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鑑賞 映画「紙の月」 [映画]

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上映開始の頃から行こうかな、と思いつつ年末になってしまった。人気作品でももう日に1度しか上映してない。もちろん主演の宮沢りえを見たいというのが8割を占めていたのだが、期待していたほどではなかった(何を期待していたんだか)ww

それはともかく、一人のアラフォーの平凡な女性が、気がつかないうちに勤めている銀行の預金に手をつけてしまい、ついには一億円もの金を横領してしまい、タイへ逃亡する、という過程での心理の変化が丁寧に描かれていて、良い作品だと思った。見てる途中でこの場面知っているぞ、とデ・ジャブ感に襲われたところがあって、なぜかな?と思っていたが、あとで調べてみるとNHKの「ドラマ10」でこの1月に原田 知世の主演で放映していたのだった。ちゃんとは見てなかったが、夜中の再放送がつけっぱなしになっていて、部分的に見ていたんだろう。原作・テレビ・映画とそれぞれディテールが異なるようなので、再放送があったらまた見てみようと思う。それぞれの製作者の意図するところがはっきりすると思われるからだ。
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勝手な思い込みで申し訳ないが原田に比べて宮沢の方がより翳りがあり、犯罪の側に飛び移ってしまいやすい感じがする。そういう女優のキャラクターによって、微妙に作り方が変わってくるのだろうか。興味深いところではある。本作では原作にはない大島優子演じる相川が、粉飾決算を通じて上司と「ありがちな」不倫関係に陥りながら最終的には見合いをして寿退社する(普通の暮らしに還る)のや、小林聡美演じる厳格なベテラン事務の隅(決して常識の枠から出ない)らと対比して、主人公が平凡だけれども幸せなはずの結婚生活の中のちょっとした行き違いや潜在的な不満から「紙の月(金)」の魔力にはまっていくプロセスをリアルに描いている。
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主人公が逃げる直前に隅に向かって「一緒に行きますか?」とつぶやいた時の隅の表情が秀逸である。あの堅実な隅の中にさえ、日常から抜け出したいという願望が潜んでいるのだ、という人間の深淵を見事に演じているからだ。

"It's Only a Paper Moon"

It is only a paper moon
Hanging over a cardboard sea
But it wouldn't be make believe
If you believed in me
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It's Only A Paper Moon - Abbie Gardner
https://www.youtube.com/watch?v=0noLkjBU7fk



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