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映画『セシウムと少女』@元町映画館 [映画]

「セシウムと少女」。
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FBでこの映画観たよという投稿があり、18日までだと分かったので行くことにした。16時一回限りなのでいつ行けるか分からなかったから。神戸の元町映画館は以前「王の涙 イ・サンの決断」を観にいったことがある。今回は花隈駅の北に安いパーキングを見つけることができたw 時間が少しあったので周辺をぶらぶら。
商店街の切れ目から見えたポートタワー。
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元「第一銀行神戸支店」の建物の外壁を利用した「みなと元町駅」。
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映画は「東京・阿佐ヶ谷に住む少女が、太古よりこの国に居る7人の奇妙な神様たちと冒険を繰り広げるひと夏のファンタジー」ということで脱原発を扱いながら実写とアニメをシンクロさせて、ともすれば深刻になりがちなテーマを明るく?描いていくというものだった。
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主人公の高校生ミミは阿佐ヶ谷で家族3人で暮らしている。なぜ阿佐ヶ谷なのかな、と思いながら観ていたが、監督の才谷遼さんが映画館『ラピュタ阿佐ヶ谷』の経営者ということで、ジモティな作品ということなのかな、というところに落ち着いた。かつて住んでいた太宰や井伏などの文士集団や、何より詩人北原白秋が晩年住んでいたことを紹介しながら映画に取り込んでいくという、遊び心のある設定ということなのかも知れない。
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ミミは幼いころから頭の良い少女だったが、彼女が本当のことを言うと周りが凍る、つまり周囲から孤立して(いじめられて)いながらそんな自分を押し通そうとするように生きてきた。そんなときあの東日本大震災が起き、その3日後、東京にセシウムの雨が降り注いだ。以来舌の奥がチクチクするのを感じている。ある日学校の帰りに落雷に遭い、居合わせた雷神のらーさんと出会う。大昔からこの地に住む他の神様たちともつながる中で、白秋のいた70年前にタイムスリップしたりしながら、この国の歴史を振り返っていく…。
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二千年以上の時の流れの中で、この国がどのように変化し、何を失ってきたのかを見つめなおす。特に広島・長崎の原爆投下と、ビキニ環礁の水爆実験と第五福竜丸の被爆、そして今回のフクシマにつないでいく映像は圧巻である。北原白秋の詩の内容との関係などまだ分からないところも多いが、これからおいおい調べてみたいと思う。個人的に考えさせられたのは、戦後の復興の流れの中で、効率主義・拝金主義的な考えが世の中を席巻して、日本人が本来持っている美質が失われてきているなあ、ということだ。
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一方で効率主義・拝金主義的な政治風潮を変えようとはせずに、戦前の道徳教育などを復活させて失われたものを取り戻そうとするなんて、ずいぶん手前勝手な論理だと思ったことだよ。「坂の上の雲」などにも描かれているように、明治の人々(主に元武士)には「公のために生きる」という精神で貫かれていたように思う。果たして今の政治家の中にどれだけそれがあるのだろう、と疑わしく思ってしまう。
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ともあれ、いろいろと考えさせてくれるところの多い映画であった。エンドロールで流れるのは、15年前に一世を風靡した伝説のバンド「たま」の知久寿焼が歌う 「セシウムと少女」。懐かしい歌声だった。リフレーンの歌詞をかみしめながら映画館を後にした。
 10万年経ったら僕ら も少しかしこくなってるのかな
 10万年経ってもまだ はずかしいままなのかな 

知久寿焼 セシウムと少女 主題歌
https://www.youtube.com/watch?v=Pwm2eDrpUIg

去年の暮れから全国配信しているとのことだが、受け入れる映画館はそう多くはないようだ。今は福井と広島でやっているだけだ。各地の映画祭で賞をとったりしているようなので、例によって海外で評価されて日本で再上映される、といった流れにならないかな、と注視していたいと思う。このテーマがこのような映画でないと配信しづらいとしたら、ずいぶん「自由な表現」のしにくい世の中になっているのだな、と逆に思ってしまうこの頃であることだよ。

映画公式HP
http://cesium-to-shyoujyo.com/

『セシウムと少女』映画オリジナル予告編
https://www.youtube.com/watch?v=wTzEJv0zh04

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