それを明るくいなすエセルの振る舞いで、どこかほのぼのとした雰囲気を醸し出していた。
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邦題の「黄昏」は、原題の "On Golden Pond"(黄金の池にて)とはかけ離れているようにも見えるが、原題では内容がわからないのも確かなので、しみじみとした人生の黄昏時を描いたものということで、悪くない題名と思った。劇中では別荘の室内の場面のみだったが、登場人物の会話を通して、素晴らしい湖の風景が眼前に現れるような感じがして、やはり主役はこの美しい湖畔だったのだ、と原題にも共感するのだった。


『黄昏』という題名から、昔そんな映画があったかなあと思っていたが、後で調べると、やはり1981年度のアカデミー賞受賞作品と原作が同じだった。ヘンリー・フォンダの娘ジェーン・フォンダがこの戯曲を観て感銘を受け、映画化権を取得したと言われている。現実世界でも確執があったといわれるフォンダ父娘の仲が、この映画での共演を機に修復したのかは定かでない。受賞式の数か月後に父ヘンリーは77歳で心臓病のため死去したとある。

映画が公開された81年、私はまだ20代後半だった。その頃観ていたらどんな感想を持っただろう。今回のようにわが身を重ねて観ることはなかったのだろうとは思う。映画版の方もまたレンタルして観てみようと思ったことだ。
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