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映画『ドライブ・マイ・カー』@シネ・リーブル神戸 [映画]

映画『ドライブ・マイ・カー』@シネ・リーブル神戸
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村上春樹が2013年に発表した短篇小説が原作で、西島秀俊が主演のこの映画が、カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞したというのでこの日観に行った。水曜日なので客は少ないだろうと高をくくっていたが、意外に多かったので??と思っていると、サービス・デイだったのだ。老人はそのあたりちゃんとリサーチしてから行くべきと思ったことだ(笑)。
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原作は読んでいなかったが、「ノルウェーの森」と同様ビートルズの曲にインスパイアされたものなのかな、と思いなら観ていたが、最後までその曲が流れることはなかった。まあ、テーマソングにするなんていうベタな作り方もしないとは思ったけど。後でビートルズの曲を聴くと何となく重なり合う部分があるような気がしてくるのが不思議だ。

179分という長い映画なので、途中で寝てしまいはしないかと心配だったが、淡々とした描写が続く割にはミステリー仕立てな部分もあって、終わりまで引き入られて観ることができた(浜口竜介監督の脚本がいいから?)。物語は二部構成になっているようで、一部の終わりにキャストのテロップが流れたので、思わず時計を見てしまったが、場合によってはここで休憩を挟むように設定されているのかもしれない。
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舞台俳優で演出家の家福悠介(西島秀俊)は脚本家の妻・音(霧島れいか)と幸せに暮らしているように見えたが、音には悠介にはうかがい知れない秘密の性癖があった…。その秘密を語ることなく音は突然の病で亡くなってしまう。この映画では劇中劇のように実際の劇の場面や、音が悠介とのセックスの後に浮かんできた演劇の1節を口承する場面で構成されているが、一部では『ゴドーを待ちながら』が扱われている。現実のストーリーとシンクロしていると思われるが、その劇についてよく知っていないと難解ではある。
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第二部では妻の死後2年たって、喪失感を抱えながら生きていた悠介は、広島での演劇祭の演出を担当することになり、15年乗り続けている愛車サーブ(SAAB)で出掛ける。
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その演目はチェーホフの『ワーニャ伯父さん』である。公募で選ばれたのは日本語・中国語・手話などを話す俳優たちで、その読み合わせの場面が多くを占めている。この多言語劇ともいうべき試みは興味深いものだった。
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広島の地で協会からの要請で、悠介は自分の愛車の運転を若く寡黙な女性ドライバーのみさき(三浦透子)にゆだねることになる(Baby, you can drive my car)。
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その彼女も重く克服できない過去を抱いて生きていた。かつて音と関係を持ち、物語の鍵を握るかのような若き俳優高槻(岡田将生)もからみ、登場人物たちはそれぞれ抱えきれない過去と対峙して生きていく…。
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人間存在の不条理性を追求した作品ともいえるこの映画は、どんな状況でも人は生きて行かなくてはいけないという<さだめ>のようなものを私たちに突き付けているように見えた。そして<癒し>はその先に待っているのかもしれない。

Baby, you can drive my car
And maybe I’ll love you



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