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悲しき天使(Those Were The Days )[私の好きな20世紀の唄たち]vol.54 [20世紀の歌Ⅱ]

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Those Were The Days
written by Gene Raskin
sung by Mary Hopkin

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Those Were The Days(悲しき天使)は、68年イギリスのフォーク歌手だったメリー・ホプキン(Mary Hopkin)のアップル・レコードでのデビュー・シングルで、米英そして日本でも大ヒットした。少し遅れて漣健児の日本語歌詞で森山良子が歌ったものもヒットした(ヴィッキーの仏語版もあったらしい)。Gene Raskin の作となっているが、原曲は19世紀末にロシアで作られた「長い道」という歌で、それを Gene Raskin がリメイクしたものであるようだ。ポール・マッカートニーのプロデュースではなばなしくデビューしたメリーだが、もともとフォーク志向であったため2nd single の「グッドバイ」(これも切ない良い歌)を出した頃からポップ路線で売り出そうとするポールとうまくいかなくなり、やがて袂を分かつ。彗星のようにデビューして、いつの間にか消えていった(本当は消えていないのだが)と私たちが感じるのはこのためかもしれない。
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邦題の「悲しき~」は例によって当時の「売れる題名」のシリーズ(本当に内容と関係ないなあ)だが、日本語訳は比較的原曲の内容に沿ったもので、「思い出すわ あの日のこと あたたかい恋の夢… 」というフレーズは今でも時折脳裏によみがえってくることがある。ちょうど高校に入ったばかりだったということもあり、間違いなく自分の「青春の歌」の一つに数えられると思う。
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歌の内容をやや自分に重ねながら紹介すると、学生の頃夢や理想を確かに持っていると感じ、仲間同士で語り合っていたが、やがて就職し仕事が忙しくなるにつれて、日々の生活に追われて自分の本来あるべき姿を見失ってしまうことも多くなった。そんなある日懐かしいあの店に立ち寄ってみたが、店のガラスに映っていたのは、かつての若々しさも美しさもすっかり影をひそめてしまった自分の姿だった…。

こう書いてしまうと何か身もふたもない感じもするが、誰もが人生のある時期に感じてしまうことなのかもしれないし、もっとその時々に自分のなすべきことはやってきたさ、と感じる人もいるのだと思う。ロシア民謡から採ったと思われる哀調あふれるメロディは、そういう失われつつあるものへの哀惜の念をより募らせる。それにしてもこんな曲を若干18歳のメリー・ホプキンに歌わせたポールって、とも思ってしまう。まあ人生に疲れた中年の人が歌う方がいいとも思われないのだが。様々な立ち位置からそれぞれの受け止め方をすればいいのかもしれない。
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2005年にはドリー・パートンがメリー・ホプキンとともにこの曲をカバーし、同名のアルバム『Those Were the Days』に収録した。私も当時購入したが、ブルーグラスの楽器を使い、酒場のノイズもバックに流しながらドラマチックな演奏になっていた(下のyoutube)。最近何かのCMのバックに流れていて、また懐かしさがこみ上げてきたのも、一旦放り出したこの稿をもう一度書こうと思うきっかけになった。気ぜわしい師走の頃に相応しい歌のような気がする。

youtubeは以下の四つ。良子さんのは見つからなかった。licenseの問題かな。
Those Were The Days 【メリー・ホプキン 悲しき天使 】
https://www.youtube.com/watch?v=h5P1NTNWgr8
悲しき天使 - ヴィッキー
https://www.youtube.com/watch?v=2wqKYttesCE
新妻聖子 Niizuma Seiko 悲しき天使 Those were the days
https://www.youtube.com/watch?v=33g2fIy0JRM
Those were the days - Dolly Parton
https://www.youtube.com/watch?v=w_sjHnzPyT4

おまけにグッドバイも。これも甘酸っぱい青春の歌だ。
Mary Hopkin ~ Goodbye
https://www.youtube.com/watch?v=WZqtwwo_0qc


楽しかったあの頃[Those Were The Days] (大意。原詩は検索してみてください)

ずいぶん昔のことだった 一軒の居酒屋があって
そこで私たちは一・二杯のグラスの酒を飲んでは
時を忘れて笑い興じていた
自分たちが何ごとかをなす未来を夢見て

**
あれはそんな素晴らしい時代だったね、友よ
楽しい日々に終わりはないと信じていた
永遠に私たちは歌い踊り続け
自ら選び取った人生を生き
戦いを挑み決して敗れることはないと
私たちは若かった そして確固とした生き方を持っていたから
  La La La La La La
  La La La La La La
  La La La La La La La La La La

それから、多忙な年月が疾風のように過ぎ去って
その中で持っていたはずの美しい生き方を見失っていった
もし、偶然あの居酒屋で再び逢うことがあったら
互いに微笑みあって、こんなふうに語るでしょう

**

今夜、私はあの居酒屋の前を通りかかり
以前そうしたように中を覗き込んでみた
ガラスに不思議な姿が映り込んでいた
そこに移っている淋しそうな女は本当に私?

**

ドア越しに懐かしい笑い声が漏れてきて
あなたの顔が見え、私の名を呼んでいるのが聞こえた
ああ友よ、私たちは歳をとったけどより賢くなれたわけではないよね
私たちの心には、今でもあの頃と同じ夢を抱き続けているのだから

**


ベスト・オブ・メリー・ホプキン


Those Were the Days


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