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映画『ドリーム』@シネ・ピピア(宝塚・売布神社) [映画]

映画『ドリーム』(原題: Hidden Figures)。
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最近FBで知り合ったN西さんが推薦していたので、近場でやっていないか調べると、宝塚のシネ・ピピアでやっていたので観ることにした。この映画館は時々検索していたが行くのは初めてだった。1と2があり別の映画館かなと思っていたら、住所は同じ「宝塚市売布2-5-1ピピアめふ5F」で、要するに一つの館の二つのホールだったということらしい。分ける必要あるんかな?と思った。R176沿いのこの界隈は昔は鄙びた田舎道だったのに住宅が立ち並んでいた。
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5階に上がると目の前には二つのホールの扉が見え、片隅には「バグダット・カフェ」という昔観た映画の名の喫茶コーナーがあり、映画関係の書籍が棚に置いてある、小さな図書館の風情だった。小さいけど地域に根ざした映画館という感じがした。
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さてやっと映画の内容に入るが、この映画の舞台は1961年のアメリカ・ヴァージニア州ハンプトンのNASAラングレー研究所。ソ連との宇宙開発競争が繰り広げられる中、白人たちに混じって働いている、3人の優秀な黒人女性たちの物語であった。NASAは当時の最も先進的な科学を推進している組織のはずであったが、その一方で当時のアメリカでは有色人種差別が根強くはびこっていた。ヴァージニア州では最近でもKKK団の騒動のニュースを聞くほどで、特に差別意識の強い所だったのかもしれない。バスに乗る際も、黒人たちは最後部に座らねばならなかったりと…。
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3人は計算手として西計算グループで働いていた。た。リーダー格のドロシーは管理職への昇進を希望するが、上司ミッチェルに「黒人グループには管理職を置かない」とはねつけられる。メアリーは技術部への転属が決まりエンジニアを志すが、資格を取るための学校は有色人種を受け入れてくれない。幼いころから数学の天才少女と呼ばれていたキャサリンは、黒人女性として初めて宇宙特別研究本部に配属されるが、そこには有色人種用のトイレもなく、遠いビルにあるトイレに通いながら仕事を続けなければならなかった…。
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3人はそれぞれの部署でいわば「無意識の偏見」にさらされながら、その類稀な能力と強い意志で克服し、アメリカ初の有人宇宙飛行の実現に貢献していく。三者三様に差別や偏見と闘い打ち破って行く様は、見ていて小気味よいぐらいなのだが、一方でこれは映画だからで、実際の彼女たちはその何倍もの苦難に耐えてきたのだろうな、という思いにも駆られた。63年の「ワシントン大行進」に代表される当時の公民権運動についてはいくばくかの知識はあるが、体制の中にあって粘り強く周囲と折り合いながら権利を獲得していくことの難しさは計り知れないものがあったのだろう。
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原題の "Hidden Figures" は、華々しい宇宙開発競争の陰で秘かに貢献をしていた彼女たちのような人々のことを指すと思われるし、彼女たちが武器としていた「数字(数学)」を指しているのかもしれない。邦題は最初違和感があったが、原題を直訳してもうまく伝わらないとも思う。彼女たちが過酷な状況の中で追い求め続けたものが描かれていると考えると、そう悪くないのかもしれないと思ったことだよ。
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上司ミッチェルがドロシーに向かって「偏見を持っているわけではないのよ」と言った時、ドロシーが「そう思い込んでいるのは分かります」と答えたのが突き刺さった。自分には偏見はないと思い込んでいる人間ほど、自分の中に巣食っている偏見から自由でないのだ、ということを再度肝に命じさせられた言葉であった。思いがけずいい映画を観ることができてよかった。
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遅い昼を食べてから山越えで帰る途中、腹ごなしに「甲山森林公園」に立ち寄り、しばらく歩いた。前とは違うコースをたどると、また違う風景が現われて面白かった。
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六甲山にまで登らなくても、ここと「北山植物園」を歩けばいつでも「プチ山歩き」ができるな、と改めて思ったことだよ。
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