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映画『僕に、会いたかった』@TOHOシネマズ西宮OS [映画]

映画『僕に、会いたかった』@TOHOシネマズ西宮OS
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公開が始まったと思ったら、兵庫ではガーデンズのTOHOシネマズのみで、週が明けたらアサイチだけになっていたので慌てて観に行った。内容については事前にはさほど分からずに、隠岐の島がロケ地だということに惹かれて(笑)。これも一種の郷土愛なのかな?「故郷は遠くにありて思ふもの」を地でいっているのかも知れない。監督は平田市出身の錦織良成で、以前に 『白い船』(2002)と『渾身 KON-SHIN』(2013)を観たと思う。『白い船』は浜田あたりの海辺の小学校の生徒と沖を通る長距離フェリーの乗組員の交流を描いたものだったが、『渾身 KON-SHIN』の方は隠岐の島の我が村も舞台になっていた映画だった。

今回の作品は、隠岐の島でも私の出身地の島後ではなく、隣の島前が舞台になっている。そういえば去年観た映画『KOKORO』は知夫里島が舞台だったなあ。何か本筋から離れたところで話が進んでいる気もするが、実際映画で映し出された隠岐の島々の風景は美しかった。多くの映画人がロケ地に選ぶのも分かる気がする。
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物語は「ある事故をきっかけにして、島で一二を争う凄腕の漁師、徹は記憶を失ってしまう。母や島の人々はその後の日々を優しく見守る。本島から島へ来る留学生たちとの触れ合いの中で、徹の記憶は蘇るのか。島の愛は、人の心を救えるのだろうか…。」というもので、主人公徹役を"EXILE" のTAKAHIRO が演じているので話題になったようだが、私の興味がそこにあったわけでもなかった。
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記憶をなくした徹がそれに苦しみながら、島の人々に暖かく見守られながら、日々を過ごす過程は淡々とした日常風景として描かれていて、それはそれとして味わいがあったが、「島前高校」をモデルにした島の高校にやってきた内地留学生達が、里親を初めとした島の人々との触れあいの中で、少しずつ自分を取り戻していく様子が印象に残った。徹と留学生たちの群像劇としての自分探しの旅として観るのがいいのではないかと思ったことだよ。
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徹の母親役の松坂慶子、島の医師役の小市慢太郎が、バイプレイヤーとして実にいい味を出していた。二人ともこういうメジャーではないが意欲作といえる作品にはよく顔を出しているようだ。彼らの映画というものに対する姿勢というか情熱というものを、もう少し掘り下げて考えてみたいとも思った。
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過疎と高齢化に晒された地方の町が、どうやって再生することができるのか、都会では失われたかにも見える地域や隣人との絆というものがそこにはあるのか、などと島を出て50年経って帰ることもせず都会の片隅にしがみついているかのような自分も重ねながら、しみじみと観てしまった。

テーマソング「天使のはしご」を歌っている浜田真理子さんは、出雲市出身松江市在住の方で、地方都市で暮らしながら時々東京に出て音楽活動を続けている異色のシンガー・ソングライターだそうで、そういう音楽活動のやり方もあるのだ、と感銘を受けたが、映画の最終場面で隠岐の海上に射す「天使のはしご」の美しい映像と彼女の歌が重なって、この最後の場面に行き着くためにこれまでの物語はあったのだと強く思ったことだ。
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雲の隙間から差す光が
大地を照らし私を照らす
あなたがいる私がいる
たとえこの身体が消えてしまっても…

(浜田真理子「天使のはしご」より)

※写真はwebからいただきました。

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