PARADISE [私の好きな20世紀の唄たち] vol.72 [20世紀の歌Ⅱ] [20世紀の歌Ⅱ]
PARADISE
written by John Prine
カントリー・フォーク・シンガーのジョン・プラインが4月7日に亡くなった。死因がCOVID-19による合併症の為だったということに驚いた。二度の癌手術を受けていたためということもあるだろうが、3月26日に入院してから2週間足らずの死であった。改めて今回のコロナウィルスの重篤化の速さを恐ろしく思った。
近年のJohn Prine
彼についてよく知っていたわけではなかった。セルダム・シーンがAct 2で取り上げて知ってはいたが、アルバムの中の一曲という認識でしかなかったのだった。長田弘の『アメリカの心の歌』で彼のことが取り上げられていたので聴いてみようと2枚のアルバムを買ったのはもう10年ぐらい前だっただろうか。何度か聞いたのだがそれっきりで、忙しさにかまけて?CD棚の肥やしになっていた。今回彼のことを改めて調べていく中で、実は他の何曲かもよく聴いていたということに気づいた。"Other Voices, Other Rooms" (93)でナンシーと歌っている"Speed Of The Sound Of Loneliness"や
Nitty Gritty Dirt Bandの "Will The Circle Be Unbroken (Volume Two)"(89)で本人が歌っている "Grandpa Was A Carpenter" などである。
また、だいぶ前に "THE DUTCHMAN" という歌について書いた時に、スティーヴ・グッドマンの追悼アルバムを買ったのだが、そのライナー・ノートを書き、アルバムの中で4曲も歌っていたのがジョンだったということを改めて知って驚き、無頓着・無自覚でいたわが身を恥じたが、その時は違うところに興味が行っていたので仕方ないとも思う。気づいた時点で学び直すしかないね(笑)。二人の親交ぶりやスティーヴがジョンのギターの先生だった?ことなど、興味深いことがいろいろ解ったのはよかった。
さて "PARADISE" であるが、「天国」のことではなくて、西ケンタッキーにあった炭鉱町の名であった。事実をもとにした歌かどうかは定かでないが、ジョンの父親の生まれ故郷がこの街で、炭鉱が閉鎖されてからイリノイに転居し、ジョンが生まれたのだろうか。先に挙げた "Grandpa Was A Carpenter" は「僕のおじいちゃんは大工だった」という歌なので、彼は自身を「大工の孫で炭鉱夫の息子」に擬していると見ることもできるのかな。カントリー・シンガーの原点とでもいう位置にみずからを置いて、その視点から様々な曲を書いているのだと言えるのかもしれない。そして私は自分の祖父が鍛冶屋だったことをそれに重ねたりする。石炭というかつては時代の先端を行くエネルギー産業のために、美しい風土を破壊し、用がなくなったら廃棄していくという現代(アメリカ)社会の在り方に対する批判の目がそこにはある。だが彼はそれを声高に叫ぶのではなく、ただありのままを少しユーモアを込めて語っているように見える。
彼の歌は時に難解な歌詞も多くて、理解できないでいるものも多いが、残りの人生の中で少しずつ読み解いていきたいと思ったことだ。課題曲は少なくなさそうである(笑)。
youtube は本人のものと早くからカヴァーしたものを。
Paradise John Prine
https://www.youtube.com/watch?v=DEy6EuZp9IY
John Denver - Paradise (with lyrics)
https://www.youtube.com/watch?v=9hFDgSOf53M
The Seldom Scene - Paradise - 1974
https://www.youtube.com/watch?v=xHVCvRm60ao
おまけ。ボニーとアリソン。
Angel from Montgomery Bonnie Raitt and Alison Krauss
https://www.youtube.com/watch?v=olLKuxOVMzY
歌に沿って街を探索した記事があって面白いので引用しておく。
A trip to Paradise
パラダイス (大意。原詩は検索してみて下さい。)
子供の頃両親が生まれた西ケンタッキーに
一家で旅をした
その時見たさびれた古い町を今でも思い出す
記憶が擦り切れるくらい何度も
***
父さん、俺をまたミューレンバーグ郡に連れて行ってよ
パラダイスという街があるグリーン川のほとりに
息子よ、すまない 今言われてももう遅いよ
ピーボディの石炭列車が全て運び去ってしまったんだよ
時にはグリーン川のすぐそばまで行ってみたこともあったんだ
エイドリー・ヒルの廃墟になった古い監獄の跡にも
そこは蛇のような匂いのする所で俺達はピストルの試し撃ちをした
でも撃ち殺したのはサイダーの空き瓶だけだった
石炭の採掘会社が世界一の巨大シャベルを持ってやって来て
樹々をなぎ倒し大地を丸裸にしてしまった
奴らは大地が使い物にならなくなるまで石炭を掘り尽くして
それが人類の進歩だとまで言ったんだ
俺が死んだらその灰をグリーン川に流してくれ
俺の魂をロチェスター・ダムまで運んでくれ
俺はパラダイスが待っている天国への道の半ばにいる
俺がいるところからいつもほんの5マイルほど先にあるのさ
written by John Prine
カントリー・フォーク・シンガーのジョン・プラインが4月7日に亡くなった。死因がCOVID-19による合併症の為だったということに驚いた。二度の癌手術を受けていたためということもあるだろうが、3月26日に入院してから2週間足らずの死であった。改めて今回のコロナウィルスの重篤化の速さを恐ろしく思った。
近年のJohn Prine
彼についてよく知っていたわけではなかった。セルダム・シーンがAct 2で取り上げて知ってはいたが、アルバムの中の一曲という認識でしかなかったのだった。長田弘の『アメリカの心の歌』で彼のことが取り上げられていたので聴いてみようと2枚のアルバムを買ったのはもう10年ぐらい前だっただろうか。何度か聞いたのだがそれっきりで、忙しさにかまけて?CD棚の肥やしになっていた。今回彼のことを改めて調べていく中で、実は他の何曲かもよく聴いていたということに気づいた。"Other Voices, Other Rooms" (93)でナンシーと歌っている"Speed Of The Sound Of Loneliness"や
Nitty Gritty Dirt Bandの "Will The Circle Be Unbroken (Volume Two)"(89)で本人が歌っている "Grandpa Was A Carpenter" などである。
また、だいぶ前に "THE DUTCHMAN" という歌について書いた時に、スティーヴ・グッドマンの追悼アルバムを買ったのだが、そのライナー・ノートを書き、アルバムの中で4曲も歌っていたのがジョンだったということを改めて知って驚き、無頓着・無自覚でいたわが身を恥じたが、その時は違うところに興味が行っていたので仕方ないとも思う。気づいた時点で学び直すしかないね(笑)。二人の親交ぶりやスティーヴがジョンのギターの先生だった?ことなど、興味深いことがいろいろ解ったのはよかった。
さて "PARADISE" であるが、「天国」のことではなくて、西ケンタッキーにあった炭鉱町の名であった。事実をもとにした歌かどうかは定かでないが、ジョンの父親の生まれ故郷がこの街で、炭鉱が閉鎖されてからイリノイに転居し、ジョンが生まれたのだろうか。先に挙げた "Grandpa Was A Carpenter" は「僕のおじいちゃんは大工だった」という歌なので、彼は自身を「大工の孫で炭鉱夫の息子」に擬していると見ることもできるのかな。カントリー・シンガーの原点とでもいう位置にみずからを置いて、その視点から様々な曲を書いているのだと言えるのかもしれない。そして私は自分の祖父が鍛冶屋だったことをそれに重ねたりする。石炭というかつては時代の先端を行くエネルギー産業のために、美しい風土を破壊し、用がなくなったら廃棄していくという現代(アメリカ)社会の在り方に対する批判の目がそこにはある。だが彼はそれを声高に叫ぶのではなく、ただありのままを少しユーモアを込めて語っているように見える。
彼の歌は時に難解な歌詞も多くて、理解できないでいるものも多いが、残りの人生の中で少しずつ読み解いていきたいと思ったことだ。課題曲は少なくなさそうである(笑)。
youtube は本人のものと早くからカヴァーしたものを。
Paradise John Prine
https://www.youtube.com/watch?v=DEy6EuZp9IY
John Denver - Paradise (with lyrics)
https://www.youtube.com/watch?v=9hFDgSOf53M
The Seldom Scene - Paradise - 1974
https://www.youtube.com/watch?v=xHVCvRm60ao
おまけ。ボニーとアリソン。
Angel from Montgomery Bonnie Raitt and Alison Krauss
https://www.youtube.com/watch?v=olLKuxOVMzY
歌に沿って街を探索した記事があって面白いので引用しておく。
A trip to Paradise
パラダイス (大意。原詩は検索してみて下さい。)
子供の頃両親が生まれた西ケンタッキーに
一家で旅をした
その時見たさびれた古い町を今でも思い出す
記憶が擦り切れるくらい何度も
***
父さん、俺をまたミューレンバーグ郡に連れて行ってよ
パラダイスという街があるグリーン川のほとりに
息子よ、すまない 今言われてももう遅いよ
ピーボディの石炭列車が全て運び去ってしまったんだよ
時にはグリーン川のすぐそばまで行ってみたこともあったんだ
エイドリー・ヒルの廃墟になった古い監獄の跡にも
そこは蛇のような匂いのする所で俺達はピストルの試し撃ちをした
でも撃ち殺したのはサイダーの空き瓶だけだった
石炭の採掘会社が世界一の巨大シャベルを持ってやって来て
樹々をなぎ倒し大地を丸裸にしてしまった
奴らは大地が使い物にならなくなるまで石炭を掘り尽くして
それが人類の進歩だとまで言ったんだ
俺が死んだらその灰をグリーン川に流してくれ
俺の魂をロチェスター・ダムまで運んでくれ
俺はパラダイスが待っている天国への道の半ばにいる
俺がいるところからいつもほんの5マイルほど先にあるのさ
2020-05-05 23:21
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