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BIRD ON A WIRE[私の好きな20世紀の唄たち]vol.23 [20世紀の歌]

BIRD ON A WIRE  (電線の上の鳥)   
written by Reonard Cohen
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作者のレナード・コーエンはカナダの人でシンガー・ソングライターである前に小説家であるという変わった経歴の持ち主である。この人を初めて知ったのは友人にもらったテープであるが,それも自身のアルバムではなく,ジェニファー・ウォーンズの " Famous Blue Raincoat " というコーエンの曲集であった。その後本人のアルバムもいくつか聞いたが,やはり他人の歌ったものの方がよく聞こえるのは言葉の壁がある(メロディラインの美しさにより惹かれる)からだろうか。彼を崇敬しているミュージシャンは多いらしく彼へのトリビュートアルバム " Tower Of Song "に参加しているメンバーは Don Henley, Billy Joel, Suzanne Vega, Peter Gabriel, Elton John etc.とそうそうたるものである(アルバムももちろん秀逸である)。
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さてこの曲は難解な詩が多いコーエンの中では比較的わかりやすい詩ではある。韻を踏むためでもあろうが「芋虫」「一角獣」「死産」など詩語になりにくいような言葉が出てくる。 thee と you の使い分けも韻のため以外の何かがあるのかどうかは分からない。この歌は恋人に向かって歌われたものという解釈と神に向かって歌われたものという解釈があるようで,どちらともとれるように,ということなのかも知れない。ただ,これを恋歌としてみると無軌道な男の言い訳みたいになって、やや陳腐なものになるように思える。

「多くを望んではいけない」という生き方と「もっと貪欲になるべき」という生き方とどちらが真実なのかは誰にも決められない。自分のしてきたことが常識や一般的な道から外れていると見える時,無神論者にとっては信じるものは<自分>しかない訳だが,西欧社会ではやはり<神>に対して誠実であるかどうかが最後の砦になるらしい。<世界>の全てから孤立しても,神を裏切っていないというところでアイデンティティを保つことができる,ということなのだろうか。それって何かうまくできているなと思ってしまうのは私だけだろうか。(初出02.07.19)

youtubeは先ずジェニファー・ウォーンズのもの。実はこれが一番好き。
https://www.youtube.com/watch?v=bTIaidNgh1w
コーエン72年のライブ。改めて聞くと味わい深い。
https://www.youtube.com/watch?v=Mjem3G_QsKA


電線の上の鳥(大意。原詩は検索してみてください。)

電線の上の鳥のように
深夜の聖歌隊に中にいる酔っぱらいのように
私は自分なりのやり方で自由への道をさぐってきた

釣り針に引っ掛かった芋虫のように
古くさい本の中に出てくる騎士のように
私は自分の全ての誇りを神にかけて護ってきた

私に思いやりが欠けていたら
そのまま見過ごしてほしい
私が不誠実だったとしても
それはあなたに対してじゃないとわかってほしい

死産になった赤ん坊のように
鋭い角をもった獣のように
私は私に手を差しのべてきた人達をずたずたに傷つけてきた

でも私はこの歌に書かれてあることに誓って
拙いながら私の今までやってきたことに誓って
全てを主の判断にゆだねよう
   
乞食が松葉杖にすがっているのを見た
彼は私に向かって叫ぶ 「多くを望んではいけない」
きれいな女性が薄暗い戸口にもたれていて
泣き叫ぶ 「どうしてもっと貪欲に求めないんだ」・・・・
   
電線の上の鳥のように
深夜の聖歌隊に中にいる酔っぱらいのように
私は自分なりのやり方で自由への道をさぐってきた

   


Live in London


ソング・オブ・バーナデット 〜レナード・コーエンを歌う


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