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映画『ブランカとギター弾き』@神戸シネリーブル [映画]

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映画『ブランカとギター弾き』(原題 "Blanka")が神戸にやってきたので観に行った。大阪のシネリーブルでやっていると、ひと月遅れで神戸でもやることが多いと、最近わかってきたので待っていたのだった。もう一つ観ようと思っているのがあるが、それは後日に回した。

日本人の監督がフィリピンのマニラを舞台に撮ったイタリア映画と聞いただけで、興味をそそられる映画であったが、事前には情報を見ないようにしていた。親に捨てられて孤児になった少女が、盲目のギター弾きと路上で出会って…、というストーリー(これだけでも十分魅力的だが)を頭に置きながら観た。
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11歳の少女ブランカは親に捨てられたが、マニラのスラム街でしたたかに生きていた。といっても生きるためには物乞いやかっぱらいをやっていくしかない。ある時TVで有名女優が孤児を養子にしたというニュースを見て、「お母さんってお金で買えるの?親が子供を買えるんだからできるはずだよね」ということを思いついた。その資金を得るためますます盗みでお金を稼ごうとするのだが、周囲の少年達から恨まれ、根城にしていたバラック小屋を壊されてしまう。そんな頃、路上でギターを弾いてお金を貰っている、盲目の老人と出会う。
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老人と一緒に隣町に行って、演奏の手伝いをしていたのだが、老人から「いつまでも盗みを働くつもりなのか。それより歌を歌ってお金を貰う方がいいぞ。」と言われてしぶしぶ歌うが、それがなかなか上手で、近所のキャバレーの経営者の目に留まり、そこで歌うことになる。それまでと打って変わって、そこそこのギャラときれいなドレスと食べ物や寝る所にありつくが、世の中そういいことばかり続くはずもなく…。彼女にとって幸せとはなんなんだろう。
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監督の長谷井宏紀さん(岡山出身らしい)は長編映画はほぼ初めてだったようだが、製作にあたってキャストをすべて公募で集めたらしい。といってもそれほど簡単ではなかったようで、2年ぐらいマニラに滞在しながら捜したという。少女ブランカ役のサイデル・ガブデロは地元の歌手発掘のTV番組にも出ていたようで、youtubeで100万回を超えるアクセスがあった歌姫らしい。また老ギター弾きのピーター役のピーター・ミラリは実際に街角で流しの音楽家として活動していたそうで、周囲の少年役を含め、マニラの猥雑な裏町の風情にすごくフィットしていて、監督の目論見が見事に当たっているように感じた。
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フィリピンはかつてアメリカの植民地だったこともあり、現代の音楽はかなりアメリカナイズされていると思われるが、ピーターのギターと歌(タガログ語?)からはそういう匂いがあまりしなかった。むしろスペイン統治時代の影響を受けた音楽のように思われた。知識不足な私の感じ方では、かつて同じスペイン統治下にあったキューバの音楽に似た哀愁のあるメロディとギターの音色だった。家族の大切さをうたった歌である劇中歌「カリノサ」は古い民謡のメロディに合わせて監督が日本語詞を書き、翻訳したものだという。

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エンドロールでギター弾きのピーターが映画の完成後亡くなったというテロップが流れ、驚いた。彼は死の直前まで路上で人々に自分の歌と演奏を聴かせていたんだなあ、と思ったら胸が詰まった。歌うことの原点をもう一度確認させられた気がして、帰り道も「カリノサ」のメロディが頭から離れなかった。

youtubeから
Cydel Gabutero - "The Power of love" (Cover)
https://www.youtube.com/watch?v=f7XLtjD_ubY
映画『ブランカとギター弾き』主演サイデル・ガブテロ来日トークイベント
https://www.youtube.com/watch?v=DuzDLs1P2zY
※「カリノサ」の音源はここからいただきました。


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