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REDWOODHILL[私の好きな20世紀の唄たち]vol.20 [20世紀の歌]

REDWOOD HILL(レッドウッド・ヒル)  
      written by Gordon Lightfoot
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この歌をつくったのはゴードン・ライトフットというカナダのシンガー・ソングライターで71年の作品(アルバム名は" Summer Side Of Life ")である。60年代から彼の曲は多くのミュージシャン達にとり上げられていたが,ブレイクしたのはこの曲の後に出したアルバム "SUNDOWN "で#1ヒットを出してからである。彼の歌は60年代フォークの頃から知っていて(「朝の雨・フォーラヴィンミーetc.」)よく口ずさんでいた。「朝の雨」はジェット機時代のhoboの歌でP.P.&Mなどのカヴァーが有名である。私は彼の2枚の自選ベストCDを持っているが,そのどちらにも入っていない,マイナーな曲ではある。

レッドウッドというのはアメリカ西海岸に生育する杉の一種で,カリフォルニアの北に大原生林があり,国立公園になっている。ウディガスリーの" This Land is Your Land " (我が祖国)という歌の中に " From the Redwood Forest, to the Gulfstream Water " という一節があって,アメリカの象徴のようなものかな,と思っていた。この歌ではRedwood Hillを「母なる自然(Mother Nature)」が宿る所としている。彼女が怒っているのは,自分の生んだ人類達が謙虚さを忘れ,自らをこの地球の主人と勘違いして我が物顔に振る舞い,ついにはこの美しい地球を汚し,滅亡させてしまおうとしていることに対してであろう。

60年代から70年代にかけての時代はベトナム戦争反対に始まって,若者たちのドロップアウト,フラワームーブメントがサンフランシスコなどから起こり,既成の価値観を次々と若者たちが否定していった時代であった。そんな中で従来のキリスト教的な価値観も否定され,当時(今でも)黒人と並んで虐げられた存在であったネイティブ・アメリカン(アメリカン・インディアン)の宗教の中の「母なる自然(Mother Nature)」という観念に彼ら若者が惹き込まれていったのだろうと思う。そういえばあのビートルズも," Mother Nature's Son "という歌を同じ頃書いていたな。ライトフットもそういう潮流に乗った形でこの歌を書いたのだろうか。そして後になって大して深みがない歌だと思ったのだろうか。だとすれば,この歌は激変する時代に咲いたあだ花だったといえるのかもしれないし,パイオニアであることに常につきまとう試行錯誤と混沌?の過程と見ることもできるのかもしれない。

フラワームーブメントも学生運動も,その後一部の急進派を除き急激に衰えていったようだが,彼らの精神は近頃の環境保護運動やエコロジーといった動きとして受け継がれているのだと思う。
(初出02.04.25)

youtubeはライトフットのスタジオ録音
https://www.youtube.com/watch?v=U4_1GF3kc1w
ブルーグラスファンにはおなじみのCountry Gentsのもの
https://www.youtube.com/watch?v=-Iy_il0AyoM


レッドウッド・ヒル(大意。原詩は検索してみてくださいね)

僕はあのレッドウッドの丘に登った
雨の降る日だった
群衆のいるところよりはるかな高みに上がり
母なる自然としばらく語り合った
               
彼女は彼女が心をこめて創り出した
全ての生き物に対する愛と
その中でも僕たち人間たちへの
深刻な憂いを語ってくれた
                   
  彼女は泣き続けながらも
  こんな慈愛に満ちた言葉を語ってくれた
  自然は自然であるということは
  人間達の都合などで勝手に変える
  ことはできないのだということを

僕は彼女を慰めようとしたけど
彼女はいつまでも静まらなかった
哀しみの雨はとめどなく降り続け
丘を下っていく僕に降り注いだ


  彼女は泣き続けながらも
  こんな慈愛に満ちた言葉を語ってくれた
  私が無垢な自然であること
  それはどんな人間たちの手によっても
  変えられないのだということを
                    
僕は彼女を慰めようとしたけど
彼女はいつまでも静まらなかった
僕はあの日のことを忘れることはないだろう
母なる自然がレッドウッドの丘で涙を流した
日のことを



Gord's Gold: Greatest Hits (Rpkg)


Live in Japan


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