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映画『フジコ・へミングの時間』 @ シネ・リーブル神戸 [映画]

映画『フジコ・へミングの時間』 @ シネ・リーブル神戸
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フジコ・へミングについては、多くのファンと同じく。99年にNHKの特集番組「フジコ~あるピアニストの軌跡~」の放映でブレークした時に知ったと思う。大ヒットしたデビューCD『奇蹟のカンパネラ』などを聴いたと思うが、その後継続して聴いていたわけではなかった。
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今回映画になったと知ったが、前のドキュメンタリー番組とさほど変わらないのではないか、と思って観に行くのを渋っていた。猛暑続きの昼間にわざわざ出かけるのか、と億劫でもあったが、先に観た家人が「後半は惹き込まれた」というので、翌日の午後に行ってみた。実際観てみると、やはり前のドキュメンタリーから20年経っているということもあり、新たに知ることも多く、観て良かったと思ったことだ。
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フジコ・ヘミング、本名ゲオルギー=ヘミング・イングリッド・フジコ(Georgii-Hemming Ingrid Fuzjko )はロシア系スウェーデン人の画家・建築家の父親と日本人ピアニストの母親との間にベルリンで生まれた。今回この両親の出会いから、日本に移住したが、父親が日本になじめず、ドイツに一旦帰ってそれっきりになってしまったこと、幼少時母親の厳しい薫陶を受け、育てられたことなどが詳しく描かれていた。14歳の時の絵日記が発見され、「フジコ・ヘミング14歳の夏休み絵日記」として出版されるらしいが、その日記も引用され、戦後間もなくの日本の状況や、ハーフとしていじめられた体験などが、弟の大月ウルフ(初めて知った)の話などを交えて語られていた。
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たくさんの猫を飼っていることは、前のドキュメンタリーで知っていたが、今回、日本やパリ、ベルリンなどにいくつか家を持ち、それらの家にピアノに加えて猫・犬を飼っていて、自分の不在の時は誰かに世話をしてもらっていることを知った。ブレークする前は相当貧しい生活も強いられていたようなので、その落差の大きさにも驚くが、そういった表面上の生活の変化と関わりなく、フジコ・ヘミングそのものは常に変わらないスタンスを取り続けているところに感銘を受けた。
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彼女は「一つ一つの音に色をつけるように弾いている」「ミスタッチも多いけどそれでいいんじゃないかと思っている」などと語っているが、音楽の演奏には正確さよりも「伝えたい何かを聴き手に伝えること」が大事であるというポリシーは売れる前も後も常に揺らぐことはないのだと思った。TVで譜面どおりどれだけミスタッチなしで弾けるか、という勝ち抜き戦のようなものをやっているのを観たことがあるが、彼女の思いとは対極にあるのだと思ったことだ。
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他にも思ったことはいくつかあるが、それは自分の中で少しずつ咀嚼していこうと思っている。もうしばらくは神戸・大阪・京都でやっているので、興味のある方は是非映画館に足を運ばれるとよいと思う。

フジ子・ヘミング~月の光
https://www.youtube.com/watch?v=240mNwuyYHA

フジ子・ヘミング~愛の夢
https://www.youtube.com/watch?v=cdueOVOKyRA


フジ子・ヘミング こころの軌跡 VICC-60628


フジコ~あるピアニストの軌跡~ [DVD]


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