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Stray Dogs and Alley Cats[私の好きな20世紀の唄たち]vol.56 [20世紀の歌Ⅱ]

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Stray Dogs and Alley Cats (迷い犬と路地裏の猫)
          written by Harley Allen

私がこの曲を知ったのはつい最近のことである。今一緒にユニットを組んでいるフィドラーのO氏が、いつもこちらが「こんな曲はどう?」と聞くと、いつも「いいよ」と言ってやってくれるのだが、珍しく「こんな曲はどう?」と言ってくれたので youtube で聴いてみると、なかなかしっとりとしたよい曲だったので、歌ってみようと思ったのが出会いである。
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少し調べてみると、彼がブルーグラスの第一世代といってもいい(第二世代かも)レッド・アレンの息子だったことがわかり驚いた。初めはファミリーバンドの "Allen Brothers" でギター・マンドリンなどを弾いていたが、その後独立し、更にカントリー系のS&SWとして活躍するようになったようだ。全く知らないと思っていたが、実は少し前に紹介したルービン・ブラザースのトリビュートアルバム "Livin', Lovin', Losin' - Songs Of The Louvin Brothers" (2003)の中で "I Don't Believe You Met My Baby" を歌っていて、よく聴いていたということに今になって気がついた。
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更に驚いたのは、彼がすでに2011年に55歳の若さで亡くなっていたということで、出会ったと思ったときにはすでにこの世の人ではなかったというのがなんだか切ない気がした。同時代で同世代だった彼が、まだ元気でいるうちに出会っていたかったなあ、とわけもなく思ったのだった。
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この曲は2001年に発表された "Live At The Bluebird Cafe" に入っているようなので、ぎりぎり「20世紀」に創られたのかもしれない(笑)。内容は、限りなく宗教歌から遠い宗教歌といっていいのかもしれない。子供の頃、母親の財布からお金をくすねてビリヤード場で遊んでいた男(自分も似たような少年期があったような)は、長じてからも決して敬虔なクリスチャンとは言えないような生活を送ってきたが、それでも死ぬときは天国の端っこぐらいには入れてもらえるかなあ、というようなものである。「善人なおもて往生す、いわんや悪人をや」という親鸞の言葉も連想してしまうと言ったら言いすぎだろうか。
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今もよく歌っている Paul Craft の"Keep Me From Blowing Away" も「僕はクリスチャンじゃないけど、それでも神様、どうか僕が風に吹き飛ばされてしまわないように繋ぎ止めてください」と歌っている。苦しいときの神頼みと言ってしまえば実もふたもないが、何か日本人である私にも、自分を重ねることができるような気がして親しみを感じる。敢えて弁明っぽく言うと、「自分は今まで自分なりに正しいと思う生き方をしてきたけど、それは神の示す道と重なっているのかな」という自己確認の歌だともいえるのかもしれない。そのポールも14年に76歳で亡くなっているらしい。彼らは天国に行けたのだろうか。

そう長くはないだろう自分の残りの人生、これらの歌と大切に向き合っていきたいものだ、と少しだけ思ったことだ。

youtube はこの二つ。
Harley Allen, Stray Dogs and Alley Cats(亡くなる一年前の動画)
https://www.youtube.com/watch?v=Se-Yg-FvoMI
Lonesome River Band - Stray Dogs & Alley Cats
https://www.youtube.com/watch?v=Dmq7xs6CM3Y

迷い犬と路地裏の猫 (大意。原詩は検索してみてください。)

幼い頃毎日曜日ママが行く教会で
ママの財布からお金を少し抜き取ったものだ
ママがお祈りをしている間にこっそり抜け出して
ビリヤード場に行って一日中遊んでた
ぼくが家に帰るとママは頭を横に振って
「おまえは悪魔のベッドで枕をふくらませているんだよ」
ぼくはママに「ママの気持ちはわかっているよ」と言う
だってぼくは家の生活費ぐらいは自分で稼いでいたんだよ

**
天国に行くほど善人じゃないかも知れないけど地獄に行くほど悪いわけじゃない
自由に羽ばたける小さな羽のほうが大きな尻尾をもつよりましさ
神様の右側に座ろうなんて思いあがってはいないけど
天国のごみ箱を空にすることぐらいはできるさ
だから天国の黄金の街にも
ぼくのような迷い犬と路地裏の猫の居場所があればいいのに

もし正面の扉からぼくを入れてもらえないなら
たぶんぼくは裏口から入るよ
ぼくの浴びる光輪は明るくは光っていないかもしれない
でもその光は夜のうちにぼくを雲の中こっそり通らせてくれる

そしてぼくは自分がその栄光の歌を最後まで歌わなくてもかまわないし
もしぼくがとっても小さな羽を持っているなら
地上にいる小さな悪魔を見張っていて
そしてやつらが教会から逃げ出して行く時後をついて行くんだ

**
天国に行くほど善人じゃないかも知れないけど地獄に行くほど悪いわけじゃない
自由に羽ばたける小さな羽のほうが大きな尻尾をもつよりましさ
神様の右側に座ろうなんて思いあがってはいないけど
天国のごみ箱を空にすることぐらいはできるさ
だから天国の黄金の街にも
ぼくのような迷い犬と路地裏の猫の居場所があればいいのに
まるでぼくのように…


Live at the Bluebird


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