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『ゲゲゲのゲーテ』 [日々の雑感]

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漫画家の水木しげるさんが去年の暮れにお亡くなりになった。満93歳ということなので大往生といっていいのだろう。奥様の布枝さんもおっしゃっていたように、あの世でも楽しくやっていかれるのだろうと思った。「妖怪」の一人でもあられる?水木さんにとってはこの世もあの世も同じようなものなのかもしれない。
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若い頃『ゲゲゲの鬼太郎』などの作品は読んでいて、「ねずみ男」が好きだったかな。戦争漫画は当時は陰惨すぎてしっかり読むことは出来なかった記憶がある。境港の出身ということで、帰省の行き帰りに時々立ち寄り、さびれていた町が鬼太郎のモニュメントの設置などで次第に活性化していく様も見てきた。
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何より水木さんがクローズアップされたのは朝ドラの『ゲゲゲの女房』であり、それを観て彼の壮絶な戦争体験や貸本漫画家時代の苦労を知った。ドラマだからかもしれないが、そういった苦境を意に介さない彼の鷹揚な生き方をあこがれの気持ちで観ていた。布枝さんの故郷安来の生家も訪れたこともあった。本名の「武良」という苗字は珍しいが、ルーツは私の故郷隠岐かもしれないということも親近感を増したことであったよ。
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先日TVで、彼が若い頃ゲーテに心酔していて、本人の作品もよく読んだが、特にドイツの詩人ヨハン・エッカーマンの『ゲーテとの対話』を暗記するほど読んでいて、戦地にも持って行っていたという話を聞き、自分も読んでみようと思って調べると、なかなか大部な作品で値段もお高いのでたじろいでいると、水木さんご自身の著作で『ゲゲゲのゲーテ』という新書があると知って早速購入した。「水木さんの人生は80%がゲーテです」という帯の言葉にも惹かれた。とりあえず入門書をと思ったのだが、水木さんのエッセンスが詰まっているのであればこれで十分なのかもしれない。

読み始めて気に入った言葉を少し紹介しておく。

「人間の到達できる最高のものは<中略>驚異を感じるということだ」
様々な物事に新鮮な驚きを感じることは大事だとは常々思っていたが、それが単なる始まりだけでなく「最高のもの」と言い切っているのがすごいなと思った。

「私たちの長所は、あるていどまではひとりでに育つ。しかし、私たちが持って生まれた素質の芽生えは、ふだんから手塩にかけていないと、たくましくはならない」
これはもっと若い人が味わうべき言葉なのかもしれないが、何でも小器用にそこそここなすが、壁を越えられないでいる自分には、この歳になっても必要なことかもしれない。
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「不惑」はとっくに過ぎたのに、すがるようにこのような言葉を求めている自分もなんだかなと思うが、人間は死ぬまで惑い続ける生き物だということで、しばし座右に置いて味わうことにしようと思ふ。


<追記>
2日前にアクセス数90000に到達しました。お読みいただき有難うございます。ブログ2周年までには10万に達することができるかな、と特に目標にしていたわけではなかったが楽しみwwというよりは支えですかね。


ゲゲゲのゲーテ (双葉新書)


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