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KYON× 2 点描 [日々の雑感]

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KYON× 2こと小泉今日子さんについてよく知っているわけではない。彼女がアイドルとして活躍していた80年代に自分が三十代だったこともあるだろうか。他の多くのアイドルたちと同様テレビで時々見かけるなという程度だったが、そんな中でも彼女の奔放な言動や奇抜なファッションなどはなんとなく記憶に残っている。プロダクションやマネージャーの言いなりではなく、よく言えば自己主張のあるアイドルだったと思う。「なかなかやるなあ」と思ってみていたような気がする。そういえば秋吉久美子も「赤ちゃんを卵で生みたい」なんて奇抜な発言をしていたなあ。似ているのかもしれない。

次に彼女を観たのは2003年にWOWWOWで放映されたドラマ『センセイの鞄』であった。これは原作の川上弘美の小説で知っていて、ドラマ化されるというので観た。もう老年に差し掛かっているセンセイとかつての教え子ツキコさんが偶然駅前の一杯飲み屋で出会って、毎日酒を酌み交わすうちに…、というドラマで彼らの頼む肴が偶然一緒だったり、その肴がいかにも美味しそうで、当時ネットにある「センセイの鞄レシピ」なるものを探し出して読んだりした。そろそろ中年に差し掛かろうかというツキコさんの心の機微が、ドラマでも上手に描かれていて、いい女優さんだなという印象であった(たぶんw)。
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そしてしばらく経ってから(他は忘れているだけかも)の、言わずと知れた2013年『あまちゃん』天野春子役での登場だった。社会現象にまでなったドラマなので内容については今さら触れないが、春子はアイドルを目指して上京したのに、夢かなわず平凡な結婚をし、娘を産んで、その娘を連れて故郷岩手に帰るお母さんであった。本人の経歴と一部シンクロするような設定であったためか、元ツッパリねえちゃん的な役柄を地で演じているようにも見えたが、今思えば脚本の宮藤官九郎さんが彼女のイメージを元に造型した役柄だったからともいえる。
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2016年の正月ドラマ『富士ファミリー』に彼女が出るというので録っておいたのを、今頃になってから観てみた。脚本の木皿泉さんは「和泉努と妻鹿年季子による夫婦脚本家」だそうで神戸にお住まいらしい。富士山の麓にある雑貨店に集まる様々な人たちは、三姉妹を除くと他人同士の集まりなのだが、一緒に暮らす間に家族以上の絆で結ばれて…、という正月ドラマらしいほのぼのとしたドラマだった。この中で彼女は奔放な次女・ナスミ(実はもう亡くなっていて幽霊としての登場なのだが)として登場する。ここでも都会暮らしを夢見て故郷を飛び出したが夢破れて帰ってくるという、「あまちゃん」と似た設定になっていた。どうも彼女の方にそう描かせてしまうようなオーラがあるのではないかと思った。
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このドラマについての薬師丸ひろ子さんとの対談(司会:有働さん)も観たが、その中で彼女が書評集を出しているのを知った。タレント業のために高校中退を余儀なくされた彼女は、自分で勉強しなくちゃという気持ちからか、本をよく読むようになったそうである。対談の中で薬師丸さんが「あなたの書評はその中に自分を見つめて表現しているところがあってとてもよい」という意味のことを語っていて興味を持った。何かについて書くということは自分を語ることでもある、というのは当たり前といえば当たり前のことではあるが。文庫本を探したがないので、奮発して買ったw

一気に読むものでもないのでパラパラとめくっているが、対談でも触れていたかな、と思ったものを少し引用してみる。
『四十九日のレシピ』(ドラマ10でもやっていた)

「四十歳を過ぎた私の人生の中で、やり残したことがあるとしたら自分の子供を持つことだ。
    <中略>
 子供がいようがいまいが、大切な人に惜しみない愛情を注げる人になりたいと思った。形のあるものじゃなく、誰かの心の中に、ほんのりと温かい小さな光のような思い出をいくつか残すことが出来たら、自分の生きた人生にようやく意味を感じられるような気がした。」
   小泉今日子書評集(2015年・中央公論新社)

アイドル・結婚・離婚・女優と歩んできた彼女の2010年の<現在>がそこにはあった。部分引用でうまく伝わらないかもしれないので、興味を持った方は是非実際に目を通していただきたいと思う。

高校の図書館のカウンターに置いてあるといいのになあと思ったことだよw



小泉今日子書評集


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